魚座

夢の先にあるもの

魚座

夢の先にあるもの

最近の記事

おばあちゃん

 夜、下北沢駅の正面口。ここから見える都庁のてっぺんが好き。  知らないあいだに大人になった。セーラー服を着て、この世のすべてはまるで高校生である自分たちのものだと信じ切って走り回っていたあの頃。無我夢中でひとりの人に初めての恋をしていたあの頃。好きでもない人に好きだと言って虚無感を埋めていたあの頃。  もう二度と、戻ってこない。二度と、二度と。   びゅんびゅん時は過ぎていく。年をとる。わたしも、まわりも。今日は、おばあちゃんの76歳の誕生日だった。「いつ死んでも、

    • 「依存」の正体って

       スマホ・イヤホン・お金。わたしが依存しているものたち。笑ってしまうくらい単純だけど、この3つさえあればどこへだって行く覚悟ができるし、極論どこでだって生きていくことができる。  くだらなくたっていい。決して見捨ててはいけない現実だったんだ。  「大切にしなきゃ」と世間の目やじぶんを美化する思考から生まれた、「つくりだされた依存」に今までずっと苦しめられてきた。  両親を大事にしなさい。毎日身体にいいものを食べなさい。頑張りなさい。  言われて真に受けるたびに、どんど

      • 不良品でも捨てないでね

         「わたし」という商品には、欠陥がある。  それは、「3人以上の会話になったとき他人の発する言葉の意味がわからなくなってしまう」というものだ。  きっとなんらかの障がいであることは間違いないのだが、もう検査をしても仕方がないと思っている。薬で改善したとしても ”改善” するだけであって、わたしの欲しい "普通の人間として生きる能力” は手に入らないから。  おそらく「障がい」と呼ばれるこの現象と、なんとかここまでの22年間付き合ってきた。意味はわからなくともひとまず相槌

        • こころ

           小さいころ、わたしは母の手をいつもぎゅっと握っていた。母がうれしそうに笑ってくれるから。小さいころ、わたしは父の前でへんてこなダンスを踊った。父がうれしそうに笑ってくれるから。  おねがい、ずっと笑っていて、泣かないで。  19歳でわたしはあの場所から旅に出た。でも、結局どこまでいっても家族は家族みたい。だって、ほんとうは、わたし、父と母を愛しているし、父と母に愛されたかった、のだ。愛がなんなのかも知らないけれど。  わたしはきっと、変われない。どれだけがんばっても手

        おばあちゃん

          たからもの

          あと1週間したらリモート研修は終わり、とうとう会社ではたらく。ピカピカの社会人一年生。 約二ヶ月の巣ごもり生活で気がついたこと。どれだけわたしが外の世界に救われていたか、ということ。 じぶんなんてほんとうにダメダメな人間だ、、とメンヘラモードに突入すれば、カフェで美味しいものを食べながら友人に慰めてもらう。なんでこんなに可愛くないの?って地の果てまで落ち込んでしまったら、ひらひらのワンピースを纏って街に出てみる。夢が見られなくなったときには、ディズニーランドではしゃ

          たからもの

          「がんばるひと 」って、ほんとうは

           ベッドでゴロゴロしながら読書をしたり、ただひたすら一点を見つめてぼうっとしたり。「無条件」にそんな素晴らしい時間を過ごせていたのは、一体いつまでだったっけ。  燃え尽きてしまうくらいに頑張らないと、くつろげない人間になってしまった。一息入れようとだいすきな江國香織さんの本を開いても、なかなか集中できない。「いま求めてるのは休みじゃない、やらなくちゃ、やらなくちゃ、逃げないで、時間を無駄にしないで」。全身がそうわたしを急かす。 泣く泣く起き上がり、また机に向かう。  何

          「がんばるひと 」って、ほんとうは

          雑誌さまさま

           外に出られない。  最初のうちはだいすきな読書に勤しみ、ストーリーの中に出てきた歌なんか口ずさんじゃったりして陽気に過ごしていた。でも、あるときプツンと糸が切れたように読書をしたくなくなった、というより、身体が拒否していた。もうこんなちっちゃい字みたくないよー、そろそろ頭の細胞も疲れきっちゃったよー、といろんな声が自分の中でギャーギャー騒ぎ出したのである。  困ったゾ。もうやることがない。一人暮らしなので話し相手はいないし、ごはんを食べても美味しいねって言い合えなくてつ

          雑誌さまさま

          マイペースって、どのペース?

            外に出ない生活をしていて気づいた。これまで家で「娯楽」としてやっていたことはすべて「学校やアルバイトからのストレス発散」でしかなかったことに。  寝る前のYouTube鑑賞会、雑誌や漫画を読む、SNSをひたすら眺める。どれも1日で飽きてしまった。家で引きこもり、というのは案外ハイレベルなミッションなのでは???なんて。  だから今日は気分を変えて、のんびり暮らしを楽しむことにしてみた。朝シャワーでお目覚め。新しいお化粧品でじっくりメイク。普段なら絶対やらない魚料理(台

          マイペースって、どのペース?

