【医学部受験】理科勉強法、問題集(化学・物理・生物)まとめ

医学部受験では、ほとんどの大学で理科2科目が必須となります。

化学・物理・生物の3科目から2つを選ぶのですが、多い組み合わせとしては、「化学+物理」もしくは「化学+生物」です。「物理+生物」という選択をする人もいない訳ではないものの、かなり少数派ではあります。
理科の選択方法については別のnote記事で解説しているのでこちらをご覧ください。


勉強を進めていくと分かるのですが、理科2科目の習得って予想以上に大変なんです。
どの科目もシンプルに分量が多いので、ちゃんと戦略を考えて進めないと、
「最初の方に時間をかけすぎて後半穴だらけ」とか「苦手分野の暗記を放置してたらいつのまにか受験が迫っていた」といった事態になります。

しかも医学部受験では、数学も数3まであることを考えると、理科ばかりに時間を使っている訳にもいかず、限られた時間で効果を出せる勉強をしていく必要があります。

このnoteでは、まずどの科目にも共通して言える、医学部理科勉強のポイントについてお話します。次に、化学、物理、生物それぞれ個別に勉強のコツをみていきます。

試験範囲が膨大であるからこそ、勉強を始める前の方針がとても大切になります。まずは戦略を知り、理科を効率よく習得していきましょう!

医学部理科対策のコツ〜戦略編〜

ほとんどの医学部の試験範囲は、「理科2科目+数学(1A2B3)+英語」です。これらの科目の内容をすべて習得するには時間がかかります。
まずは英語・数学1A2Bをできるだけ早く完成させ、その後で理科と数3を習得していきましょう。

戦略を立てる上で重要なのは、「まずは全教科の基礎力をつけることを目標にする」ということです。

例えば、化学が得意な受験生がいるとして、「自分は化学が好きだから、化学を極めて得点を伸ばしたい!だから嫌いな物理は放っておいて、とにかく化学中心に勉強するんだ!」と考えたとします。

でも、それでうまくいく人はごくごく稀で、大抵は失敗してしまうんです。
なぜなら、医学部受験ってライバルのレベルが高いので、少々化学が得意でもそこまで点差がつかないのに対し、手を抜いてしまった科目が1つでもあれば大きく引き離されてしまうからです。

「特定の科目で引っ張る」という考えは、戦略上うまくいってないと言えますね。

また、「私はひとつひとつを完璧にしてから次に進みたい!だから、数3を完璧にしてから理科に入る!」みたいな人もいるかもしれません。
受験までの時期に余裕がある場合は問題ないのですが、受験が近くにつれ、この方針はリスクが高くなってきます。

繰り返しますが、医学部受験はとにかく試験範囲が広いです。
ひとつひとつを完璧にしようとしすぎると、試験範囲全てをカバーするのが間に合わなくなることがあります。

特に現役生の場合、化学の高分子、物理の原子、生物の進化と系統など、教科書の最後に出てくる分野の習得が不十分なまま入試を迎えるケースが多いです。
医学部入試では、このような分野も頻出であり、合否に大きく影響します。

医学部に合格するためには、どの科目のどの分野においても抜けなく習得していくことが重要となります。
まずは全教科全分野で穴のない状態を目指しましょう。
「全教科全分野とも十分な基礎力がついてから、余裕があれば応用に入る」という戦略で進めるのがおすすめです。

医学部理科勉強のポイント(全科目共通)

化学、物理、生物の勉強で共通して重要なのは、「基礎の徹底と本質の理解」です。

医学部の理科というと難しいイメージがあるので、とにかく応用問題の演習を行い、思考力や知識を身につけることが大事と考えている人も多いのですが、実は医学部受験において最も合否をわけるのは「基礎の徹底」です。

実際、当塾の卒業生のほとんどは、
講義型参考書+基礎問題集(体系物理 or Excel化学 or Excel生物)
といった基礎問題集のみの習得で医学部に進学しています。

