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楽食探訪:印象と真逆の豚かつ屋さん。

どう見ても品の無い子ども連れ家族が、
ガチャガチャしながら食事をする光景。

そんな映像のコマーシャルがテレビから
流れてくる、豚かつ屋さん。

地元で長く営業していることは知っているけど、
このコマーシャルを見て、
行ってみたいと思ったことはなかった。

家族連れが利用する、やかましいファミレスの姿しか、
浮かんでこない。

なので、興味もなかった。

でも、頭の隅の方では、何かがずっと引っ掛かっていた。

その小さな思いは、
月日とともに少しずつ大きくなっていった。

そして、数年経った最近、モヤモヤしていたものが、
ハッキリとした姿へと変わった。

あの豚かつ屋さんは、地元で長年利用されている。

潰れることなく、同じコマーシャルを流し続けている。

ということは、もしかしたら美味しいお店なのかも。

もし美味しいなら、
何年も無視したことを後悔するかもしれない。

これは、確かめてみる方が良いのではないか。

真実を知るべきではないか。

これはもう、行くしかない。
食べるしかない。

と決意したものの、気持ちの残り10%で、
わざわざ行くほどのこともないかと。

そんな小さな葛藤は、誰でもあるだろう。

ところが、そんな思いが何年も続くことなく、
すぐに行く機会がやってきた。

お店の近くまで行かなければならない用事ができた。

ほんと、たまたま。
奇跡と言えるぐらいに、たまたま。

いざ、用事を済ませ、そのお店へ。

お店の外観は、家族向けというより、高級な佇まい。

料亭かと思うような、和風イメージ。

中に入ると、すぐに店員さんがやって来て、
人数確認後、席に案内された。

内装もまた、白木を多く使った上品な造り。

入り口近くにはかまどがあり、
かまどでご飯が炊かれている。

コマーシャルの印象とはまったく違い、
期待は大きく膨らむ。

席に座って、お品書きを見る。

これは、ファミレスではない。
少し高めの豚かつ屋さん。

「まんぷくランチ」を注文する。

厚切りロースと海老フライのセットだ。

肉はグラムで選べる。

ご飯は、新潟産のこしひかりか十穀米を選べる。

さらに、味噌汁はわかめかなめこ。

店内を眺めてみると、
「悪くない」「いいじゃないか」と気に入った。

想像と違うことに、かなりの驚きだ。

まずは、冷たいお茶が出され、次に漬け物3種盛りと
ごまの入った小さなすり鉢が置かれた。

客がごまを自分で擂るのだが、
豚かつ屋さんではたまにある。

漬け物は、小梅と青きゅうり、ゆず大根が食べ放題。

ごまを擂って待っていると、おぼんにのった、
ご飯、味噌汁、豚かつと海老フライがやって来た。

豚かつの皿を見て、やや唖然。

キャベツの千切りがマウンテン。
こんなに食えるのかと思うほど。

ここには、自家製新鮮生野菜ドレッシングというものが
掛けられている。

まずは、私が選んだなめこの味噌汁を。

旨い。
なめこの風味が出ている。

味噌汁が旨いと、そのお店の料理は期待できる。

擂ったごまの器に自家製ソースを注ぎ、
豚かつにつけて、パクリッ!

おっ、旨い。
やわらかい。

ほどよく脂ものって、豚の風味が良い。
臭みなど、一切ない。

あぁ〜、失敗したぁ〜。

こんなに旨いお店だったのかという後悔だ。

何でいままで来なかったのか。
あのコマーシャルが悪い。

あんな酷いコマーシャルを流しているのは、
非常にもったいない。

次に、海老フライを食べてみた。

これは、ビックリ。

まさに高級店というのか、老舗洋食店のような味わい。

海老に火が通り過ぎておらず、ややレア状態。

私は、こんな海老を食べた記憶がない。

単純に、プリプリという表現では済まない、
深い海老っぷり。

何てことだ。
何年もスルーしていたお店が、これほどのものとは。

千切りキャベツも良い。

ちょうど良い水分量でパサつかず、
シャキシャキと食べやすい。

自家製生野菜ドレッシングは、
ニンジンをベースにしているのだとは思うが、
他に何が入っているのかはわからない。

でも、マウンテンキャベツを平らげるには
十分な美味しさだ。

食べている途中で、
店員さんがキャベツのおかわりを勧めてまわっている。

さすがにこれは遠慮したが。

それに、こしひかりのご飯も旨い。

釜炊きのせいか、艶があり、甘味も強い。

これもお代わり自由だが、キャベツが多いので、
ご飯は断念。

いやぁ〜、旨かった。
旨いじゃないか。

もっと早く来るべきだった。

私がお店を出る時には、
多くのお客さんが行列を作っていた。

そんなに人気のあるお店だったのかと、
またまた驚いた。

まぁ、行列するのは納得できる。

ごちそうさま。
また来るよ。

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