僕だって信念があった
去年ある出来事がきっかけで亀裂が入ってしまった親友のカラオケの十八番を初めて原曲で聴いた。聴いた瞬間涙が止まらなくてどうしようもなく苦しくなってしまった。初めてこの曲を聞いた時、親友と私は運命共同体と言って良いくらい必要不可欠な関係だった。二人で一つ。私と隣には必ず親友がいてくれた。親友の歌声は綺麗で可愛かった。不意に息絶えてしまうんじゃないかと思うような繊細な声をしていた。親友がいたから生きていた。親友に会うために学校に行っていた。
だけど、お互い今は色々変わってしまったね。いや変わったのは私だけなのかな。あの頃より私は素直じゃなくなったし綺麗に見せることすら諦めてしまっている。自分に対して期待することもなく誰よりも自分を悲観的に見ることで傷つかずにいる。交わることのないはずだった世界に自ら足を踏み入れて必要以上に苦しんだ。もう十分汚れてしまったけど、その曲を聴いた瞬間親友が私に対して怒ってくれたような感覚になった。何してるの、私が好きだったのはそんな貴方じゃないよって。無理やり苦しみに行くのは決して偉くないよって。どんなに寂しくても悲しくても踏ん張ってちゃんと幸せになれるように努力するのが私だったな。いつから手軽に手に入る楽しさに目が眩むようになったんだろう。
私と初めて会った時に「こっちの世界は君には向いていないよ」と言った人がいた。私のどこに不満があったの?と聞いたら「不満があったとかじゃなくて、君はまだ綺麗だからこれ以上汚れちゃいけないよ」と言われた。その意味が今なら分かる気がする。私はまだ全てを捨てきっていない、まだやり直せるとたくさん言われた。
私あと少し頑張ってみようかな。もう少し普通の幸せに期待して良いかな。まだやり直せるなら必死にやり直してみるよ、私頑張るね。
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