君と木曜日

唐突に恋人から別れを告られた。あまりに唐突すぎて私は私で「このまま付き合っていて良いか」悩んでいたタイミングではあったけど心の傷は思いの外大きかった。恋人から別れを告げることは無いだろうと勝手に油断していた。

初めて同い年の人と付き合った。同じ高校の同じクラスの人と付き合ったあの時間は青春をそのまま現実にした日々だった。漫画みたいな日々の連続で本当に楽しかった。だけど、どんどん恋人と友達の違いが分からなくなって私って恋人だっけ？友達だっけ？と戸惑うことが増えた。元々私は愛情表現が苦手で前の恋人にはそれが原因で不安にさせてしまったのに、そこを治すことないまま付き合ってしまったせいで上手く恋人になることが出来なかった。だけど「絶対に冷めることはないし俺が好きになって告白したのに振ることは有り得ないよ」と言ってくれていたから本気で信じていた。正直私が振らなければ高校卒業までは一緒にいられるだろうと思っていた。行きたい場所ややりたいことはまだまだ沢山あったのに。行ける未来を本気で信じていたのに。

急に別れたいというLINEだけ来て理由を聞くと「冷めた」と言われた。

信じられなかった。

信じていた未来が一瞬にして崩れてしまった。

君と初めて見た映画は「アナログ」だった。私が見てみたいと言ったら一緒に見てくれて「教えてくれなかったら知らないままだった、見れて良かったありがとう」と言ってくれた。内容は携帯を持っていない彼女と木曜日にとある喫茶店で待ち合わせをする話で、帰り道にお互い感想を話し合った。君と最後のデートではアナログのロケ地の海に行った。

そういえば君と席が前後で仲良くなるきっかけになった授業は木曜日だったし、付き合った日と別れた日は木曜日だった。木曜日には幸せな記憶がありすぎて次の木曜日が怖いな。本当にアナログみたいな恋だった。

振られるなんて思っていなかったから私は未だにどこかで君が好きなままでいて、生活するだけで苦しくてだけど泣き顔を見せたくなくて学校では人一倍笑っているけど本当はすごく辛い。大事に出来なくてごめんね。沢山不安や不満があったのに伝える努力をしなくてごめんね。周りに全然応援されない恋だったけど私はちゃんと君の良さ見つけていたよ。好きだった。自分の気持ちが分からなくなることが多かったけど好きだったのは事実だよ。私の親友はずっと君のことを認めずに「辞めときな」と言い続けていた。そのことを耐えきれず君に伝えてごめんね。沢山ごめんね。好きになってくれてありがとう。同級生で好きになってくれたのは君が初めてだったからすごく嬉しくて幸せだったよ。だけど振ったことは絶対許さないしわざと未練残させる返信にしたしこれから可愛くなって見返すから。幸せだったけど大事にされてないなと思う瞬間は沢山あったし別れて正解だったのかな。

今までありがとう、お互い幸せになろうね。