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消費者は、もう買い物に行かないのか?

ネットスーパーが拡大している。食料品や日用品をインターネットや電話で注文すれば、自宅まで届けてくれる。

過疎化で商店が無くなった町。高齢化による買い物難民。小さな子どものいる家庭や妊婦。日常の買い物に困っていた人たちにとって、非常に有り難い存在である。

ネットスーパーと呼ばれるものの、ネットが使えなくても、チラシを見ながら電話で注文できるので、特に高齢者には便利だ。

また、働く主婦は時間に追われているので、仕事帰りの買い物はキツい。そこで、ネットスーパーの利用が増えている。

どうして、これまで無かったのかと思うほど、大きな社会問題を一挙に解決できる仕組みである。

生協の宅配は存在していたが、制約が多く、使いづらい面もあったため、広く利用されてはいなかった。だが、ネットスーパーのように、地元のスーパーが運営していると、馴染みもあり、安心して利用できる。ハードルは低い。

ネットショッピングの「楽天」までもが、ネットスーパーを運営している。しかも、まだ一部の地域ではあるが、新聞折り込みチラシを配布し、電話による注文も受けつけている。

「楽天」のネットスーパーは、利用者にどんなメリットがあるのか。

地元スーパーでは扱っていないような商品を手に入れることができる。日常の買い物は地元スーパーで、変わったものは「楽天」で、となるかもしれない。また、珍しいものを買うついでに、日常の買い物も「楽天」を利用する、ということも。

何れにしても、消費者にとっては便利な存在が出現したのだと言える。

さて、ここで問題提起。

ネットスーパーは良いことだらけなのだろうか? 確かに便利で、困った問題を解決できる。だが、小さな店はどうなるのか。

買い物のために外出していた客が、外出しなくなる。つまり、来なくなるのである。「面倒だから、ネットで済ませよう」となる。

ネットスーパーが普及すると、食料品や日用品をすべてネットで買ってしまう人が増える。こうなると、店舗のみで商売をしていた店は潰れてしまう。

大手スーパーやチェーン店によって、窮地に立たされている上、追い打ちを掛けられる。このままでは、個人が経営する店は、日本から消滅してしまうかもしれない。

これは、何を意味するのか。

買い物に行かない。すなわち、買い物の楽しさを味わえない。レジャーとしての買い物がなくなってしまう。すると、街に活気がなくなる。活気のない街は、経済が低迷する。便利になることで、経済が落ち込む可能性が高くなるのである。

ネットで儲ける企業が増える反面、多くの小さな店が消えていく。日常の買い物はネットでも、楽しむための買い物の機会を増やす必要がある。

現物を見て、買いたい。あれこれ見てまわりたい。見ていることが楽しい。そんな買い物シーンを創らなければ、小さな店は生き残れない。

そのヒントは、大勢の客で賑わっている店を見れば、わかる。

商品が他と違う。店にいて楽しい。思わず笑顔になってしまう。そんな店でなければ、ネットスーパーには勝てない。買い物の楽しさを味わってもらう仕掛け・演出が不可欠である。

人が家にいては、経済は活性化しない。もっと外に連れ出すことが肝心だ。

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