基礎問題集だけで合格できるのって、そんなに難しくない大学だけなんでしょ?と思ったかもしれませんが、そうではありません。


合格体験記を抜粋すると、合格者の使用した参考書はこちらです。

2019横浜市立大&日本医科大学(特待)合格
使用した理科参考書:「Excel生物・Excel化学・講義型参考書」のみ

2019筑波大学&日本医科大学合格
使用した理科参考書:「体系物理・Excel化学・講義型参考書」のみ

このように、基礎の習得のみで国公立大学医学部・難関私立医学部まで対応できることが分かっています。

基礎力がまだ十分についていない状態で焦って応用問題に手を出してしまう受験生は少なくないのですが、実は1番大事なのは基礎を徹底的に固めることなんですね。

なんだ、基礎の徹底だけでいいなら医学部楽勝じゃん!と思った人は要注意です。

一見易しそうに感じるものの、「基礎の徹底」は簡単ではありません。

例えば、問題集に出てきた問題を丸暗記しただけでは入試問題を解くことはできませんし、最初から教科書を隅から隅まで覚えようとしても点数に繋がりません。

基礎の徹底のために重要なのは、本質の理解です。

本質の理解を深めるために、まずは用語の定義・公式の成り立ちや使い方を正確に抑えましょう。

それができたら、
「現象の仕組みを何も見ずに説明できるか」
「どうしてこのような現象が起こるのか」
「どうしてそれが大切なのか(=意義は何か)」
「類似事項との相違点・共通点は何か」
というように、様々な角度から理解を深めていきましょう。

本質の理解に基づいて暗記した知識は定着が深く、視点を変えた出題にも対応することができます。

基礎問題集をベースとして身につけながら、講義型参考書を併用し、丸暗記ではなく理解を伴った学習を進めていきましょう。

医学部化学勉強法

<医学部化学の勉強法のよくある間違いと正しい勉強法>

医学部化学対策として、
・難易度の高い理論の計算問題
・マニアックな知識問題
・構造決定の応用問題
などを思い浮かべる受験生は多いのですが、これはよくある間違いです。

医学部受験において最も重要なのは応用問題の習得ではなく、全分野で基礎を徹底的に習得することです。

<医学部化学対策のポイント>

ポイント① 全分野抜けなく習得する

苦手分野や習得が手薄な分野で大問ごと失点してしまうと、医学部合格可能性は大きく下がってしまいます。

苦手分野がある場合は放置せず、早めに対策しましょう。
また、特に現役生は高分子の分野の習得が手薄になりがちなので注意が必要です。

ポイント② 処理能力を鍛えて解くスピードを上げる

医学部入試では、問題自体は難しくないものの、試験時間に対して問題数が多いことがよくあります。
普段の学習から処理能力を鍛え、解くスピードを上げておきましょう。

問題演習をする際、ゆっくり解く癖がついてしまっている人は要注意です。
習得のはじめの段階で速く解く必要はありませんが、徐々にスピードを意識して学習しましょう。

速く解いて計算ミスを連発していては意味がないので、「ミスなく速く解く」ことが大切です。

<化学を勉強する時のアドバイス>

先ほど書いた通り、理科の勉強で大切なのは「基礎の徹底と本質の理解」ですが、問題集だけを使用すると、理解が伴わないまま解法を丸暗記しやすくなります。

問題集を使う際は講義型参考書を併用し、理解を伴った状態で問題演習をするのがおすすめです。
本質を理解していると暗記の定着がよくなる上、問題をひねられた時にも対応できる力がつきます。

<具体的な勉強のコツ>

理論化学を習得するコツ

理論化学は、計算問題の多い分野ですが、化学を理解する土台となる重要な分野でもあります。
ここをおろそかにすると、無機化学や有機化学でも得点力をつけることはできません。

公式や計算の理解をスムーズに進めるためにも、基本的な用語の定義、公式の意味や使い方を正確に暗記していくことから学習を始めましょう。

次に、計算問題を解く方法を身につけていきます。
計算問題といっても、単純な数字の処理ではありません。
「何をしたらどのような現象が起こるのか」、明確なイメージを持ちながら公式の使い方を学ぶことが重要です。

問題演習の際、やみくもに公式に当てはめて計算するのはNGです。
その法則が「どのような条件下で」「なぜ」使えるのか等、本質を理解した上で計算式に取り組んでいくことが理論化学の理解を深めるコツです。

情報をスムーズに整理するためにも、計算式を解くときには単位を省略せず、きちんと書き入れるとよいでしょう。

無機化学を習得するコツ

無機化学は暗記量が多い分野ですが、法則などが見つけにくく、単純暗記に苦しむ受験生はたくさんいるのではないでしょうか。

無機化学を暗記する際は、知識をイメージとともに暗記し、整理した状態で頭に入れることが大切です。

色や性状の書いた表などを単に丸暗記しようとしても、なかなか頭に入らない上すぐに忘れてしまいます。
教科書や参考書に載っている写真などを活用し、物質や反応の様子を視覚的に捉えてイメージとともに暗記しましょう。
歴史の年号のように、ゴロ合わせで暗記していくのもオススメの勉強法です。

紛らわしい物質、反応などはしっかりと整理した状態にまとめておくことも重要です。整理して暗記しておくことで、正誤問題などで紛らわしい選択肢があっても自信を持って答えられるようになります。

様々な工夫をしながら暗記を繰り返し、知識に穴をなくせば安定して高得点を取れる分野です。無機化学で失点するのはもったいない!

