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ゆりかごのようなJAMJAMライナーで10時間揺られて広島に着いたら、朝一から体力全開だった話

 夜行バスには大学生になってから、スキーに行くのに一度乗ったことがあった。

 思い出は最悪だ。隣人との狭い4列の空港バスもどきに6〜7時間。朝5時にまだ暖房がきいてない休憩室にほっぽり出された記憶があって、これがトラウマかというくらい夜行バスだけは乗りたくなかった。

 時代はどんどん変わるものだ。過去の辛い思い出なんて、バンバン忘れたほうがずっとハッピーな毎日になる事は間違いない。と思ったのは、不意にネットで流れてきた一つの記事だった「完全個室で快適な夜行バスの旅」夜行バスは、もう3列独立シートが主流なんだそうだ。

 個室風になるカーテン。フルリクライニング。USB完備。これはもうネカフェごと移動するようなものだ。幸いにも10時間パックで狭いネカフェでも一夜を明かせた経験がある。多分大丈夫じゃないだろうか。でも唯一の心配は昔の古傷の腰痛だけど、もし痛くなったら現地でのんびりすればいいや、とすぐに予約する事にしたのだった。

 秋になり、急に朝と晩は寒く感じるようになってきた。寒いのがとにかく苦手な僕は、なるべく暖かい場所で通年を通して過ごしたい。なので広島の友人を尋ねる事にした。

 予約を始めると、JAMJAMライナー、という夜行バスのスマホ予約サイトは、操作も簡単、さらにサクサク動く。決済もコンビニで簡単。手数料も取られない。自分が知らなかっただけで、こんなにも夜行バスが多くの方に支持されている事に驚いた。

 当日の仕事を終え、軽くシャワーを浴びて荷物を持ったらバスタ新宿に向かう。今まで高島屋の前にある、くらいしか印象に無かった建物だけど、中に入ってみるとそこには待合室と綺麗なトイレ、コンビニやお土産物屋さんもあるちょっとした空港のような空間が広がっていた。

 100名くらいは待合室に居ただろうか。これから山登りに出かける大きなザックとストックを持ったご夫婦。帰省なのかたくさんのお土産を持った大学生風の二人組。普段羽田空港でもよく目にする光景がここにもあってどこも賑やかだ。

 友人へのお土産を選んでしばらくバスを待っていると、綺麗な緑色の観光バスのような車体が現れた。501便、広島行きだ。

 荷物を預けて車内に入ると、予約したとおりに窓側の席だった。しかも乗るまでどの席になるのかはわからないのだが、今回は一番前の席だった。

 初心者なので前にしてくれたのかな、とありがたく後ろの人だけを気にすれば良い大きめのシートに滑りこんだ。

 バスは海老名サービスエリアから消灯し、乗客の皆さんも眠りに着く。一度休憩の時に降りてみて気づいたが、案の定バスは満車だった。その割にはうるさかったり、後ろの人の気配に神経を使うことも全く無いのはシートに余裕があるからなのだろう。そそくさとメールチェックや、ツイッターへの投稿をしていたりしたらいつの間にか眠りについていた。

 このバスはとにかく揺れないので、眠たくなると一瞬で眠りに着く。なのでもちろんシートベルトは常時装着がマストだ。気がつくと兵庫県宝塚PAでの休憩。体はどこも痛くないし、シートが大きめなので「あぐら」をかいて座ると足もむくまずに快適このうえない。

 結局、その後広島大学を経由して、広島駅に着くまでウトウトしながら、何事もなく10時間の快適夜行バス初チャレンジはあっけなく終了したのだった。

 実はバスに乗りながら、10時間のバス旅行がどれだけ苦行なのかを密着リポートするはずだったのだが、期待は見事に裏切られたので強いて書く事と言えば、ただひたすら快適だった車内の事しか無かった。というオチにもならない話。充電も満タンだし。

 そうそう、タイトル通り、体力の充電も満タンだったので、その日の午前中にマリンスポーツで汗を流したのもいい思い出。広島が最高なのは言わずもがな。

 

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