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32歳スウェーデン1年生のかんそう

3月2日にスウェーデンに来て1年が経った。
北欧に旅行にすら来たことがなかった私がスウェの1年を振り返るとこんな感じ。

1ヶ月ごとの感想

↑3月 時々雪が降るけど太陽が出ると隙あらば日向ぼっこをしてもう春だね感を出してくる。いや冬でしょ。
↑4月 ポスク(イースター)を皮切りに春スイッチが入るのを感じた。
王立公園の桜が咲くと春がきた!とみんな喜んでるけど日本人体感としては冬。
↑5月 もう夏とみなしている雰囲気がある。7~17度なので過ごしやすい。日本だったら春なのでウルトラダウンを常に常備している。
↑6月 幸せな夏の到来。しかし朝4時から22時まで太陽が沈まないので明るすぎる。夏至を祝う。卒業生がトラックや船を借りて騒いでいるのを街中で見る。夏休みが始まる人もいる。
↑7月 夏休みだから社会は止まる。家族や恋人とサマーハウスや旅行に行くので友達のお付き合いもいったんお休みになる。
↑8月 夏休みだからまだ社会は止まっている。夏も後半という感じだが余すことなく楽しみつくそう!という気概を、夜の散歩などから感じる。ザリガニを食べる。
↑9月 周りがもう次の夏休み何をするかを考えていて早っw既に紅葉が始まる。
↑10月 ぶどうの葉の紅葉が色々なところで見れた。秋は日本より長いかも。どんどん太陽が出ている時間が減る。後半は毎日30分〜1時間ずつ日照時間が短くなって萎え始める。
11月 暗い天気も悪い。寒さに慣れてないので気温以上に寒く感じる。みんな一斉に元気がなくなる。一番くらい時期に子供たちがランタンを灯して街を歩くイベントがあって癒しだった。
↑12月はずっとクリスマス。港に意味が分からない程の巨大ツリー(本物の木)が設置される。冬だから体調不良でお休みの人が増える。でも寒さには慣れてくるし雪が降ってイルミネーションがつくと民衆の気分が上がるのを感じる。
↑1月 1/1から学校や会社が始まって衝撃をうける。クリスマス終わってちょっと元気なくなる人もいる。後半までクリスマス飾りは残っている。
2月 雪解けの季節。流氷。運が良ければオーロラ。もうここまで来ると寒くない。セムラ食べて春を待つ。

気温的にもう一年のほとんど冬じゃん!と思っていたけど身体って不思議と慣れてくる。移住当初の3月は気温が3度〜3度でものすごく寒かったけど、1年越しの3月は立派な春だなと感じられた。
でも一年通しても乾燥による肌の痒さはやっぱり慣れないもので、頭皮のコンディションは課題。
なお、キルナなどの北部に住んでいたら寒さも暗さもハードモードになるので悠長なことは言っていられないと思う。
街に住んでいたのもあって、初めての冬は季節要因での鬱にはならずに越せた。

印象的なイベント ベスト3

プライド・パレード

老若男女参加していて見てるだけで楽しい


規模が想定以上で、大きな祭りだった。
ストックホルムにあるいろいろなコミュニティーを一同に見ることができるのも醍醐味。合気道人気だな..台湾コミュニティ結構大きいな..と。
祭りとしての楽しさもさることながらLGBTQ+の受け入れられ方の違いを空気として体感できたのがカルチャーショックだった
ヨーロッパの中ではパレードの動員数は少ないけど、スウェーデンは王室メンバーもパレードに向けてスピーチをしたりと社会として推進しようという動きがある。
「どんな愛もそれは愛である」「私もあなたも自分が誰であるか等しく知る権利がある」というテーマをカジュアルに知れたり考えたりしていいんだなと。
8月パレード目的で観光に来ても楽しめるのではないかと思う。

Jul:ユール(クリスマス)