          シンデレラストーリーに憧れるのをやめてみた

           あいみょん。真っ黒でツヤツヤのロングヘア。奇抜なファッション。他の人には真似できないような「あいみょん」でしかない歌詞。身体が自然と受け入れてくれる優しいローボイス。いいないいな~、わたしだってああなりたいのに!!!ってよく思う。これはあいみょんに限った話ではない。ランウェイを堂々と歩くために生まれてきたであろうスター性たっぷりの玉城ティナちゃんにも、きゅるんとした顔で毒をズバズバ吐く宇垣美里アナにもなってみたいのだ。(もちろんほかにも数えきれないほどいる)  でも、ふと

          シンデレラストーリーに憧れるのをやめてみた

          まるがおなのでアンパンマン

          アンパンマンは君さ~勇気を出して アンパンマンは君さ~信じることさ ほらかがやくよ 君はやさしいヒ~ロ~さ~~  さいきん「頑張ること」に疲れ果ててしまい、ソイツから逃げまくっていた。自分の中にある叶えたい夢が顔を出しても、また苦しくなるのが嫌でスタコラサッサと明後日の方向へと走り、「こっちの道のほうが楽そうだしいいじゃない」と納得したふりをする。その繰り返し。のんびり起床、だらだらYouTubeをみて、適当にごはんを食べて、ちょっと散歩して、コンビニで買ったアイスでおやつ

          まるがおなのでアンパンマン

          親愛なる

           sumika。初めて「ライブ」というものに行ったバンド。初めて「ファンクラブ」というものに入ってみたバンド。初めて「人生観」というものを変えてくれたバンド。  大学1年生のとき、友人がカラオケで歌っているのを聴いてsumikaを知った。そのあと運よくライブに行く機会に恵まれた。マイ人生、ファーストライブ。  もうなにもかも圧巻だった。まずライブハウス内の熱量がすごい。とにかく誰しもの感情がダダ洩れ。笑う、泣く、まっしろ、まっくろ、ちょっとグレー、ぐちゃぐちゃ。「生きてる

          親愛なる

          就活の面接で号泣してしまった話

           ピアスをあけると人生が変わる、らしい。だからきのう、わたしは決行した。きらり~んと光るファーストピアス。セーラームーンみたいで可愛いなぁ。ふふ。  去年の3月。とにかく早く内定をもらい厳しい就活を終えることだけ考えていた。どうせどこで働いてもなにをしても、他人の顔色を窺い都合のいいことを言い続けるしょうもない人生なんだからワシは・・・と。だから面接は人事が気に入るような返答だけをニコニコとし、おかげで当時は最終面接までいかない企業はなかった。ほらね、結局こうでしょ、自我を

          就活の面接で号泣してしまった話

          またね、って言いたくなっちゃうんだ

           臆病者なのは自覚している。だけど、知らない世界をみるのが好きだ。場所、人、感情。眠れない夜や愛しがたい日常たちを吹き飛ばすように、それらはわたしをたくましくする。  先週、ニューヨークへ行ってきた。5日間。たったの5日間だったけれど、なにもかもが細胞の1つ1つを洗い流し新しいものにしてくれた。  街を歩くひとの肌色のカラフルさ、鼻歌をふんふんとうたうスーパーの店員、立っているだけで生きた心地がするタイムズスクエア、まいにち通いたくなるメトロポリタンミュージアム、身体が溶

          またね、って言いたくなっちゃうんだ

          夜、大人、よる、おとな

          2020.02.25  きのうのよる、「なにか」を考えていて死にたくなっていた、のだけどもその「なにか」がよく思い出せないでいる。眠りのおかげで。  眠りは悩みの大半を溶かしてくれる。でもいちにちって長くて寂しくて、ひんやりと冷たい。悩みはまたアイスクリームみたいに固まり、わたしの前に現れる。よる、できあがったアイスクリームで頭の中がいっぱいになる。悪魔が「食べて、食べて」とささやき続ける。逃げるように、眠る。食べたら死んじゃうから。あさ、起きる。なんだったけ?きのうのこと

          夜、大人、よる、おとな

          なんにも頑張れなくたって

          2020.02.25  AM9:00。リリリリ。めざましどけい。「また今日という日が始まる絶望感」といっしょに、仲良くウーーーーンと伸びをする。ポキポキ。背中の骨も、おはようございます。 顔面を風呂場で洗う。鏡に映るすっぴんに「これはわたしではない」という暗示をかけ、精神状態をフラットにすることを心がける。熟れてとろける寸前のマンゴー並みに敏感なワシの肌を、キュレル様の化粧水とクリームで包んでいく。来世はたまご肌になれますように、お願いねかみさま。 おなかがすいたの

          なんにも頑張れなくたって

          地球人の誇り

          2020.02.23  めざまし時計の音。目をあける。「あ、まだ死んでない」と気づく。ぼんやり、徐々に鮮明になっていく絶望感。それが最近のわたしのすべてと言っても過言ではない。  世界はなぜわたしを生んだのだろう。父母の交わりだけが理由だなんて、あまりにも無責任だ。かつてのふたりの恋と愛に乾杯!!…なんてそんなドリーミーなこと言わないからね。生きているのは現実で、生きていかなきゃならないのも現実なのよ。  でも今日、ちょっとだけ感動することがあった。ある絵本の中のことば。

          地球人の誇り