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柔らかな木の感触と漆の彩りが、他には無い存在感を放つ。asadaの軽やかな“洋漆器”


ー作り手

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弊社は椀木地を作る「木地師」から成り立つメーカーです。若い世代の方にも取り入れられる漆器を目指し、“洋漆器”をコンセプトに、ローマ字で「asada」の文字を繋げたものをロゴとし、人と人とのつながりを表しています。シンボルマークは木目、入れ子の器、初代から数えて4代を表すデザインになっています。

石川県加賀市にある山中温泉。1300年ほど前に開湯した由緒ある温泉地で、「asada」さんは漆器の洋食器、“洋漆器”を製作されています。

石川県内には主に3つの漆器の産地があり『木地の山中』『塗りの輪島』『蒔絵の金沢』と称されるように、山中は木を削り出してお椀やお箸などに成形する木地が盛んな地域です。今回ご紹介する「asada」さんも初代の曽祖父さまが109年前に椀木地を製作する木地師を始め、3代目であるお父さまが44年前に漆器の製作販売を開始。現在は4代目となることから、これまでの歴史と想いを込めたシンボルマークを掲げて『洋漆器』を製作されています。

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国産の材料、欅、栓、桜、栗などを使いパスタ皿、カップ、カトラリーなど日常で使える商品を取り揃えています。

漆というと伝統的な黒や朱をまず思い浮かべがちですが、「asada」さんでは淡いブルー、ゴールドといったこれまでにない色合いにメタリックの質感を加えるなど、軽やかな風合いが新鮮です。一方で内側は木目が生かされたデザインになっており、木と漆の両方の魅力がぎゅっと詰まった器は、木地師さんならではの繊細な感性が感じられます。

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伝統的な漆器はお椀やお盆など和食やハレの文化の中で使われるアイテムが多く、かつ華やかな蒔絵となると高価でなかなか気軽に手が出せないため、日常では使う機会が少なくなっていることも事実です。若い世代に向けて様々な選択肢がある中で、“洋漆器”というスタイルにこだわり、実現されたきっかけを伺いました。

ーものがたり

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きっかけはまず、売れるものというよりも自分が欲しい器というところから始まりました。パスタやカレーが好きなのでその料理に合う器ということでリム付きの洋皿からはじまり、カップ、ボウル、カトラリーと徐々に増え、それをブランディングできるようにデザイナーにロゴマークをデザインしてもらいました。

漆器であれば割れる心配もなく軽くて扱いやすく、さらにスプーンやフォークとぶつかってもカチャカチャと音が鳴らないこと、そして何より『大好きなパスタやカレーライス用の食器を漆器でつくりたい』という想いがきっかけになったそうです。

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確かに、漆器=和食というイメージに縛られてしまいがちですが、食器と捉えるとその用途は格段に広がります。自らが若い世代である4代目ならではの感覚、木と漆の特徴を熟知しているからこそ生まれた発想です。出来上がった試作品は必ず日常生活で使用し、女性の視点も生かすために朝礼で意見を聞くそう。
何人ものプロフェッショナルの技や視点、そして熱意を注いでつくられた、他には無い漆器です。

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柔らかな音やまるい口当たりといった五感にも心地よい使い勝手は、漆器にしかない魅力です。売れることよりも『木や漆器の良さ』を楽しい食事の中で生かしたいという素直な想いが、新たな漆器の姿を形にしました。

ー想い

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暮らしの中の洋漆器というコンセプトは漆器に馴染みのなかった若い世代の方にも漆器を使っていただきたいという想いからきています。山中漆器のロクロの技術を活かしながら、今のライフスタイルにも溶け込みやすい仕上げ方にこだわっています。

楽しく軽やかな見た目の裏側には、暮らしに寄り添うためのこだわりが随所に散りばめられています。デザインとしての美しさと日常的な扱いやすさを追求し試行錯誤を重ねた結果、あるお皿は縁を5mmまで削り、木製の器としてはとても軽い150gという軽さを実現しました。

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器のベースとなる木の成形から幾度も検証を重ねられている様子は、木地師さんから始まった歴史とその技が受け継がれていることを実感します。そして、日々直接肌に触れるものだからこそ、気持ちよく使える工夫がいくつもされているのです。

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上質な素材と確かな技術に根ざしたものづくりはそのままに、現代の生活に照らし合わせた形と、優しく可愛らしい色合いが並ぶ様子は目にも鮮やかです。漆器の新たな一面をぜひお手にとって感じてみてください。

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ー作り手情報


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