雑誌さまさま

 外に出られない。

 最初のうちはだいすきな読書に勤しみ、ストーリーの中に出てきた歌なんか口ずさんじゃったりして陽気に過ごしていた。でも、あるときプツンと糸が切れたように読書をしたくなくなった、というより、身体が拒否していた。もうこんなちっちゃい字みたくないよー、そろそろ頭の細胞も疲れきっちゃったよー、といろんな声が自分の中でギャーギャー騒ぎ出したのである。

 困ったゾ。もうやることがない。一人暮らしなので話し相手はいないし、ごはんを食べても美味しいねって言い合えなくてつまんないし、映画もドラマもみすぎてなんか目が痛いし、あ~~どうするかこれから・・・。

 

 そんなタイミングで、家にあった食材が切れたのでスーパーへ向かった。レジで並んでいると、雑誌コーナーが目に入った。たまには1冊買ってみるか・・・とファッション誌を手に取り、よっこらしょとまた家に帰った。

 ぽ~っとベッドに寝そべりながら雑誌を眺めていると、知らない間にわくわくしてきた。おめかしというときめきをしばらく忘れていたわたしの乾ききった食パンハートが、じゅわ~っと甘くなっていくような。読み終えたときにはほっぺたが落ちるような蜂蜜たっぷりフレンチトーストが完成していた。

 すごい!!雑誌って目に、というか身体にやさしい!!!読者層が思わず見入ってしまうような女の子やスイーツの写真や、リズミカルでテンポのいい文章や、つやつやした紙質をめくるという多福感!!そこから雑誌、いえ雑誌様という素晴らしい暇つぶしのお供をわたしは崇拝している。新たに喫茶店についての雑誌様もお迎えした。

 雑誌には必ずコンセプトがある。それを称賛するひとたちに向かって記事を作成する。当たり前と言ったらそうかもしれないが、なんだかコピーに通じるなぁ、と思ったのだ。コンセプトを二の次にして広すぎるターゲットを最初からねらった作品を生み出して支持を得られても、「この雑誌(コピー)が!!!好き!!!!!」という愛の強いファンはついてきてくれないだろう。そんなファンの方がその作品の良さを会話やSNSで拡散してくれてこそ、初めて作品は話題になってく・・・と、ぼんやりとですが、考えました。そういえばこんなこと、昔コピーライターの人が言ってたなぁ。欲張るな、って。なんだかやっと納得できたような。

 コンセプトへの思考がぐんぐんに高まっていて、受け手のこと考えまくったものってこんなにスッと身体にしみるんだなぁ。

 コピーばかり見ていると必死になって忘れてしまうけど、雑誌はそういう大事なことを教えてくれる。ひとつのことに捕らわれていちゃ、わからない考え方もあるんだな。

 あ、ひさしぶりにネイルしました。アジサイの色。ポジティブじゃなくても自分のこころにやさしく、おうちじかん過ごしていきます~

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