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コロナウイルス騒ぎにおける子どもや家族の心理面についての雑感その4~朝日新聞朝刊(2020/3/8)第23面道内版に掲載されたインタビュー記事を振り返って

 本日(2020年3月8日)、朝日新聞朝刊(北海道版)の第23面に、コロナウイルスでの休校について、子どもや大人にどういう影響があるのかなどについてインタビューをしていただいた記事が掲載されました。記事の全体の構成は、2つの家族のケースがまず紹介され、そのあとに私の記事が続く形です。よろしければ、ぜひ、朝日新聞をお買い求めていただければと思います。以下、私の分の記事と、私がここで振り返ったことを記載しています。

 休校している間、保護者や周囲の大人たちは子どもとどう向き合ったらいいのか。飯田昭人・北翔大教育文化学部准教授(臨床心理学)に聞いた。


 ――新型コロナウイルスの感染拡大への不安が渦巻く中で、臨時休校という異例の措置が続いています
 見えない脅威を前に、大人でも不安になっている人は多いでしょう。人は落ち着いている時には心の中にふたをしていて、抱えている悩みや不安はあまり表に出てきませんが、脅威がいつ収まるか見通しが立たない中でそのふたが取れ、しまってあったものが出てきてしまった。今はそんな状態ではないでしょうか。
 マスクも消毒液も売り切れで手に入らず、ドラッグストアの店員に怒りをぶつけている人を見かけます。もっと情勢が悪くなるという不安から、自制心を失っているようにみえます。怒りっぽくなったり、ドラマを見て泣いたりすることもあるかもしれません。普段より高揚感のある状態だと、大人たち自身が自覚することが大事です。

飯田振り返り:心のふたの話は比喩ですが、不安や恐怖に支配されているようなときは、自分のもとから抱えている悩みなどが顕在化される場合が多いと思います。また、はっきり申しますが、分別のある大人がドラッグストアの店員に怒りをぶつけてよいのでしょうか?以前、これを「補償(自分の抱えている問題を社会に認められる形で発散すること)」で説明したこともありました。もちろん、不安があるのはわかります。でも、もし、それを子どもたちがみていたらどう思うでしょう?むしろ、医薬品等を提供するドラッグストアが困っている市民にマスクや消毒液などを販売できないでいる、きっと無念な気持ち、申し訳ない気持ちを持っていないわけがない、そういう「相手」の視点を持てることが分別のある大人に求められることであり、私自身も周囲への対応を見直したいと思いました。

 ――子どもを不安に巻き込まない接し方とは
 保護者が過度に心配していると、その気持ちは子どもにも伝わります。「つらい」と言葉にできない乳幼児は体の症状にも出やすいので、注意してあげてほしい。子どもに対して「いずれは収まるよ」「少し時間がかかるかもしれないけれど大丈夫」といった感じで接すると、「大人がそう言っているから大丈夫なんだ」と落ち着いてくる。子どものことを考えるのなら、大人が過度に恐れずに冷静に見極め、落ち着いて過ごすことです。

飯田振り返り:ことばにするのがすべて良いというつもりはありません。言葉にしないことで不安や恐怖を何とか最小限にしている場合もあるでしょう。しかし、比喩表現ですが、不安や恐怖の感情がどんどんたまっていく場合、それを吐き出せることも必要です。対話、会話によって、自分の不安な気持ちを相手の話すということはとても大切なことですし、年齢が低く、自分の不安を言葉にするのが難しい場合は、一緒に遊んだりと楽しい時間を過ごしたりすることで、「すっきりした」「大丈夫なのではないか」とカタルシス効果も期待できると思います。あと、大丈夫であるということを子どもに伝えることはとても大切だと思います。

 ――家庭内で過ごす時間が長くなっています
 家での過ごし方で一番大事なのは、子どもと対話することだと思います。休校中、スマホやゲーム漬けになるという心配の声は多いですが、それをテーマに親子で話し合ってみてはいかがでしょう。話をして、「お互い自分を理解してくれたんだから、折り合いを付けよう」と約束するのも一つのやり方です。

飯田振り返り: お互い相手をわかろうとすることが前提の対話が求められると思います。私の仕事も別に何か専門的な助言を伝えることではありません。クライエントがセラピストと呼ばれる私との対話の中で、自分がどうしていくか、どうしていきたいかを考えていただくことに重きを置いています。子どもの年齢が低い場合、親が一方的に決めた形になったとしても、子どもが「自分のことを思って親は決めたから、守れるようにしよう」というふうになるのが理想的だと考えます。

 ――長期間登校できないことで、子どもへの影響はありますか
 大半の子どもにとって、学校は安心感を与えているよりどころです。その意味で長い休みは心配ですが、子どもの家に「心配なことがあったら言ってね」と電話で連絡を取っている先生もいます。メールの一斉送信もいいのですが、担任の先生の温かいひと言が子どもに安心感を与えます。
 休校で外出もできないとなると、子どもの運動不足は確実に進みます。ストレッチなどで適度に体を動かしましょう。イライラの発散にもなります。平日の日中は難しいかもしれませんが、保護者も一緒に分ほど散歩するのはどうでしょうか。子どもは親が一緒にいる安心感が得られ、家の中と違う景色を見ることが気分転換にもなります。

飯田振り返り:学校の先生、そしていわゆるサードプレイスと呼ばれる、家庭や学校以外で、子どもたちとかかわっていらっしゃる方は、無理のない範囲で子どもたちに安心感を届けていただきたいと思います。運動面については専門外ではあるのですが、人間は「リラックス」しているときに物事がうまくいくと思います。歯を食いしばって短距離走を速く走れないように、各々でリラックスできる方法を模索していただければと思います。

最後に、朝日新聞北海道支社の片山健志記者のインタビューによって、自分でも理解が足りないところがクリアになったりと、とても刺激を受けました。勉強させていただきました。



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