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身勝手な人間VS優しさを忘れた人間。

国土交通省では、電車などの公共交通機関におけるベビーカーの利用について、統一ルールをまとめる方針だという。ベビーカーの利用者に対するバッシングが起こっているからである。

「最近のベビーカーってやけに大きい。大人一人分以上の場所を取られます」「超ラッシュなのに平然と乗ってくる人。かなり不愉快……」「出入り口に付けられると、結構邪魔なんだよね。抱っこじゃダメなのかな」……。

冷たい言葉だが、言っていることはもっともなことであり、ベビーカー利用者は考えを改めなければならない。

だが、文句を言う側にも、もう少し優しさがあっても良いのではないか。小さな子どもを連れた親の大変さを想像してみて欲しい。1人なら何とかなっても、2人、3人となると、悲痛な顔つきになってしまう。そんな時に、文句を言われるのは辛い。

私にも子どもがいるので、電車移動の大変さは知っている。子どもが小さいと何かと荷物も多くなる。ベビーカーと荷物と子どもでは、相当厄介である。

私の場合は、電車が空いていればベビーカーに乗せたままにし、混雑してきたら、ベビーカーを折り畳み、だっこしていた。かなりしんどいことだが、混雑時に乗った自分の責任だと思っている。それに、こう言うと大袈裟かもしれないが、ポリシーのようなものがあった。

小さな子どもは電車賃を払っていない。無料で乗せてもらう限りは、できるだけスペースを取ってはいけないと思っている。少し大きくなり、電車賃が半額になった時も、半分しか払っていないので、混雑時には子どもを席に座らせなかった。立たせるか、座っている自分の膝の上に乗せていた。1人前の金額を払ってこその権利である。

私の場合は子どもが1人なので、だっこしたり、手をつないで立たせていることもできたが、2人、3人となると、それもできないだろう。

そんな時こそ、まわりの人の優しさが大切なのではないか。だっこできない、他の子どもたちを座らせてあげたり、手をつないであげたりすることはできないものか。「子どもを見てあげるから、ベビーカーを折り畳みなさい」とは言えないものか。

舌打ちしていても、気分は良くならない。ほんの少し優しくしてあげれば、良いことである。お互いが相手を気遣い、相手の身になって考えれば、とるべき行動はわかるものだ。

……と、言いたいところだが、もうそんな時代ではない。どれだけ声高に叫んでも、身勝手な人間は多く、自分の行動を正そうとする人は少ない。ならば、ルールを設けるしかない。情けない、淋しい時代だが、他に方法はない。悲しいかな、そんな国になってしまった。

ルールを作り、利用者はそれを守らなければならない。だからといって、「ルールだから、絶対に守れ!」と責めるのはやめて欲しい。臨機応変、小さな子ども連れの大変さを想像して、多少のルール破りは大目に見る優しさを持ちたいものである。

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