「食べて、祈って、恋をして」ライアン・マーフィー
どんな映画か(ネタバレなし)
映画は様々なことを教えてくれる。
人生の感動や人々の機微、過去の歴史、現実とは異なるSFの世界など様々だ。
そして、時に映画は旅についても教えてくれる。
それこそが、ロードムービーである。
かくいう私も、この映画を「バリ旅行の検討のため」に観た。
バリ旅行を検討している際に、ちょうどバリを旅する主人公が出てくる映画があるということを知って試しに鑑賞してみたのだ。
人々は、旅に出ようとすると、様々な検索手段を活用する。
インターネットや、専門のサイト、口コミを調べたり、インスタで調べる人もいるだろう。
私は、その中で映画で調べるということも1つの選択肢としてオススメしたい。
時に素敵な物語と、魅力的な主人公の一人称視点を持って、美しい映像とともに特定の事柄について知ることができる。
それは、旅はもちろん、過去のある史実についても興奮を伴って学ぶことができるだろう。
いわゆる、ドキュメンタリー映画である。
(時に大幅な脚色がされていることもあるのでその点には注意だ)
本作「食べて、祈って、恋をして」は、恋や人生に悩む妙齢の主人公が、自分について見つめ直すためにイタリア、インド、バリを旅するという王道のロードムービーである。
一緒に旅をしているような映画体験と、何より主演のジュリア・ロバーツの表情が豊かなので終始楽しく観ることができる。
映画の感想(ネタバレあり)
前半にも触れたが、王道のロードムービーなので力を入れることなく終始リラックスして観ることができる。
主人公であるジュリア・ロバーツが旅に出るにあたり、主人公の友人が「自分探しでインドに行くなんて女子大生みたい」というようなセリフを言うシーンがあるのだが、まさに主人公は典型的な自分探しの旅を進めていく。
題名の通り、「食べて、祈って、恋をして」である。
このうち、「祈って」というのは日本人には馴染みがないかもしれない。
しかし、この「祈る」という観点は本作においては結構重要である。
というのも、主人公は旅に出るきっかけとなった離婚の際に初めて本格的に神に祈る。(おそらくキリスト教の神)
その後、インドで瞑想の修行を通じて、己と神に向き合う。(おそらくヒンドゥー教の神)
そして、最後にバリで宗教指導者的なおじさん(主人公の人生の師である)から人生や神について諭される(おそらくヒンドゥー教の神)
というような形で、どの宗教の神であるかという点は違えど、祈りによって自己を超越した存在と対話をすることで自己に向き合っていくのである。
とはいえ、作中に出てくる彼女の祈りは神から答えをもらうような祈りというよりは、自己内省的な祈りなので、日本人の自分探しの旅とも通じるところが多いと思う。
恋に振り回されていた主人公が、最終的に祈りを通して人生のバランスが重要だということに気づいたものの、「愛するために人生のバランスを崩すことは、人生のバランスの一部なのだ」というようなことを人生の師に言われたことで再び恋に傾倒していくのは多少ツッコミどころはあるが、映画を通して旅行のような新しい刺激と息抜きを、何よりリラックスした中で得るには良い作品だと思う。