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20代で3回転職して、営業/人事/法務の3職種を経験した私が、今振り返って思うこと

最近、改めて20代のキャリアを振り返る機会があり、新卒で営業→法律事務と人事の兼任→人事と経営企画の兼任→人事からの法務転向 という、割と破茶滅茶な自分の過去キャリアの棚卸しをしました。

また学生さんの就職相談を通年で受けているのですが、やはり「職種をどうするか」について悩んでる方が多い印象で、これについては私も悩んだ時期があったので「分かるなぁ」と思う部分があり。改めて複数職種を実際に経験して、今は「法務」を飯の種にしてる人間(とはいえ兼任はしまくってるが...)としての考えを、少しでも参考になるようにまとめておきたいと思って、今月のnoteにしてみました。

簡単な自己紹介

LAPRASというITベンチャーで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。

実は元々大学時代も法学部で、新卒も法務を狙っていたのですが全落ちしたという背景があるので、回り回って今法務ができていることは、とても幸せだと思っています。

法務に至るまで、20代で3回転職をしており、キャリアとしては新卒でIT企業の営業職へ→やはり法務への道が諦めきれずに司法書士事務所に転職→士業総合コンサルに転職→LAPARS株式会社へ とこんな感じです。

最初は営業職として1年ちょっと働き、その後司法書士事務所では法律事務の傍ら、新規営業と事務所内の人事担当をしていました。その後、士業総合コンサルには人事として採用され、人事の傍ら新規営業と法律事務のお手伝いを、その後LAPRASに転職して、今は法務をメインとして人事(新入社員の入社後の立ち上げの部分のみ)や総務も担当しています。

兼任が多いのでちょっと複雑ですが、キャリアの軸が20代の間に「営業」→「法律事務」→「人事」→「法務」と移り変わり、20代の最後には法務に落ち着き、今(31歳)の時点では法務で一生やっていけたら良いなと思っています。

複数職種を経験したメリット

ということで、複数の職種を経験してきた私ですが、それについては正直メリット、デメリットあったと思っているので、それぞれ紹介したいと思います。

メリット1:職種を変えただけで、全てが解決することはないと理解した

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営業時代に「法務になれていたら違ったのかな」と思ったのが最初の転職のきっかけでしたが、ここでもし動かずに営業職を続けていたら、ずっと「法務だったら...」と、隣の芝が青い状態で居続けていたと思います。

新卒の時に「総合職」で就職する日本的な悩みでもあると思うのですが、やはり上手くいかなくなった時に同期の友人を見て「営業じゃなかったらもっと上手くやれてたかもしれない」「もっと自分に向いている仕事が他にあるのかもしれない」のように、言い訳として「職種」を使い、そこを疑うことで「自分の努力不足じゃない」と思いたい時期が正直ありました。

ただ実際に、人事や法務と複数の職種を経て「どの職種も全部大変なこともあれば、面白いこともある」という当然の結果に至りました。普通の人なら常識で分かることを体験しないと分からなかった...というちょっとアホっぽい結論ではあるのですが、20代のうちにその「逃げ道」を捨てれたことはとてもよかったと思っています。

じゃあ、「全部それなりに大変」な中で、なんで法務に決めたの?という話になるかと思うのですが、営業には営業の、人事には人事の、法務には法務の、そのほかの職種にもその職種の苦労があるで「どの苦労なら理不尽に思わず、頑張れるのか」「どの苦労なら、一生続いても平気なのか」を考えたところ、私は法務だったなぁというのが今の時点の結論です。

リスクを見逃すことで会社を左右してしまうのは怖いし、知識はすぐに古くなっていくし、一生プレッシャーと戦いながら勉強し続ける必要があるけど...それでも法律を勉強するのは楽しいし、法務の仲間や先輩は尊敬できる人が多くて目指す道も見えるし、何より法務をしているときの自分が一番「理不尽」に強い=向いていると感じています。

そんな経緯があり、いろいろな職種の人に「その仕事の醍醐味は何ですか?」と聞くのがもはや趣味な私ですが、2年くらい会う人会う人に聞いてもやっぱり「法務より楽しそう」と思える答えに辿り着いていないので、20代で迷って手に入れた"法務"を、今はちゃんと極めて行きたいなと思っています。

