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「森林宣言評価」日本語翻訳版を公開しました

2022年10月にForest Declaration Assessment Partnersにより公表された “Forest Declaration Assessment: Are we on track for 2030?”の日本語翻訳版「森林宣言評価 我々は2030年に森林の世界目標を達成できるか?」を6月8日に公開しました。
Forest Declaration Assessment Partners は、2014年の「森林に関するニューヨーク宣言」や2021年の「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」などの国際宣言で定められた、2030年の森林の世界目標に対する取り組みの進捗について評価を行い、その結果を公表しています。

「森林宣言評価」は、森林の世界目標の達成に向けて「森林の包括的目標」、「持続可能な生産と開発」、「森林資金」および「森林ガバナンス」の4章の評価で構成されています。

はじめの章「森林の包括的目標」では、「2030年までに天然林の損失と劣化を止める」「2030年までに劣化したランドスケープと森林地を3億5000万ヘクタール回復させる」という2つの世界目標への取り組みに対する評価を行っています。2つの世界目標の達成までの残り期間は限られていますが、現状ではこれらの目標達成を示す指標はありません。

「持続可能な生産と開発」では、気温上昇を1.5℃未満に抑えるために重要な、「2025年を期限とする農産物の生産による森林減少の停止」という企業目標に沿って、農業、採取産業、インフラなどの森林減少や森林劣化の原因となる経済セクターと、その活動調査を基に評価を行っています。しかしながら、民間セクターの目標達成には到っていません。政府、企業、市民社会の協力により適切な森林行動を実施していく必要があります。

「森林資金」の章では、森林セクターへ資金を導入する近年の政策、森林資金における公的資金・民間資金と炭素市場の役割について評価しています。また、新たな森林資金関連分野である、公的セクターのガバナンスメカニズム、先住民族と地域コミュニティ(IPLC)のための直接資金メカニズムおよび自主的な炭素市場の役割などについても言及しています。評価によると森林の世界目標の達成には到っていません。森林の保護・回復およびパリ協定に沿った社会実現のために関係機関・団体の投資を増やし、連携ある行動が求められます。

「森林ガバナンス」の章では、ガバナンスの要素となる、持続可能な森林管理と保護に関する法律、政策、制度の枠組、需要サイドの対策と国際的関与、法の執行、保有権利保障、権利保護、先住民族と地域コミュニティのエンパワーメント、透明性、市民参加、司法へのアクセスについて評価を行っています。現状では森林減少および森林劣化の抑制ためには十分には目標達成ができていません。

森林宣言評価の内容は、我々の社会が森林資源のさらなる利用による森林減少および森林劣化を防ぎ、持続可能な資源の利用を進めていくためには、政府、企業、投資家および消費者の行動によって、現在の森林が置かれている状況を把握し、それに対する適切な対策を取ることを示唆しています。

詳細は、IGESのホームページにて掲載されている日本語翻訳「森林宣言評価 我々は2030年に森林の世界目標を達成できるか?」をご覧ください。

https://www.iges.or.jp/jp/pub/shinrin-sengen-hyoka-wareware-wa-2030-nen-ni-shinrin-no-sekai-mokuhyo-o-tassei-dekiru-ka-yoyaku

【7月14日追記】
8月22日(火)に、この「森林宣言評価:我々は 2030 年に森林の世界目標を達成できるか?」の解説ウェビナーを開催します。この評価報告書について詳しく知りたい、という方はぜひご参加ください。

「IGES日本語で読むシリーズ」解説ウェビナー 第3回
森林宣言評価:我々は 2030 年に森林の世界目標を達成できるか?
8月22日(火)12:15-13:00

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