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現代の暮らしに馴染む、パステルカラーの常滑焼。伝統を継承し、更新する、TOKONAME STOREのやきものたち

ー作り手

瀬戸・越前・信楽・丹波・備前と並び、日本六古窯に数えられる常滑焼。愛知県の知多半島の西海岸に位置する常滑市で栄え、大型の壺や甕(かめ)、茶器を得意としてきました。焼き物に適した土と、窯を作るために適した起伏に富んだ丘陵地形、運搬には欠かせない海に恵まれた常滑は、日本六古窯の中でも最古、最大規模と言われています。

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TOKONAME STOREさんは、そんな“やきものの街”常滑に工房を構えています。歴史的な重々しさを感じさせない淡く優しい色合いの器たちは、食卓を明るくし、癒しを与えてくれます。

「常滑らしさ」を感じられる食器をコンセプトに、常滑焼の代表とも言える「急須」や「甕(かめ)」を作っています。今の暮らしに溶け込むように、また若い世代にも常滑焼を知ってもらえるように、優しい色合いのアイテムを揃えました。

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TOKONAME STOREさんの「TEA FAMILY」は、シンプルでモダン、そして優しい丸みが特徴です。急須に代表される常滑焼の技術と素材を活かしながらも、日本茶に限定せず、珈琲や紅茶、小鉢など、様々な用途に使える茶器シリーズです。

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釉薬を使わず焼き上げられているので、土そのものの触り心地を楽しむことができます。きめ細やかな土肌を感じられ、注ぎの良さ、蓋と本体の合わせの良さなど、機能的なこだわりは常滑焼急須ならでは。また、年数が経つことで、艶が出てくるので味わいが増していくそうです。

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普段使いできるプレートや湯呑みは、食洗機や電子レンジにも対応可能。耐熱土を使用した土瓶は、金属の酸化や臭いもなくお湯がまろやかな美味しさになります。漢方やお茶、白湯を飲む方に好まれているそうですよ。

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常滑焼の代表である甕(かめ)もTOKONAME STOREさん色にアレンジされています。使用している常滑の赤土は吸水性が低く、本体は肉厚で中身が外気の影響を受けにくいのだとか。乳酸菌や酵母菌が嫌う急激な温度変化だけでなく、釉薬による消毒効果で、カビ菌から発酵菌を守ります。

そのため、色や臭い写りの心配がなく「漬物・味噌・梅干し・ぬか漬け」など、幅広く仕込みや貯蔵に適しています。

古くからの知恵と技術が詰まった甕と、それを活かした新世代の常滑焼「TEA FAMILY」。どちらも常滑焼の歴史を背負いながら、現代の生活に取り入れやすいように思考を凝らされた作品です。

ーものがたり

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常滑焼は、平安時代末期に日常雑器の生産から始まり、時代の要請に合わせて、甕(かめ)・朱泥の茶器・陶製土管・タイル・衛生陶器などを生産してきました。焼き物に恵まれた環境にありながらも、900年を超える歴史の中では、多くの盛衰がありました。常滑市が今日まで「やきものの街」として発展してきたのは、常滑焼に携わってきた人々の苦心の賜物です。

今までの伝統的な常滑焼を継承しつつ、常滑焼を更新するブランドを作りたかったんです。

「TOKONAME」を制作する常滑焼窯元・山源陶苑さんは、常滑の地で1967年に創業。当時から原型(器を成形する石工型を作る型)を社内で製造し、1つ1つ成形から仕上げ、施釉まで一貫して手作業で製造しています。そのこだわりは今も昔も変わりません。

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山源陶苑さんでは50年もの間、甕(かめ)を作り続けていますが、長い歴史を経て窯元も減少傾向になり、常滑で甕(かめ)を製造している窯元は山源陶苑さんのみになってしまったそうです。

そのような状況下で生まれたパステルカラーの甕(かめ)は、食の安全性を求める機運が高まり、食料の自給を実践する人が増えていることに注目して作られました。山源陶苑さんの手によって、昔ながらの甕は、今の暮らしに溶け込むような配色にして生まれ変わったのです。

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TOKONAMEは、常滑焼の伝統を更新するチャレンジです。常滑焼急須に代表される、茶器を作るために蓄積された多様な技術、素材を活かしながらも、日本茶に用途を限定せず、ティーポットを中心としたティーファミリーを作りました。

常滑焼900年の歴史の中で多くの窯元がそうしてきたように、山源陶苑さんもまた、その歴史と伝統を継ぎつつ、次の世代に繋ぐ新しい形を模索してきました。それが「TEA FAMILY」シリーズです。

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TOKONAMEの器は、新しく調合した土を用いています。昔から常滑で急須や湯のみに使われている様々な土の中から、白泥と呼ばれる白い土を選び、基となる白泥を新しく調合し、顔料を入れて多彩な色の土を作りました。釉薬をかけずに、高温で焼き締めているため、きめの細かな土肌そのままを感じることができます。

常滑焼を知らない人にも「かわいい!」と手にとってもらえることが、山源陶苑さんの喜びだそうです。常滑焼の良さは、触って、使ってみてわかること。まず手に取ってもらうためには、今までとは違うイメージが必要だと考え、そのためのチャレンジを重ねてこられました。


ー想い

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常滑焼というプロダクトが観光の1つになって欲しい。

昔のようにモノを作って出荷するだけが産地の役割ではない、とおっしゃる山源陶苑さん。

モノだけではなく、その背景も伝えていく目的で、直営店「TOKONAME STORE」をオープン。販売はもちろん、陶芸や味噌作りのワークショップを行ったり、店内にコーヒースタンドを設置して作品を実際に使ってもらうなど、作品に触れてもらう機会を増やしています。

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山源陶苑さんの取り組みからは、「より愛着を持ってモノに接してもらいたい」という想いを感じます。歴史を繋ぎ、これからの常滑焼と常滑市の発展に力を注ぐ。「TOKONAME」が作り出す、新しい常滑焼の未来が楽しみです。


ー作り手情報


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