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意味のイノベーションと認知科学のコーチング

前回のnoteでは、「現状維持の本質と、イノベーションのジレンマの関係性」というタイトルで、組織レベルで固定化されたビリーフシステムと、ビリーフシステムを書き換えることの重要性についてお話させていただきました。

今回は、イノベーションを生み出すための最新手法と、認知科学の関係性について、お話をさせていただきたいと思います。

問題解決アプローチは時代遅れ

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実は、2020年の世界は「アイディア」にあふれています。世界はこの10年間で、デジタルの進化によって様々な情報にアクセスできるようになり、創造性を促進するツールが増え、クリエイティブな人が増えました。

デザイン思考やオープンイノベーションといったの発想は、アイデアが大事だった15年前に作られています。これらの考え方を知ることは大事ですし、今でも有効な場面があることは間違いありません。

しかしながら、多くの場合、これらは問題解決的なアプローチです。世界には多くの解決策があふれる一方で、意味を探すことはより難しくなりました

意味のイノベーション

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イノベーションには2つのレイヤーがあります。

1つ目のイノベーションは、「解決策の創出」です。これは、プロダクトやサービスであり、達成のための手段(HOW)ということになります。解決策という以上、初めに問題が定義されます。その問題に対して、デザイン思考やオープンイノベーションといったアプローチを使って、解決策を創出します。具体的には、カスタマージャーニーマップを描いたり、ユーザーインタビューを繰り返し、顧客の問題を発見し、解決策のアイディアをたくさん創り、プロトタイピングを活用してアイディアを高速に洗練させていきます。

実は、これが既に問題解決型アプローチの落とし穴になっています。認知科学的に言えば、「顧客の今の課題をどれだけ解いても、現状維持でしかない」ということです。改善は大切ですが、イノベーションではありません。顧客にとっての意味が変わっていないのです。

だからこそ、2つ目のレイヤーのイノベーション、すなわち「意味のイノベーション」が重要なのです。

1つ例をあげるとすれば、iPhoneのイノベーションです。徹底的なユーザー分析を行っても、iPhoneは生まれなかったはずです。なぜならば、携帯電話のユーザー体験という観察では、iPhoneが解くような課題は見つけられなかったからです。世界中の携帯会社がありとあらゆるユーザー調査を行っていたが、スティーブ・ジョブズだけiPhoneというイノベーションを認識していました。これが「意味のイノベーション」です。

世界の認識を変える

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デザイン思考は「外(=ユーザー)から始める」アプローチですが、「意味のイノベーション」のステップは「内から始める」というアプローチです。つまり、自分の思考から始めるということです。

自分の思考でアイディアを深堀りしたうえで、親しい関係者から意見を求めていくことで批判を受け入れながらアイディアを洗練させていくのです。自分自身の仮説をこころに思い描く事から始める事が重要なのです。

ここで、私たちが「世界をどのように認識するか?」ということが重要になってきます。

「意味のイノベーション」の提唱者であるミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授は、インタビューで以下のように述べています。

”When you search for new meaning, you really need to reframe the way you interpret reality”

”あなたが意味を探すときには、あなたが現実を解釈する方法自体を本当にリフレームする必要があるのです”という意味です。

私たちは世界をありのままに見ることはできない

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私たちが認識している世界は、世界そのものを表しているでしょうか?

答えはNoです。

私たちは、私たち自身のフィルターを通してでしか、世界を認識することができません。具体的に説明をすると、私たちは五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を通して世界を認識します。この五感による認識は、私たちの無意識のフィルターを通して脳に取り込まれ、Internal Representation (内部表現)を通じて、私たちの感情や行動という結果に表れます。

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つまり、私たちが「意味のイノベーション」に取り組む時、Internal Representation (内部表現)を書き換えることでしか、新しい意味を探すことができないということです。

この「内部表現を書き換える 」ということをコーチングでは「ビリーフシステムを書き換える」と呼び、私が前回のブログで「現状維持の本質と、イノベーションのジレンマ」でお話した、組織レベルで固定化されたビリーフシステムを打破することとつながってきます。

私は、認知科学に基づくコーチングを通じて、現状を打破し、イノベーションのための自己革新をたくさん創り出していきたいと思っています。

コーチング依頼

このようなイノベーションの創出、自己革新、現状維持の突破に関する再現性を高めるため、私自身にも時間に限りはありますが、コーチングを通じて支援を行っています。

現状の打破や社会の変革を志して事業を起こしたい起業家、自分の力やスキルを磨いて広い社会に価値を提供していくために独立した個人事業主やフリーランス、転職や起業を志すビジネスパーソン、自分を表現していきたい芸術家や音楽家などを対象とさせていただきます。

6ヶ月間、月1回セッション (60分/5万円/月)

イノベーションと自己革新によって、価格以上の価値を掴んでいただけると思います。
https://forms.gle/29TXXe8unfT2BUMu6


【参考】ロベルト・ベルがンディ教授のインタビュー動画

最後に、ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授のインタビュー動画をご紹介させていただきます。英語のインタビューですが「意味のイノベーション」について、凝縮して理解することができる素晴らしい動画です。


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