すねかじりには、マナーがある。
住宅購入の際に「親から援助してもらう」という人が、4割もいるという。
「いい大人が親のすねかじりか!」
「情けないと思わないのか!」
「夢は自分たちで叶えろ!」
そんな厳しい声が聞こえてきそうだ。ならば、批判する人たちに問いたい。もし、親が亡くなったら、遺産は貰わずに放棄するのか?
そんな人は、まずいないだろう。“貰えるものは貰う”ではないのか。生前に貰うか、亡くなってから貰うか。その違いだけで、それなりの大金が手に入ることに、何ら変わりはない。
確かに、家が欲しいからと親に甘えるのは、自立している大人としては抵抗があるかもしれない。だが、親が快く出してくれるのなら、“おねだり”するのも親孝行のうちである。
子どもがいくつになっても、子どもは子ども。可愛い存在であり、さまざまな場面で助けてやりたいと思うものである。
子どもが大人になって、何でも自分でこなすようになってくると、頼もしく感じると同時に、もう自分たちの助けは必要ないということに、淋しさを覚えるものである。
子どもが泣きついてくれば、「しょうがないなぁ〜」と言いながらも、頼られていることが嬉しかったりする。それが、親というもの。まさに、親バカなのである。
お互い立派な社会人なのだから、甘えたり、甘やかしたりするのは、どうかと思う。だが、親子の絆とも言うべきものは、他人には理解できないものである。
もちろん、遊ぶ金をねだる子どもは、突き放さなければならないが、家族の砦を築く金ならば、援助してやっても良いのではないか。当然、できる範囲のことで良い。無理をしてまで助けるのは、“甘やかし”である。
結論としては、「出してもらうわけにはいかない」と、肩ひじを張る必要もないし、恥ずかしいことでもない。他人がとやかく言うのは、単なる妬みだと思えば良い。
親のすねは、一生かじっていれば良いのである。ただし、親が痛がるようなら、直ちにやめなければならない。それが、すねかじりのマナーである。
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