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学びを引き立てる振り返り

どんなにいい授業をしても、体験談として生徒の記憶に残らなければ、それはただの面白い授業で終わってしまいます。

いい授業で得たクリティカルシンキングを確実に生徒たちに習得してもらうには、効果的な振り返り学習が必要です。

”まとめ”ではなくて、”振り返り”です。

学習者が、ただ学んだことを書くのは振り返りとは言えません。

ズバリ、いい授業とは?であった、酸化銀の熱分解の実験での振り返りを例に考えて見ましょう。

まとめと振り返りの違い

True&嘘

酸化銀の熱分解の実験が終わり、振り返りをしてもらいます。

皆さんはA~Cのだれが、より頭をアクティブに動かした学習であったと思いますか?

A「酸化銀の熱分解について考えました。」
B「酸化銀を加熱して発生した、気体と固体の判断を考えました。」
C「酸化銀を加熱した時、発生したのは二酸化炭素だと思っていましたが、線香を入れて激しく燃えたので、それが酸素だと分かりました。」

多くの人がCと答えるのではないでしょうか?

では、なぜCがよりいい振り返りであると判断したのでしょうか?

文字数が多いから?より細かく書かれているから?文章がきれいだから?

もっともよい振り返りとは、「自分の学びのプロセス全体を振り返る」ことです。そして、そこがまとめ(結論)と異なる部分です。

疑問点や考えがどのように変わったのかについて、その流れを自分の中で整理していくことで、思考が構造化され問題に対峙したときにより早く正確に対処できるようになっていくのです。

これこそが、修正思考。走りながら考える力です。そして、現代に最も求められている力の育成につながるのです。

振り返りの評価の仕方について

レビュー

では、私たちはその”振り返り”をどのように評価すれば良いのでしょうか?
そしてここでいう評価とはいったいどういったものでしょうか?

絶対に忘れていはいけない観点は、評価は子供たちのためにあるという点です。

確かに、定期テストのように点数に準じた形で、評価をつけて評定をつければ、下の記事でも書いたように、ある一定のメリットはあるかもしれません。

しかしそんな時は、この振り返りによって「子供に何を求めているのか」を今一度考える必要があります。数値で評定をつければいいという思い込みの脱却です。

ここでの振り返りは評価するといっても、点数をつけて評定をつけると言う意味でなく、次に向かって自立的に学んでいくコーチング(導き)をしていく必要があります。

点数で稼げない生徒の評価の時間として振り返りの時間を作ることが目的です。

もしこれを、定期テストのように数値評価しようとすればどうなるか。

・子供が正直に赤裸々に書かない
・自信がないことは書かない
・間違いはいけないことと認識する
・お手本のような解答を探し続け、クリティカルシンキングが育たない

など、圧倒的デメリットを生むことになるでしょう。

とにかくざっくばらんに振り返りを書いてもらうためには、分からないって書けたことをすぐに褒めましょう。このようにできたことを瞬間的に褒めながらその行動を見守っていくことを、オンゴーイングアセスメントと言います。とにかく、その場で褒めます。

そうして、一人か二人できる子が出てきたら、それを授業の最初に読むのです。そしてまた褒めます。こうしてモデルを作っていくことで、やがてクラス全体がクリティカルシンキングを持ち合わせた主体的・対話的なクラスへと変貌していくのです。

継続は力なり

少しずつ成長

これだけのことを常に頭に留めて、指導をしていくのはとても骨の折れることだと思います。

ましてや、GIGAスクール構想と囃し立てられる現代、現場には無理にICTを導入しようと、わざわざ今まで取り入れてもいなかったドリル学習をICT端末を利用して無理やり導入したりと、本来の構想とはかけ離れた、実践や工夫が表立ってきてしまっています。

私たちが本来の目的を見失わず、このように真正の深い学びを目指すのであれば、教員としての志をこれからも常に磨いていく必要があります。


1.日曜午後に理科の授業について考える
2.ズバリ、いい授業とは?
3.学びを引き立てる振り返り☜本記事
4.いい授業を目指すための教員の志


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