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帰国子女のお帰りと鳴かないシーズー犬

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#短編小説

ボルボと交差点

 彼の家の車はくたびれたスーツのような色のワゴン車で、きまって人通りの多い交差点のガードレールに腰掛けて一息つくと、僕はいつだって少しだけ憂鬱な気分になった。
 
 カーブと人混み。坂の多い街にあるゴミだらけの歩道橋のフェンスからは、待ち合わせでごったがえしているわりにたいして愛されてないみどりの電車が見えててぼんやりとつぶやく。

 「クーラーが効かないんだよな」

 そんな事ってあるんだろうな

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