有機化学を習得するコツ

有機化学で高得点を取るためのポイントはこの2つです。

①知識を正確に暗記する

②本質を理解した上で知識を関連付ける


有機化学では、正確な知識なくして問題を解くことはできません。
まずは官能基と命名法をきちんと暗記していきましょう。これらは有機化学を学ぶ上での土台となる大切な部分です。

一方、有機化学は単純な暗記科目ではありません。
基本的な法則の理解に基づき、知識を関連付けることが重要なのです。

例えば、化学反応を個別の知識として暗記してしまうと、問題で聞かれたときに対応することができません。
反応を単に物質名で暗記するのではなく、「何が原因でどのような反応が起こるのか」という理屈を理解した上で暗記していきましょう。

こうして身につけた知識は、有機物の構造決定問題にも応用することができ、有機化学の点数アップに繋がります。

<具体的な勉強の流れ>

STEP1. 講義型参考書で化学の本質を理解

まずは問題集ではなく講義型参考書を読み、用語の定義・公式の成り立ちや使い方を正確に抑えましょう。

参考書に書いてある内容をいきなり丸暗記しようとするのでなく、化学の現象・本質を理解することを目標としましょう。

問題演習をしていく中でわからないことや忘れていることがあれば、講義型参考書に戻って何度も読み込んでください。
単なる知識や公式の暗記ではなく、理解を伴って学ぶことが非常に大切です。

STEP2. 問題集で問題演習を行う

基礎問題集としては「Excel化学」がおすすめです。
基礎〜標準レベルの問題が網羅して掲載されており、暗記事項も整理されているため基礎固めに最適です。

国公立医学部、私立医学部問わず、「Excel化学」の習得のみで難関医学部まで合格した例があります。

医学部化学おすすめ参考書
「宇宙一わかりやすい化学」(講義型参考書)
「エクセル化学総合版」(基礎問題集)
「化学 標準問題精講」(*基礎の習得が完了した人向け。)

医学部物理勉強法

物理の成績が伸びないのは勉強法が悪い?

「物理に時間をかけて勉強しても一向に成績が伸びない…」という受験生は少なくありません。

このような人は、そもそも物理の勉強法が間違っている可能性が高いです。
よく間違った勉強法はこちらです。

①本質を理解せず、ただ公式に当てはめて解いている
②基礎ができていない状態で応用問題集を使っている

このように、間違った勉強法で勉強してしまうと、どれだけ時間をかけても成績は伸び悩みます。

他の科目でも同様なのですが、特に物理は単純暗記で対応できる問題が少ない分、「本質の理解」が成績を伸ばすカギを握ります。

<物理を勉強する時のポイント>

物理を勉強する上で最も大切なのは本質を理解することです。

まずは、講義型参考書を読んで物理現象のイメージを掴み、その現象と法則のつながりをしっかりと理解して物理の基礎を築いていきましょう。

物理は根本がしっかり理解できていないと、少し問題をひねられただけで手も足も出なくなってしまいます。

物理が苦手な人で最もよくあるのが公式の丸暗記です。

現象の意味を理解せずに公式だけを暗記してしまう勉強では、応用問題になると式すら立てられなくなってしまいます。
問題演習で解けなかった時は、必ず原理原則に戻って考えるようにしましょう。

物理は基礎がしっかりわかってしまえば、高得点が取れる科目です。
逆に、基礎の理解ができていない状態で難しい問題集の解説を読んでも成績はのびないので注意しましょう。

<具体的な勉強の流れ>

STEP1. 講義型参考書で物理の本質を理解

まずは、「宇宙一わかりやすい物理」から学習を始めます。
ここで物理の基礎をイメージとともに理解しましょう。

非常にわかりやすく書かれており、「医学部受験には易しすぎる」と感じてしまう受験生もいるかもしれませんが、ここで本質を理解するかしないかでその後の成績の伸びは大きく変わります。

医学部によっては、この参考書をしっかり読み込み、別冊問題を完璧にするだけで合格レベルまで到達できるほど充実した内容です。
絶対にスキップせず、きちんと理解出来るまで反復して読み込みましょう。

