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スティーブ・ジョブズが愛した川瀬巴水

川瀬巴水 旅と郷愁の風景を見に
初めてSOMPO美術館に行ってきた

新宿駅西口出てすぐに美術館があるとは知らなかった
丸っこくて可愛い

調べてみると2020年7月10日に竣工した新しい美術館

設計:大成、施工:大成・清水・鴻池建設共同企業体

施工で急に仲間が増えている感じが、色々考えちゃう建築学卒…笑

欧米の美術界を中心に「贋作ではないか」という説が広がった
53億円で落札されたゴッホのひまわりと出会えます
(昨月ゴッホ展行ってきたのでタイムリー🙌)


川瀬巴水 旅と郷愁の風景

開催期間:2021.10.02(土)- 12.26(日)
※予約システムあり

大正から昭和にかけて活躍した版画家・川瀬巴水(1883~1957)の回顧展
巴水は、微風に誘われ、太陽や雲、雨を友として旅に暮らした

近代化の波が押し寄せ、街や風景がめまぐるしく変貌していく時代にあって、
日本の原風景を求める旅をしながら
庶民の生活が息づく四季折々の風景を生涯描き続けた

その版画制作を支えたのが、
浮世絵版画にかわる新しい時代の版画《新版画》を推進した版元の渡邊庄三郎
というのも浮世絵版画は写真や印刷技術の発達に押されて徐々に衰退していっており
これをもう一度復興させようと立ち上がったのが、渡邊庄三郎だった

二人の強固な制作欲は、海外にも通用する木版「美」の構築をめざした
そして今や巴水の風景版画は、
郷愁や安らぎをもたらす木版画として多くの人々に愛されている

わたしの見学時間:2時間強


個人的に面白かったところ、などなど

①版画のデフォルメがよかった

版画で有名な富嶽三十六景もそうだが
波や風や雨がデフォルメされているのが、心がくすぐられた

特に、夏を描いた作品に出てくる雲が好きだ
漫画っぽいようなアニメのようなふわっとした影が描かれているのだ
見慣れているテイストであるからか、親近感がわいたとともに惹き込まれた

囲う線の色も黒ではなく、
青であったりピンクであったり茶であったり、その時の空にあわせて
版画は何度も色を重ねていくものであるから、色の選択が難しそうだなと思った

↓桃色の縁取りがよかった


あと星の表現が⭐︎だったり、虹を3色で描いた「青森縣蟹田」という作品があって
大正時代もこの表現なの!!っていう驚きがある

いつから、星は⭐︎って描くようになったんだろう🤔

②色鉛筆で塗りつぶしたような刷りや、箔押し

ぐるぐる塗り筆跡が残るような切れ込みが入った刷りがある
多分わざと

点描画のような刷りもあったり
箔押しをしている作品もあって
新版画として生き残っていくために
新しいお客さんを獲得するために
新しいことにチャレンジしていこうという意思と遊び心を感じる

③鴇色を知る

鴇色(ときいろ)は、トキの風切羽の色
やや紫に近い淡いピンクであり、黄がちなピンクを想像する人もいる
古名は鴇羽色(ときはいろ)

桃色とはちょっと違うけど、心が穏やかな柔らかな気持ちになる素敵カラー

④版画が出来上がるまでの流れが見える

展示の最後の方で、本人が出演する版画が出来上がるまでの動画があったこと
また刷りが重なっていく中の変化が見える展示もあって
わぁこの色を重ねていくとこの影と光が生まれるのか!すご!となった

右に進むごとに重ねられていく色


⑤まさかのスティーブ・ジョブズの推し版画家だった

巴水を死後さらに有名にしたのはスティーブ・ジョブズであることを知った

まさかのマッキントッシュの雑誌「Macworld」の表紙は
巴水の画像を表示したPCとジョブス

推しと一緒に写真に写りたい精神は
一般人であると自分と近い感覚だなと面白かった

⑥歳をとってからもスランプになるという事実に安心

旅をしながら仕事をするという
わたしとしては憧れる生活をしていた巴水

それでも、名声を手に入れてしばらくたった50代のころに
「画・彫・摺」の作業を分担する新版画と、西洋の技法を用いて、
画家がすべての工程を行う創作版画をめぐる論争が起こると
スランプに陥ってしまったと知って、
どの年代でもスランプになる時はなるし、結果なんとかなるし、
死を迎えいれるほど心を病まないようにだけして
時が経つのを待つのが吉だなと少し気持ちが軽くなった

⑦判子がとにかく好みだった

ぜひ展示を見に行った時には巴水のハンコに着目をしていただきたい!
作品によって押されている巴水ハンコが違っています

どれも象形文字のようなデザインになっていて、ゆるっとしていて
わたしの好みどストライクだった…

そして巴水という名前が良い
水が滑らかな表現とぴったり合うのだ

ポストカードにハンコが押されていなかったのが悲しかった

Today’s ポストカード

次は何の展示を見に行こうかな〜◻︎

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