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D2Cは本当にDirect to Consumerなのか?vol.3~D2Cに感じた違和感~

 僕がD2Cのスタートアップで働いているため、D2C企業内部からの目線でD2Cについて思うところをつらつらと述べていく。

vol.2~一つの顔しか持たないD2C~では、昨今のD2Cはシステムとしての顔しか持っておらず、「顧客のパートナーとしての顔を失いつつあるのではないか?」と感じていると述べた。

前回記事はこちら

今回は僕が「システムとしての顔一つしか持っていないのではないか?」という疑問を抱いた経緯と違和感について、それが顕著だと感じたD2Cの成長フェイズについて語る。

D2C神話

 僕がD2Cスタートアップで働き始めD2Cの内情を知る以前のD2Cに対するイメージは、まさに神話に基づくようなものだった。顧客との密接なコミュニケーションとそれによる意見を取り入れ、中間コストを省くことで本来の適正価格で顧客にプロダクトを提供することができる。顧客に買ってもらうためでなく顧客のライフスタイルを意識したサービスの提供。そんな世にも素晴らしいビジネスモデルだという神話を頭に描いていた。もちろん間違いではないし、それを体現しているD2Cブランドもあるだろう。

しかしD2Cもビジネスである以上利益を追及しなければならない。そして企業は基本的に事業成長を目指す。事業成長を実現するには、新規獲得が重要である。また市場経済の状況や経営状態によっては収益が落ち込むこともある。そこに神話のメッキが剥がれるきっかけがあった。

事業成長とD2C

 事業が小さいうちは顧客の数も少なく、顧客一人一人を理解しその意見を汲み取ることができる。また顧客の属性もニッチ層の顧客が多く、そのブランドのコンセプトやサービスなどを理解し共感した顧客が大半を占めている。新しいものへの情報収集が早く、新しいものへの受け入れ態勢もあるパイオニア的なセグメントである。そのためブランドと顧客は互いに理解し合い歩むことができる。

 しかし前述したとおり事業成長をするためには新規顧客の獲得が必要不可欠である。ニッチ層からマス層へとセグメントを広げ、パイオニア顧客から大衆顧客へとターゲットを広げなければならない。特に急成長する企業ほど、このフェイズのスピード感が早い。この新規獲得のスピードが大きな危険を孕んでいる。顧客の変化は、ブランドを理解していない顧客の増加を意味する。また急激な顧客の増加は、ブランドが顧客とコミュニケーションをとる時間を与えてくれず、ブランドが顧客を理解できなくなる

実際に僕が働いている企業も同じような状態に陥ったと感じた。

「vol.4~D2Cの成長とブランドの変化~」では前述の内容を僕の経験をもとに書いていこうと思う。


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