<卒業生の体験談>
2019筑波大学&日本医科大学合格
使用参考書は宇宙一わかりやすい物理・体系物理のみ。
→受験後の振り返りでは、「受験直前まで宇宙一わかりやすい物理を熟読し、本質の理解に努めていた」とコメントしていました。


STEP2 問題集で問題演習を行う

基礎問題集としては、「体系物理」がおすすめです。
物理において解いておくべき大切な問題が過不足なく網羅されています。原理原則や公式を導く問題が多く掲載されているため、基礎固めに最適です。

どうしてこの公式が成り立つのか、という物理の根本を学ぶことができるので、効率よく物理の実力を鍛えることができます。

ただし、「宇宙一」を用いて本質の理解が十分できていることが前提になります。
「体型物理」だけをただ繰り返して暗記をしても成績は伸びませんので十分注意してください。

医学部物理おすすめ参考書
「宇宙一わかりやすい物理」(講義型参考書)
「体系物理」(基礎問題集)
「名問の森」(*基礎の習得が完了した人向け。)

医学部生物勉強法

医学部生物対策のよくある失敗例

医学部の生物対策としてよくある失敗はこちらです。

①医学部対策として、医療系の知識を中心に勉強する
②分野ごとに習得度がバラバラで、苦手分野の暗記ができていない

医学部に向けて特別なテキストが必要と考えている受験生は多いのですが、これは誤解です。
確かに、医療系のマニアックな知識問題を出す大学もありますが、そのような問題ではほとんど差はつきません。

②は特に現役生に起こりやすい失敗です。
医学部では全分野まんべんなく問われるため、どの分野も徹底して習得しておくことが非常に大切となります。

<医学部生物対策のポイント>

医学部受験において最も重要なのは、基礎事項の定義やしくみを徹底に理解し、正確に暗記しているかどうかです。
まずは全分野通して、基礎事項を正確に暗記・理解するようにしましょう。

知識を暗記する時は、一問一答形式で覚えるのではなく、現象の仕組みを理解した上で覚えるのがポイントです。
また、紛らわしい用語が出てきた際は【定義】を正確に抑え、違いを整理しておきましょう。

基本事項の暗記ができた後、考察問題に取り組みましょう。
考察問題ができなくて悩む受験生は多いのですが、考察問題・実験問題というのはその分野の基礎事項をしっかりと理解し、暗記していることが前提で作られています。
基礎ができていない状態で思考問題に取り組むと非常に効率が悪いため、この順番を守ることが大切です。

<具体的な勉強の流れ>

「大森徹の最強講義」(講義型参考書)を併用しながら、「Excel生物総合版」(基礎問題集)を解いていきます。

「Excel生物」は、基礎問題が網羅的に掲載されており、暗記事項も整理されているため基礎固めに最適の問題集です。
解き進める中で分からないところが出てきたら「大森徹の最強講義」を何度も読み込みましょう。

「大森徹の最強講義」を使う時のコツは、まずはすべて暗記しようとせずに、現象の仕組みや流れなどをざっくりつかむことです。
基本からわかりやすく解説してあるので、苦手な分野や、問題集の解説だけでは理解しにくい事項は特に重点的に読み込みましょう。

この2冊の習得で、難関まで含め医学部に合格可能です。
色々な問題集に手を出すのではなく、大森の生物を併用しながら、Excel生物を完璧にしましょう。

<考察問題・記述問題対策について>

多くの考察問題では、「背景知識を基に問題文の内容を正確に理解できるか」が問われています。
問題集や参考書に載っている背景知識が前提になっている問題が多く、「ひらめき」や「思考力」だけが問われることはほとんどありません。

模擬試験や過去問演習で初見の問題が出た時は、
「この考察問題を解くために必要な背景知識は何か」
「問題文を正確に理解するためには、どうやって実験内容を整理すればよかったのか」
を考えてみましょう。

また、記述問題対策として特別なことをする必要はありません。
・問題集にある記述問題を自力で書けること
・教科書に出てくるような基本事項を記述で説明できること
この2点を抑えることで、大抵の記述問題に対応できます。

基本を身につけた後は模擬試験や過去問演習にて「書き方」を練習しましょう。まずは要点や回答の核となる部分を簡潔に書き、字数制限に合わせて根拠や補足知識を記載するのがおすすめです。

医学部生物おすすめ参考書
「エクセル生物総合版」(基礎問題集)
「大森徹の最強講義 新課程増強版」(講義型参考書)
「生物 標準問題精講」(*基礎の習得が完了した人向け。)


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