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ズバリ、いい授業とは?

真正の深い学びを全ての子供に保証する

例外なく全ての子にです。

では、真正な深い学びとは何なのか?次の質問を例に考えて行きましょう。

ストロベリーは野菜ですか?果物ですか?

いちご

3択で答えてください。
1.野菜   2.果物   3.その他

ここでのポイントは”その他”を選択肢に入れること。そして選択肢を与えることです。全員に答えさせるシステムを作り、自分ごとにすることで主体性を持たせられるのです。

そしてこの3番を置くことこそが、生徒のクリティカルシンキングを育てることにつながるのです。

クリティカルシンキング、、、批判的思考と訳されることが多いが、私は普段批評的思考と呼んでいる。筑波大では総合的判断思考と呼ばれているようだ。一言で言えば、鵜呑みにしない能力とも言える。

いつでも答えが”その他”である必要はありません。

5回に1回くらいその他が答えになることで、それ以外の答えにも理由付けをしようとしますし、答えがその他かもしれないという思考がクリティカルシンキングを生むのです。

そしてそこから生まれるのが、思い込みからの脱却です。これこそが、小林先生が言う”本格的な”や”真正の”の意味です。

思い込みからの脱却の例として3つほど挙げてみましょう。

1.ストベリーは野菜ですか?果物ですか?
2.昆虫の目はいくつですか?
3.酸化銀の実験

ストロベリーは野菜ですか?果物ですか?

野菜と果物

ハンドサインでの意思表示やICT端末を用いた意思表示をしてもらい、まずは、子どもたち一人一人に考えさせます。

それぞれ選択した生徒数名の意見を全体共有し、再度考えさせます。

「地に生えるものは野菜、木になるものは果物」
「イチゴはデザートとして出てくる」
「作っているのは野菜つくりの農家さんが多い」

など、多岐にわたる意見が出てきます。

そうすると、自然と”野菜”とは何なのか?”果物”とは何なのかという話に移行していきます。

さらに、糖度の話や保存期間などの話やstrawberryの語源など。

出てこなければ、そっと教員が示してあげればいいのです。
「じゃあ、野菜っていったい何なんだろうね?」
という感じにです。

そうすれば、おのずと対話をしながら、主体的に学習が進んでいきます。

イチゴ=フルーツという思い込みからの脱却です。

そこで、最後にはさらにすそ野を広げ、「じゃあ、バナナはどうだろうね?」と続ければ、さらに議論は白熱していきます。

「バナナは木になるから野菜なのか?」、「甘さは十分あるよね」などというようにです。

そこで、”バナナの木”というもの自体がそもそも草であることを見つけたりと進めていきます。

これをくり返していけば、深い学びの完成です。

昆虫の目はいくつですか?

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異なる例を紹介しましょう。

先ほど同様、ハンドサインでの意思表示やICT端末を用いた意思表示をしてもらい、まずは、子どもたち一人一人に考えさせます。

昆虫の場合は種類も多いので、種類を限定してもよいかもしれません。今回は、カマキリにしてみましょう。(複眼は集まりで1個とする。)

ICT端末を利用するのであれば、ここで調べさせるのもいいかもしれません。

そうすると5個の目があることが分かります。ここで、また教員の腕の見せ所です。効果的な発問をして、生徒の対話を促していきます。

「では、何をもって目と呼ぶのだろうか?」
「すべての昆虫の目が5個なのだろうか?」
「なぜ、この生物は5個が良くて、この姿で生き残ってきたのだろうか?」
「幼虫と成虫で目の数は変わるのだろうか?」

などです。

生徒から出るのが理想的ですが、出ないのであれば促してあげればいいのです。これが最近教師に求められる力とよく言われるファシリテートです。

多くの生物の目は2つであるといった思い込みからの脱却です。

酸化銀の実験(熱分解)

ガスバーナー

酸化銀の実験内容についてはここでは詳しく触れませんが、簡単に説明をすると、酸化銀を加熱することで、もともとくっついて酸化銀になっていた銀と酸素を引き離そうとする実験です。

この実験では、酸化銀を熱分解した時に
1.何の気体が発生するのか
2.試験管の中に何が残るか

を考えます。

教科書上ではこれらを確認するために、熱分解後の確認実験が提示されています。

1.に関していえば、線香を利用したり石灰水に通したりと確認をしたうえで、酸素だと特定します。その割に、2.に関しては、スプーンでこすって金属光沢が出ることや色などで銀と判断してしまうのです。

あたかもそれが、銀であったことを分かっていたかのように。しかし、残ったものが銀であると本当に言えるのでしょうか?ここが、クリティカルシンキングであり、深い学びへの入り口です。

では、どうすれば銀だと特定ができるのか?

おそらく中1の既習内容を覚えている生徒であれば、密度を測定しようとするでしょう。しかし、この銀には空洞があり空気がふくまれているので、正しい密度が測定できません。

密度を確かめたいのであれば、1500℃ほどのバーナーで銀を溶かし、溶かしたものを水に入れ、測定すれば少数点以下に誤差はあれど、比較的正しい数値が出てきます。

ここまで行って初めて、科学を探究したと言い切れるでしょう。

真正の深い学びを目指して

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先ほどもお話ししました通り、思い込みから脱却するためには、思い込みだったと言う前の自分の状態を理解しなくてはなりません。そして、徹底的にわかるまでお互いに質問しあうことで高めあっていくのです。つまり、asking(訊ねる)&listening(聞きながら)です。

そしてそこまでできるようになったのであれば、ここまでは分かったんだけど、ここからはまだわからないなが出てくるような振り返りが重要になってくるのです。

世の中にある問題は、ほとんどが不良構造化問題か不良定義問題に絞られます。

不良構造化問題、、、目標状態や操作子が明確でない問題
不良定義問題、、、解決された状態が多くあり、そこに至る方法も多数存在する。

もし、理科の授業で

「先生、この問題の〇〇の部分が定義されていません。」

というような、不良部分をついてくる子がいたとき、理科の教員としては何にも代えがたい喜びを感じられるのではないでしょうか?


1.日曜午後に理科の授業について考える
2.ズバリ、いい授業とは?☜本記事
3.学びを引き立てる振り返り
4.いい授業を目指すための教員の志

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