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人材の確保と育成の”その先”に… 〜 Big Pictureは誰が描く? 〜

先日、仕事で、いろいろな部署の取り組みをきく機会がありました。市役所なので、分野は多岐におよびます。それぞれの分野ごとに、①現状と課題、②目下の取り組み、③将来にわたって取り組まなければならないこと、あたりの説明を聞いていて、ふと気付いたことがありました。

あらゆる分野で、人材の育成と確保を叫んでいる!

まずは、市役所の「デジタル化・DX」の取り組みです。市民課の窓口において、ワンストップ化を短期的には目指し、近い将来は「来なくてもいい役所を目指す」と。そのためのロードマップと各種取り組みは、こうなっている。で最後に、一番必要なのは、これからのDXを推し進めるための「人材の確保」という説明でした。

2番バッターは、「防災」です。昨今の異常気象、ゲリラ豪雨、線状降水帯、地震などなど枚挙にいとまがない災害に対し、”ひとりも取り残すことなく”、どう市民の生命を守のか。自助・互助・共助を編み込みながら、これまで以上により具体なシミュレーションと訓練を重ね、住民の意識も高めていく。とはいえ、広い国土、増え続ける一人暮らし高齢者をはじめとする要援護者。役所だけではやりきれません。ここでも鍵となるのは、防災士という「人材の確保と育成」です。

続いて、「医療・介護」。「団塊の世代」が75歳の後期高齢者となる2025年以降、ますます進んでいく超高齢化と少子化。支える側と支えられる側のギャップの例として最も理解しやすい領域である医療・介護。
私が暮らす福島県いわき市は、人口30万人規模の”中核市”。現在、全国に約60ある中核市のなかでも、人口10万人あたりの医師の数が「56番目」という少なさ。医師も、看護師も、介護従事者も現時点で不足しているのに、これからますます、その不足が際立っていく。そして、これは多少の差こそあれ、全国どこでも同じような状況。他から呼ぶのではなく、将来の医療介護人材を「育成」していかなれければなりません。

最後は、「コミュニティ」です。隣組などの自治会。消防団。民生委員など最も身近で、日々の暮らしを支える根幹をなすコミュニティ。これもまた、人手不足と高齢化に悩まされています。
個人的な話ですが、今年、自分が暮らす地域の自治会に関わる機会をいただきました。月に3回200戸分の回覧物を配布したり、毎月の会議に出たり、避難訓練に参加したり、区費や募金を取りまとめたりしています。感想も含め、今回とはまた別に改めて、「リアルコミュニティへの参画」について書きたいと思います。
話がそれましたが、このコミュニティにおいても、年配の方々が少ない人数で支えてらっしゃいます。ここでも人材の「確保」は急務です。


あれっ?!そんなに頭数いたっけ?

とまぁ、どの領域でも、最終的に重要なのは、それぞれの領域を担う『人材」だというわけです。で、短中期的にはそんな人材を『確保』し、長期的にはそんな人材を『育成』する。
「おっしゃるとおりだと思います」という言葉しか出てきません。That's Right!

だけど、”そんなに頭数いたっけ?!”
試しに、44歳である自分と14歳になる子どもの年代の人口をググってみますと、

44歳:約173万人
14歳:約108万人

総務省:2021年10月1日時点における人口推計

30歳、年齢の離れた親子では、数にして65万人、率にすると約4割も違うことがわかりました。単純に考えると、私たちが5人でやっていたことを、子どもたちは3人でやらないといけません。それが、同じボリュームならまだしも、ボリューム自体がより大きく重いものを、より少ない人数でやらなければ、、、なのかもです。


「マジメに、一生懸命に」のその先に

どの領域、どの分野の担当者もみなマジメに一生懸命に取り組んでいます。それぞれの担当する領域の課題を深く掘り、その課題解決のために何をすべきか考え、短・中・長期ごとの取り組みを検討し、調整し、実行しようとしています。そして、長期的に行き着く先が、領域こそ違えど、人材の「確保」と「育成」だというわけです。

かたや、間違いのない将来推計として、未来を担う人材の「母数」というのはどんどん少なくなっていく。
あらゆる領域・分野で人材の確保と育成が求められていく一方、その人材の母数は減っていく逆ベクトル状態。特定の領域が”一時的に”、声と力を大きく持ち、限られた人材のパイを奪うということは避けたいもの。なぜなら、どの領域も、私たちの暮らし、私たちの将来に大事なものであるのだから。


マジメに一生懸命、それぞれの領域や職務の課題を掘り進め、解決に向けたアプローチに取り組みながら、「全体」についてもちょっと思いを馳せる。

誰が、全体の「Big Picture」を描くんだろう?
誰が全体の「最適解」を調整するんだろう?
ということを考えたくて、このテキストを書き始めましたが、「誰が」ということではないのかもしれないなと思うに至りました。

いるかいないか、現れるか現れないか分からない「誰か」を待つのではなく、まさに、今この時代に、それぞれの分野を担っている私たちが、時々、自分たちの分野を超えて、全体や将来について思いを馳せ合う。問題意識を時々、思い出す。そうしていくことが、私たちの暮らしや将来を少しずつでもよくしていく、第一歩なのかもしれません。
この「”人材の確保・育成”と”その先”問題」については、これからも考え続けていきたいと思います。


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