ディズニーシーの夜みたい


日本にいたら24日と25日がクリスマスだけど、スウェでは12月は丸々クリスマスって雰囲気ですごく長く感じた。
装飾は温かみのある黄色いライトが町中に灯って、落ち着いていて綺麗。

切りっぱなしのツリーが紐で色々なところにくくりつけてあって、素朴というかワイルド

自分が知ってるギラギラでキラキラなクリスマスイルミネーションってアメリカ的な方向性だったのかもと思った。
24日までに仕事を終わらせて、家族と過ごして気分新たに1年をはじめよう・・・と日本のお正月のような位置づけなので、24日に観光に行くとお店もクリスマスマーケットもやっていないので注意。

Midsommar(ミッドソンマル)/夏至祭

素敵なガーデンパーティーに参加できて、北欧でしたいことの夢がひとつ叶った

例の映画で有名になったミッドサマー。
実際は生贄とかいないし、人も死なない。
私たちはVarbergという郊外の友人宅のパーティーに参加させてもらったんだけど、親戚が集まって美味しいもの食べてとお盆みたいな感じでほっこりした。
6月にあるので、これが終わったら楽しい夏が来るぞ〜というふわふわした気持ちで祝えるのも良い。
3歳の娘はみんなで踊ったことが楽しかったようで、私たち家族にとってとてもいい思い出になった。

大変なこと

言葉の壁はやはり厚い
娘は3歳2ヶ月から現地の普通の保育園に行っている。会話は100%スウェーデン語で娘は日本語しか話せないので、やはりそれなりに大変そう。先生が日本語の歌や絵本をみんなで見たりして、馴染ませてくれる努力を色々してくれたおかげで今は普通には通えているし、仲のいいお友達もいる。
3歳ならばすぐに話せるようになると思うかもしれないけれど、自分から文章で話すというのはまだ難しくてHej/hejdå/Tackの挨拶、hund/katt/vateen/äppleの簡単な単語をやっと習得できたところ。でも先生の言っていることは少しづつ理解できるようになりつつあるようなので本人のペースを見守ることにしている。家庭でもスウェーデン語の絵本やアニメは本人が嫌がったら強要はしない。
他の方のブログで2歳で外国語に対して適応障害になった例を読んで、時間をかけて子供の言語に関しては向き合っていきたいと考えてる。

自分に関しては、やはり病院や手続きで何度も困ることはあった。保育園の保護者とも仲良くなるのがむずかしい。
SFI(現地語学校)に行って本当に少しずつ分かるようになってきたから、地道に続けるしかないなと。
学校に通うと語彙力がなくても自分の疑問や要求をうまいこと伝えてコミュニケーションをとれている人がいて、すごく勉強になる。そういった外国人としてのコミュニケーションスキルを語彙力と共に鍛えていきたいと思う。

「家族大切」という価値観のプレッシャー
ヨーロッパの家族を大切にする文化って素敵だなと思っていたけど、スウェーデンに住んだからいきなり夫婦がめっちゃ仲良くなる訳ではないし、いきなり夫の知り合いとパーティーで意気投合できる訳ではない。
異国での生活はお互いに慣れない生活に疲れていて喧嘩になりやすいうえ、一緒に過ごす時間が増えるとなおさら普段は見えなかった部分が気になったりする。
スウェーデンは日本に比べて家族で過ごすのがお決まりの休暇が多く、お誘いも家族ぐるみで声をかけられる率が高いので、夫婦仲の良さがQOLに直結してくるのを感じた。
そう言った集まりでの社交的な振る舞いは大人としての嗜みのような空気があるけど、コミュ症+言語弱者は辛い。
夫婦間コミュニケーションがうまく行っていない+言葉の壁で困っていることのヘルプが出せないor助けてもらえない、なんなら詰められるという要素が悪魔合体した時は気分が大きく落ち込んだ。
ちなみにスウェーデン人のカウンセラー曰く、夏の休暇のあとは夫婦カウンセリングや離婚が増えるそうです。
休暇がもたらす代償なのか・・・