まぁ、また意見が変わるかもしれませんが...笑 

メリット2:職種が変わっても、スタンスやスキルは持ち運べることを知った

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社会人になりたての頃は「職種が変わると、必要なスキルもガラッと変わる」というイメージを持っていました。今まで身につけていたものが0に戻って、また1からやり直す必要があるから、変わるなら早目に変わらないと...と焦っていた時期もあります。

ただ、職種をいくつか経験してみて、「社会人としての基礎力」や「仕事に対する当事者意識等のスタンス」は、どの職種でも必要になるものだと分かりました。

例えば、目の前の課題を人のせいにせずに取り組む「当事者意識」や、社内外に関わらず相手の立場に立って考える「相手目線」や「ホスピタリティ」等はどの職種でも非常に重要ですし、社会人生活で少しずつ身につけてきた「適切かつ相手に伝わりやすい文章を書くスキル」「要点のまとまった議事録や資料を作るスキル」「自分が持っている情報を適切に他社に伝えるスキル」「周りを巻き込むスキル」だってどの職種でも重要です。

そう、裏を返せば「どの職種でも必要なスキル」は「どの職種でも真面目に取り組むことで身につけられるスキル」でもあるのかな、というのが最近の私の感想です。「ポータブルスキルを得られる職種が良い!」と意気込んでる学生さんに、ここは声を大にして伝えたいところでもあります。

メリット3:「自分」という存在に自信がついた

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これは1と2から導かれるものだとも思うのですが、自分で試行錯誤したことで仕事が変わってもブレない「自分の得意と苦手」みたいなものが見えてきました。

例えば、レスの速さや相手目線は割と得意だし、会社で起きたことを自分のことだと捉える「自責」や「当事者意識も」もある方だと思っています。あと、こういうnoteのような文章を書くことは好きだし得意。一方で、情報を定量的に伝えることや、複数人から情報をヒアリングして多角的に分析すること、目標設定によってチームを引っ張ることは苦手です。

いろんな職場を経験して、「この職種じゃなかったら得意かも...」も「職種が変わったらこの強みは生きないかも...」も知ったからこそ、自分の強みと弱みが知れて、「どんな職種でも、私は私のままである」という自信がついたと思っています。

複数職種を経験したデメリット

もちろん、良いことばっかりじゃないので、良くないところも正直に書いてみようと思います。

デメリット1:その道を真っ直ぐ走ってきた人との間には、差が生まれてしまう


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社会人歴が同じで、ずっと法務やっている人と会話すると、自分の経験&知識の足りなさに愕然とします。社会人としては8年目なのに、法務としては2年目なので、当然その6年間でついた差は結構深いなと思います。。。

それについては、知識の差や経験の差を、スタンスや別職種での経験で埋める、若干正攻法じゃない攻略をするしかないと思っていて。例えば、ずっと法務をやってきた同期は書籍や記事を出したり実績で取材されるけど、私はSNSやnote等を頑張ることで、フォロワーさんへの拡散力を期待しての取材になる...みたいな。意図的に、少しイレギュラーな戦い方が必要になると思っています。

ただ、王道で真っ直ぐ育ってきた人との「差別化」を考えることで6年の差を4年には埋められるとしても、やっぱりどうしても勉強量や経験値は寄り道した分足りていないので。。。これは20代で迷ってた代償だから、自分で頑張るしかないと思います。

とはいえ、法務の王道の人は皆さん優しくて「自分はこうやって回り道したけど、まっすぐ行くならこうだよ」と勉強法や書籍などを教えてくれるので、そこはありがたく受け取って、今後も同期の皆さんにおんぶにだっこされつつ頑張ろうと思います。

デメリット2:転職回数が増える

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やはり、20代で3回ということで、当然転職が増えます。そうなると、やはり「採用しても定着しないかも...」と思われてしまい、特に最後の転職は極端に書類選考に通らなくりました。カジュアル面談からだと進めることが多いんですが、いきなり書類選考だと体感70%くらいの確率で落ちます。また、私自身も、一つの会社に腰を据えて成長するイメージが正直まだ掴めきれていない部分もあります。

また、自分自身は幸運に給与が下がる転職は初回だけだったのですが、上手く嵌らずに転職を繰り返すと、やはり一般的にはスキルアップができず、給与が下がっていくものだと思います。(というか私も、初回の転職でかなり大きく落ちたので、次からは緩やかに上がっていっただけかも知れません...)

