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ハチを“利用して殺す”ために輸入している、日本農業の罪とは!?

実をつける野菜や果物を効率よく生産するために、ハウス栽培では花の受粉作業をハチに頼っている。日本の在来バチが減少しているため、海外から安いハチを輸入して、ハウス内に放っている。

野菜や果物を安く売るために、外来種のハチを利用するのも仕方のないことかもしれない。だが、大きな問題がある。

外に逃げ出すハチがいることである。ハウスは完全に密閉されているわけでもなく、人の出入り時にも外に出るハチはいる。この逃げ出したハチが、日本の自然界に大きな影響をもたらすのである。

1匹だけなら交配しないので、絶命すれば、あまり害はない。……と、簡単な話ではない。

日本の在来種と交雑する可能性が高いのである。これが増えてしまうと、強い遺伝子を持つ交雑種と在来種の戦いが起き、在来種は負けて、絶滅の危機となる。

そうならないために、先頃、国が方針を打ち出した。「2020年までに、外来種の農業利用を半減へ」というものである。

ここで言う外来バチとは、欧州原産の「セイヨウオオマルバチ」で、ハウス栽培のトマトの受粉に利用されている。外来バチには、他にも「マルハナバチ」という種類もいる。

半減させるというのは、少しずつ在来種に代えるということらしいが、ふと疑問がわく。これまで散々利用してきた外来種は、受粉シーズンが過ぎると、どうしていたのかということ。

JAが発行する機関誌に、ある記事を発見した。以下、そのまま転載する。

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交配後のマルハナバチ処理について

交配に飼養したマルハナバチは、外来生物法で特定外来生物に指定されており、飼養や取り扱いには登録が必要であるとともに、厳しい制限があります。
交配作業が終了した後は、マルハナバチが完全に死亡するまでハウス内で巣箱ごとビニール袋に入れるなど、確実に殺処分を行って下さい。

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驚くことに、利用するために輸入して、その後は殺してしまうのである。農業従事者にとっては常識なのかもしれないが、一般人には大きなショックと言うのか、怒りさえ覚える。あまりにも身勝手な行いで、生命を軽く見過ぎている。

その恩恵で作物が安く手に入るのだから、文句の言える立場ではない。だが、納得はできない。許すこともできない。

いま国が方針を示したと言えど、2020年までは同じことが繰り返された。生きるために動物の命をいただくことと、利用するだけで殺してしまうのとでは、まったく意味が違う。2020年が過ぎたとは言え、「半減」止まり。即刻やめるべきである。

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