D2Cは本当にDirect to Consumerなのか?vol.2~一つの顔しか持たないD2C~
僕がD2Cのスタートアップで働いているため、D2C企業内部からの目線でD2Cについて思うところをつらつらと述べていく。
前回記事はこちら
vol.1~D2Cの二つの顔~では、D2Cには「ビジネスモデル」としての顔と、「Direct to Consumer」としての顔の二つの顔があると述べた。また、D2Cブランドにとって顧客はパートナーであると主張した。しかし昨今のD2Cは、「ビジネスモデルとしての顔一つしか持っていないのではないか?」と僕は感じている。
一つの顔しか持たないD2C
vol.1で述べた通り、D2Cにはシステム(ここではあえてシステムという語句を使う)としての顔と、顧客のパートナーとしての顔がある。
しかし顧客をパートナーとして見ていなくても、D2Cと言えば顧客に寄り添っているような印象を受ける。また中間業者を省いて削減したコストを顧客に還元するのではなく、自社の利益にすることもできる。もちろんそれも企業戦略だ。企業を存続するうえで利益は必要であり、企業が存続できなければ顧客との関係も終わってしまいパートナーどころではない。ここでふと疑問が浮かんでくる。
それは本当の意味でのD2Cと言えるのだろうか?
利益を生み出すだけのシステムがD2Cなのだろうか?
どんな事象にも表の顔と裏の顔があり、表裏一体であり、表と裏に善悪はない。しかしその両方の顔があって初めて成り立つのだ。
サラリーマンには会社で取引相手とせめぎ合い部下に厳しく注意する顔と、会社を出て無邪気にゲームに熱中する顔や家族、友人を愛する顔がある。
スポーツマンには試合中対戦相手と激しくぶつかり合いチームメイトにも厳しい要求をする顔と、試合後相手と抱き合いチームメイトとともに涙を流す顔がある。
両方の顔が存在を構成している。どちらかの顔が欠けてしまってはその存在自体が何か欠けたものになってしまう。
今のD2Cは、システムとしての顔一つしか持っていないのではないか?
「vol.3~D2Cに感じた違和感~」で上記の疑問を抱いた経緯を実体験に基づいて書いていこうと思う。
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