ロボティクスが浸透した先のイノベーティブな未来とは、どんな世界なのか。そんな「未来構想」を構想・策定するパナソニックホールディングスのロボティクス推進室をイグニション・ポイントが支援しました。当プロジェクトで陣頭指揮を執られた安藤 健氏をお迎えし、当社から髙橋、武田の2名を交えて対談します。
課題──「ロボティクス事業の将来イメージの持ちづらさ」が課題だった
パナソニックホールディングスのマニュファクチャリングイノベーション本部ロボティクス推進室室長で博士でもある安藤氏は、ロボティクス推進室の抱える課題感を口にします。それは「社会課題を解決できるロボット事業の具体イメージをメンバー同士で共有できていないこと」です。
依頼を受けたイグニション・ポイントのコンサルティング事業本部ストラテジーユニットディレクター、髙橋はこのプロジェクトをどのように方向づけていくかを考える上で、大事にしたポイントの1つが「腹落ち感」でした。
メンバー同士の方向性を合わせるとともに、社会へ向けた眼差しも合わせる取り組みが始まりました。
決め手── ストラテジーとクリエイティブの掛け合わせへの信頼
これまでも、ロボティクス推進室でビジョンを策定する取り組みは行っていたと安藤氏は言います。ではなぜイグニション・ポイントを選んだのか。それは、理想像を描くクリエイティブな思考と、論理的な積み上げを行う戦略的な思考、これらを両サイドから引き寄せる必要があったと安藤氏は振り返ります。
イグニション・ポイントの髙橋も、今回こだわった点を強調します。
イグニション・ポイントのストラテジーユニット兼エクスペリエンスデザインユニットシニアマネージャーの武田も、うまく接合させる重要性を強調します。
理想と現実を両軸で接合する能力と期待感。イグニション・ポイントが信頼をいただいた決め手でした。
取り組み── ワークショップの事務局を設定。徹底した自分ごと化
今回のワークショップ運用のポイントは、参加メンバー一人ひとりが「自分ごと化」できること。つまり、自分たちで納得し、腹落ちしながら、自ら主体的に未来構想を策定していくことでした。パナソニック安藤氏側の課題感も同様で、「腹落ち感をどうつくるのか」がワークショップ設計の起点になりました。
イグニション・ポイントからご提案した「メンバーにとって納得感のあるワークショップ」の具体例の1つは、準備していく初期段階からロボティクス推進室の有志メンバー4名に参加してもらい、一緒にワークショップをつくり上げていくことでした。
こうして「自分ごと化」による熱量が生まれる体制を構築し、一緒になってつくり上げる「伴走支援」を実現しました。
他にもビデオ会議のTeamsでつなぎ、大阪と東京の事務局メンバー同士、あるいはイグニション・ポイントのメンバーと、一体感を生むコミュニケーションを毎日のように交えるなど、メンバーの意志が同じ方向を向くことを大事にしました。
成果──「自分たちでもっとできる」という成功体験を得た
ワークショップは、ロボティクス推進室の中から参加した30名ほどに加え、イグニション・ポイントメンバー、安藤氏も一緒に考えるメンバーとして参加しました。計2日間で600以上の未来シナリオをつくり上げ、最終的には31個にまとめました。さらにその後、事務局内で1カ月半をかけて、未来シナリオを1つ策定した、というのが大まかな流れです。
未来シナリオを策定していく過程では、つくりたいストーリーをシーン化し、ビジュアルイラストを一緒に作成しました。「具体的な製品に落とし込むのではなくて、くらしのシーンのイメージを描き切る最終アウトプットをめざす設計が良かったですね」と安藤氏は振り返ります。
現在は1つの未来シナリオが完成し、具体的なビジョンとして掲げられています。事務局のメンバーは活動を続けていて、最後に絞り込んだシーンを具体化するためには何をしなければいけないかを考え、自発的に動いているそうです。安藤氏は最後に、総括してくれました。
(記載内容は2023年11月時点のものです)
取材・文:山岸 裕一
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