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誰がモンダイと認識しているのか?~手洗い・手指衛生について

本日は、本ノートの主要テーマの一つである「問題解決」についてのお話しです。

私共、感染管理部の重要な仕事には、病院内および地域の感染対策があります。

そして、感染対策で最も重要な位置づけとなる対策が・・・

手洗い・手指衛生

です。

「流水と液体せっけんで手を洗う」~手洗い

「アルコール性手指消毒剤を使用して手をきれいにする」~手指衛生

病院や地域で皆様の医療に携わる医療提供者の、ほぼ全てが
「手洗い・手指衛生」の重要性を知っています。

もちろん、公立昭和病院の職員も「手洗い・手指衛生」の大切さを十分に知っていることと想像いたします。
(公立昭和病院の職員の皆様~そうですよね?)

では、この「手洗い・手指衛生」を適切に実施できているでしょうか?

「私はちゃんと『手洗い』やってますよ」

「私の病院は職員皆が適切に『手指衛生』実践できていると思いますよ」

そうかもしれませんね。

でも、ホントウに適切な「手洗い・手指衛生」が実践されているでしょうか?

実は、いろいろな医療機関で手洗い・手指衛生の状況を観察していくと、

「できている」「ちゃんとしている」

という皆様よりも、

「まだまだです」「改善の余地があります」

「できていない」と言われる皆様の方が、適切な手洗い・手指衛生が実践されているように感じております。

そして、多くの施設の感染対策担当職員の皆様は、自分たちの施設の「手洗い・手指衛生」の状況に「モンダイがある」「改善の余地がある」と答える方々が多い~こういった点も、日本中の感染対策担当者の共通認識かと想像いたします。

ではなぜ「できていない」と言われる皆様の方が、適切な手洗い・手指衛生が実践できていると感じるのでしょうか?

それはできていない場面を適切に認識できるからではないか?と筆者は考えております。

ではなぜ、手洗い・手指衛生の必要な場面を適切に認識できるのか?

予め、手洗い・手指衛生が必要な状況を適切に「勉強」して、手洗い・手指衛生の必要な場面をしっかりと「予想」できるからなのかと筆者は考えます。

ここで、手洗い・手指衛生の必要な場面を確認いたしましょう。

一般に医療現場では下記の状況で手洗い・手指衛生が必要であるとされています。

WHO手指衛生5つの場面(タイミング)
My 5 Moments for Hand Hygiene

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以下のWHOサイトより引用
https://www.who.int/infection-prevention/campaigns/clean-hands/5moments/en/

①患者に触れる前
②清潔/無菌操作の前
③体液に暴露された可能性がある後
④患者にふれた後
⑤患者周辺の物品にふれた後

手洗い・手指衛生ができるために重要なことは、

上記5つの手洗い・手指衛生が必要な状況を「勉強」し「知識」として「記憶」されていること

これが最も重要なことなのです。

ここで強調しておきたいのは、「手洗い・手指衛生」のような最重要事項は、調べて確認するというレベルでは不十分で、いつでも知識が実践で取り出せるように完璧に『覚えておく』ことが必要なのです。

この「WHO手洗い・手指衛生5つの場面(タイミング)」について、医療提供者は「掛け算の九九」のように、突然必要な場面が訪れても、スラスラと出てくる程度まで記憶のトレーニングが必要なものなのですね。

多くの病院・医療機関の感染対策担当者は、自施設の「手洗い・手指衛生」がモンダイであると認識されております。

そして、手洗い・手指衛生の改善努力に思考錯誤されている状況も伺えます。

ですが、感染対策担当職員の皆様「だけ」が手洗い・手指衛生をモンダイと認識されているだけでは、一向に改善には向かわないと筆者は考えております。

「問題はそれが『問題である』と適切に認識された時点ですでに解決へと向かっている~ただし、全ての当事者間で解決すべき問題が『共有』されていることもまた必要である」
でしたね~詳細は下記ご参照ください。

読者の皆様が、手洗い・手指衛生ができていない~モンダイであると思う相手がいるのであれば、あなたがモンダイと思っている相手に、現状の手洗い・手指衛生がモンダイであると『認識』いただけるような『知識』を持っていただく必要があります。

そして、その『知識』を持っていただくための「勉強」をしていただく~そのために「教育」活動が重要となってくるのですね。


本日のまとめ

モンダイを適切に「問題である」と認識するには、その問題に関連した知識が必要

知識は日頃からの勉強で獲得しておく

相手にモンダイを認識していただくためには、相手に「知識」を獲得していただくことが必要~そのために「教育活動」が重要となる

モンダイ解決には、「誰がモンダイであると認識しているのか?」を考えることが重要です。

あなたがいくら「モンダイである」と認識されていても、当事者の皆様が問題認識されていなければ、いつまで経っても問題解決へ向かうことは無いでしょう。

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