この点不幸中の幸い?だったのが、私の場合は職種を「変えていく」というより、職種を「重ねていく」ような転職になったことだと思います。完全に0に戻すのではなくて「営業もできる法律事務」ということで士業事務所で営業も兼任していたし、「法律事務も手伝える人事」ということで士業の先生のセミナー資料とか作ったりしていたし。ただ、それにも限界があるというか、どんどん浅く広いオールラウンダーに近づいていってしまうので、別職種への転職は本当に気軽にするもんじゃないと思っています。私だって、最初から法務で行けたら法務で行きたかったんですよ。。。

デメリット3:やりたい職種に専念するのが、少し怖くなる時がある

これも1と2に関係していくのですが、結局軸が定まるまでに色々な職を重ねることで「兼任」が前提になるので、いざ職種を決めるとして、その仕事を深ぼるのが「怖い」という感覚が出てきました。

詳しくは別記事に書いているのですが、旦那に「エンジニア一本で食べていくの怖くない?」と聞いたら「何が?」って言われて、「あ、そっか普通はみんな一本で食べていくんだ」と逆に目から鱗でした。それくらい「何かを突き詰める」よりも「浅く広くする」ことでのリスクヘッジが、身に染み込んでしまっているのは、弱点だと思います。

じゃあ今、後悔してる??

とはいえ最終的に、複数職種の中で定められずに20代で3回転職したことについて私がどう捉えているかですが、「本当は最初から法務がやれたら良かった」けど「結果オーライだし、この道でよかった」だと思っています。

確かに、色んな職種を経験したから得られたこともあるけど、法務に腹を据えると決めた時には、ずっと法務をやっていた同年代の背中がすごく遠く見えました。また、私が他の職種を経験したから得られた知見やスタンスだって、法務一本でやりつつ視野を広げて獲得してる人も居る。そうなるとやはり「ちょっと遠回りしたなぁ」というのは正直あります。

ただ一方で、恐らく正攻法で新卒で法務に就職できて居たら、きっと「法務一筋で居ながらも他の職種の立場が分かる」みたいな器用なことができた気がしないのも正直あります。きっと法務しか知らず、事業部のことなんて何も知らずに法律を振りかざす、あまり好ましくない法務パーソンになっていた気がします...笑 

また、弁護士でも法務一筋でもない私が今法務としてやれてるのは、過去に法務になれずに憧れて寄り道していた間に「法律が好きで仕事にしたい」という気持ちが熟成されていたからだとも思うので。結果として「法務一筋じゃないからこその視点」が役に立っているし、ちょっときつい時でも法務でなら踏ん張れることも踏まえると、遠回りルートが自分にとっては結果オーライで最適解だったのかな?と思っています

複数職種を経験して、良かったと思えた場面

また、実際の仕事の中で「これは他の職種の経験が役に立った!」と思う場面も結構あります。一番良かったと思えるのは、やはり「立場が違うと、見方が違う」ということを、身をもって知っていることです。

例えば、契約書1つとっても、営業をやっていた時と法務になってからだと、やはり見る目もポイントも大きく変わりました。

また、営業でも人事でも「営業目標」や「採用目標」等の明確な数字があり、その先に顧客や候補者の方がいる中で、数字に追われつつも必死に毎日を過ごしていた経験があるので、やはり「凄さ」も「大変さ」も身にしみて分かる部分があるし、IT企業の営業だったので、エンジニアのものづくりの過酷さも見てきている。そういう過去があってこそ、今法務としては「後方支援」することが多い立場にいても、最前線で戦ってくれているメンバーへの尊敬と感謝を忘れずに、他のメンバーが最大限価値を発揮できるように後方支援するような気持ちで仕事ができているのかなと思います。

社内でよく転職してきた方に「良い意味で、法務っぽくない」と言われるたびに、過去に色々な職種にチャレンジしてきた自分を、ちょっと褒めたくなったりします。

さいごに

最後になってしまいますが、これまでのキャリアの棚卸しをする機会をこの取材で頂いたので、改めて素敵な機会に感謝すると共に、よければこちらの記事もご覧いただけると嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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