医療へのアクセス問題
私の住んでいる場所は予約なしでは受診できず、予約が取れるのも数日後だったりする。なので緊急性のない大体の病気は家で寝て治す。
Kryというメディカルアプリでなら割とすぐにオンライン受診できるけど、子供の眼球や耳の中の状態を実際に診てもらいたかった時は、必死さをアピールして予約をねじ込んでもらうか、救急に行って長時間待つしかなくて、その受診までコミュニケーションが円滑に行かず苦労した。子供が痛がっていて医療へのアクセスも良く分からないと本当に消耗する。
でもこれはそういう物だ受け入れて慣れていくしかないかなと思う。

不妊治療を受けるには数年待つか、大金を払って私立病院に行く必要があると聞いた。不妊で数年待つとかさらに不妊になりそうだ。
でも財政状況が芳しくない国に住んでいると薬局で売っている薬がニセモノだったりすると聞いたので、スウェーデンはその辺はまだ安心できるからマシかもしれない。ID持っていれば医療費安いし。

よかったこと

スウェーデンの方が大きい(日本の1.2倍)のに人口は東京23区と同じくらいしかいない


東京が大きい街だと気づいた
東京を出たことがなかったのでこれは大きい。人がたくさんいて消費力があってパワフルだったんだなぁ
それに付随して地方に住む人がもっと大きい街をどんな目で見ているのかが少しわかった。たとえばNYに住む人が「欧米では〜」って言ってるのをみると(ちっアメリカが世界の中心だと思いやがって)みたいな気持ちがよぎることがあって、ハッこれって地方の人が東京に抱く気持ちに似てるのかなと。
でも今たまたまそこに暮らしているというだけで人に優劣もないのに。
そういった類のことは、これはただの妬みだなと思ったらそっと心にしまい、問題点の共有やビジネスチャンスにつながるのでは?と思ったら口に出すことにしようと思った。

外国人になる経験ができた
またスウェーデンじゃなくてもできるようなことですみません。
でも留学したことなかったし、海外旅行経験も乏しかったから、異国に行くということがどれほど自分の想定をぶち破ってくるのか知らなかった。あらゆる点で「期待しない」ということの「期待しない加減」が甘かったように思う。
そうやってあらゆる枠組み国によって色々違うんだなということがわかると、他の国の移住事情のことやそれぞれの国の節税とか、今まで考えなかったことに関心がいくようになった。日本に帰国した時に「え、こんなに街にハングルや中国語あったんだ」と見える世界も少し変わった。
あとは語学を勉強して自分のアホさを身をもって知り、学ぶことで世界をおし広げるという経験も、外国人になったからできたと思う(国内でできるほど私は勤勉ではなかったので)

体当たりで実験できてる
北欧って私の中で福祉や政治でイメージがよくて、苦労を身構えてはいたけど憧れはやっぱりあったわけですよ。
でも自分にとってプラスに作用するだろうと思っていた家族の在り方でさえ、実際に住んで浸かってみると「あれ?なんか辛いかも」って思ったりするもので、じゃあスウェーデンに来なければよかったかというと、そんなこともない。
どんな物でもそれぞれの国のメリットデメリットがあって、それを今は一つずつ確かめている段階だと思う。
保育園ひとつとっても日本の方が給食のクオリティーが高かったり、衛生面で安心できたり、長い時間預けられたりする。スウェーデンで出会った園は、先生の人種に偏りないように多様性の配慮をしてくれていたり、自然の中で思いっきり遊ぶ時間をたっぷり作ってくれる。
たったこれだけのこともどちらが良いかは甲乙つけ難い。すぐにこれは良い、これは悪いって言いたくなるけど、私の狭い価値観で判断したところで10年後何が本当に価値をもたらしたかって分からない。
その場で実際はこうだったって色々試したり気づいたことに、ひとまず今ははなまるをつけたい。

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