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女医のキャリアにおける妊娠・出産のベストなタイミングと診療科の選択は?

今回は女医のキャリア、特に妊娠・出産のベストなタイミングと診療科の選択について考えてみたいと思います。

はじめに

女医のキャリアにおける男性医師との決定的な違いは、妊娠、出産、育児があることです。

子供が欲しい場合、女医は「医学生→研修医→専攻医→専門医」という医師のキャリアのどこかで妊娠、出産、育児をしなければいけません。

おそらく妊娠や出産はキャリアを積んでから、仕事である程度力をつけてからと漠然と考えている方が多いのではないかと思います。

そういう方には以下の投稿が参考になります。

2018年に拡散された「私が医療崩壊のトリガーになる未来」という研修医2年目の女医がキャリアについて書いた投稿です。ご存知の方も多いのではないでしょうか。妊娠や出産の時期について悩む女医さんの心情が赤裸々に表現されています。ややネガティブですが、マイナー科にすすむ女医さんの心情として当時はかなり話題になりました。

高校卒業後現役入学してストレートで卒業できて24才です。研修医が2年ありますから、その段階で26才。研修医終えたら希望の診療科に入局です。ここでやっと自分の専門を決められるわけです。そこで何年か修行して専門医取って一人前というのが医者の大まかな流れです。あとは大学に残るも自由、基幹病院行くのも自由、開業するのも自由です。最近は皆さん医学部卒業後に研修医を2年やることは割とご存知かなと思いますが専門医って何?って人が多いかと思います。まぁ箔付けみたいなものでみんな持ってるから持たなきゃねみたいなものです。しかしこの専門医を取るのが厄介なんです。加えて専門医制度は今年大きく刷新され、中でも内科専門医の変更については議論を呼びました。
この専門医取得については各診療科ごとに決められた常勤年数があります。
今までは1年の研修で内科認定医を取得、その後4年で各サブスペシャリティ(循環器・呼吸器・消化器etc)の専門医資格を得られました。しかし、新制度では初期研修終了後3年の研修で内科専門医を取得し、さらに研修を積んでサブスペシャリティの専門医取得となります。今までは1年でよかった内科認定医を取るためのローテーション研修が2年伸びました。
これがどういうことか分かりますか?今までは26で研修医終わって27で内科認定医、これでいよいよ循環器内科で頑張るぞ!だったのが、29で循環器内科だ頑張るぞ!になったんですよ。このサブスぺシャリティという真のスタートラインが29才になったのが新専門医制度。18才で医学部に入って真のスタートが29才って。
妊孕性が年々低下していくことなんて世間でも認知されていて、国家試験でDown症は高齢出産ほど起きやすいなんて選択肢まで出すのに私たちはいつ妊娠すればいいの?29で真のスタートラインに立った、けれど子供産んでから復帰するのであと3年は待ってくださいになるのでしょうか、それとも研修医終わりました、26で子供産んで落ちついてからから内科認定医取ります、みたいな流れなんですか。
「命を扱う仕事だから当然だ」「子供産みたいなら医者になんかなるな」
世間様はそう言う声が多数派なのかな。しかし私だって結婚したいし子供が欲しいし人間的な生活を送りたい。
あぁ、私みたいなのが医者になったのが間違いだった。知らない誰かを最優先できる人、自分の、女の、幸せ全て投げうてるような人が「女医」として許される人間なんだと自責する日もあります。でももう私も26だから。辞めて今更人生やり直せないの。ごめんなさい。
「小児科の○○先生さ、終業と同時に走って帰っていくの。そうしないと保育園にいる子供のお迎えに間に合わないから。旦那さんも産婦人科だからさお迎えは○○先生なんだって。…ああはなりたくないよね」
同期はこんなことを言っていた。小児科の○○先生みたいになりたいって女性学生はいるのかな、私の周りにはほどほど働いて後は子育てしたいって人が多かったです。
じゃあ何科に進もう。
そうです、マイナー科です。言わずと知れた皮膚科、眼科、耳鼻科に加えて直接患者を持たない「病麻放」。
「うちの科は女性が多いし、女医さんに優しい環境だよ。○○先生も××先生もお子さんがいても働いているし医局としても女医さんを応援しているからね。」
こうした声をかけてくれるマイナー科に行こうと思いました。マイナー科は大体5年で専門医取れるし、急変も少ない。患者も少ない。もしくはない。
最高の仕事場だと思いました。ここに骨をうずめようと。

出典:私が医療崩壊のトリガーになる未来

医師という仕事は専門職であるという性質上、今までの経験に積み重ねて新たな知識を学ぶ必要があります。また、人の命に関わる仕事でもあることから、責任が重く、本来ならば途中でキャリアを中断するのは望ましくはありません。

こういった職業的な観点から考えていくことも必要ですが、生物として妊孕性という観点から考えることも忘れてはいけません。

今回は、妊娠、出産、育児をする上で、適切な診療科選び、どのタイミングで出産するのがベストなのかをさまざまな観点から考察していきたいと思います。

妊孕性から考えた出産のタイムリミット

女医も人間である以上、出産する年齢にも限界があります。欲しい子供の人数によって「妊活を始めるべき年齢」の目安がわかる有名なデータがありますので、ご紹介します。

上記表によると、欲しい子供の人数によって、妊活を始めるべき年齢が変わります。なので、まず最終的に自分が何人の子供が欲しいのかを考える必要があるのです。

参考となるデータを紹介します。

2022年の合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に生む子供の数)は、1.30です。

夫婦の最終的な平均出生子ども数を意味する完結出生児数は、1.94(2015年)でした。

なので、平均的な夫婦は2人の子供を授かっているということになります。

確かに子供2人というのは少なくもなく、多くもなく丁度良い数だと感じますし、私自身も2人くらいは子供が欲しいと思いますので、妥当な数ではないでしょうか。

そこで子供を2人欲しい場合について、考察をしていきたいと思います。

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