“セーラームーン”を買い漁るアラサー女子。
90年代の少女漫画「美少女戦士セーラームーン」。テレビアニメも爆発的にヒットし、何本もシリーズが生まれた。アニメに登場する主人公たちが持っているアイテムが商品化され、そちらも大ヒット。
だが、どの時代でも“買ってもらえない子”はいて、はかない“憧れ”は、ほろ苦い想い出へと変わってしまうのである。やがて、“買ってもらえない子”は大人になり、想い出は心の奥底で静かに眠っていた。
そこに眼をつけたのが、おもちゃメーカーである。買ってもらえなかった憧れのおもちゃを、少女たちの眼の前に出現させたのである。
大人になったいま、自分の金が買うことができる。おもちゃメーカーが、昔のおもちゃを大人バージョンで復活させたのである。
セーラームーンの「ムーンスティック」「変身コンパクトミラー」……。
特に「コンパクトミラー」は、その実用性もあって、当時の少女、いまのアラサー女子の大人気となった。
子どもの頃の憧れは、非常に強く心に残るもので、それが眼の前に現れれば、大人であることを忘れ、つい買ってしまう。
誰に自慢するわけでもなく、自室でひとり悦に入る。やっと夢が叶った満足感に、酔いしれるのである。
こうした購買行動を「乙女消費」と呼ぶ。昔の憧れを大人になったいま実現する。
この消費活動は、他の世代でも今後起こり得る。各世代ごとに、憧れのおもちゃはあったはずである。
ママレンジ、リカちゃんハウス、シルバニアファミリー……。現在も販売しているものはあるが、できる限り当時のままを手に入れたいので、復刻版を出せば、乙女たちは飛びつくことだろう。
以前、仮面ライダーの変身ベルトが大人バージョンで発売された時には、即、完売となった。
大人がおもちゃを買って楽しんでいる姿を想像すると、微笑ましく思う。くだらないと思う人もいるかもしれないが、純粋な心を忘れない大人たちを批判してはいけない。
辛い社会、厳しい世の中で、しばし笑顔になれる新しい消費活動である。もっともっと広がれば、経済も盛り上がり、みんなが明るくなれる気がする。
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