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抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング

抗菌薬選択を限定するための細菌グルーピング

皆様お久しぶりです。

本日は、抗菌薬選択のための細菌のグループわけのお話です。

はじめにお断りしておきますが、本日の内容は原則から外れるものも少なくないため、実際の臨床現場で抗菌薬を選択する際には、臨床状況に則した判断をお願いいたします。

原因菌種とそれに基づいた適切な抗菌薬選択は複雑に感じる読者の皆様も多いかと想像いたします。

特に、近年は原因菌種と抗菌薬を一対一対応で考えることが大変困

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MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

MIC?の数値から抗菌薬の有効性の判断・投与設計へ~最適治療抗菌薬の選び方④

本日は、最適な抗菌薬選択に関するお話の続きです。

患者さんの検体を細菌検査に提出し、特定の菌種が原因菌(症例由来菌株)が培養される。

培養された原因菌(症例由来菌株)に対して、抗菌薬感受性検査を実施する。

原因菌(症例由来菌株)の特定の薬剤に対する最小発育阻止濃度っぽいもの(いわゆるMICっぽい数値ここでは”MIC?”で表現します)が得られます。

ここまでのMICの数値の意味合いについては

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感受性検査結果から抗菌薬耐性機序を予想する~最適治療抗菌薬の選び方③

感受性検査結果から抗菌薬耐性機序を予想する~最適治療抗菌薬の選び方③

最適治療抗菌薬選択に必要な、感受性試験結果の解釈の仕方のお話を続けてまいります。

今回は、薬剤感受性の判定
 S:susceptible
 I:intermediate
 R:resistant

の結果から、薬剤耐性機序を予想する、抗菌薬選択に大変重要な内容となります。

予めお伝えしておきますが、感受性の判定”S"、”I"、”R"から薬剤耐性機序を予想するため、正確な薬剤耐性機序がわかるわけ

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抗菌薬感受性結果を臨床判断に活かす方法~最適治療抗菌薬の選び方①

抗菌薬感受性結果を臨床判断に活かす方法~最適治療抗菌薬の選び方①

本日は、細菌検査結果が判明した後の「最適治療抗菌薬」選択のための導入のお話です。

抗菌薬は「2度決定」するのでしたね。
参考:正しい診断なくして適切な治療なし

https://note.com/idshowa/n/nba77ccf8479b

1度目抗菌薬決定:初期治療抗菌薬
2度目抗菌薬決定:最適治療抗菌薬
(初期治療抗菌薬と最適治療抗菌薬が同一の場合もあり得る)

初期治療抗菌薬は、2つの

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薬剤耐性菌~自然耐性と獲得耐性

薬剤耐性菌~自然耐性と獲得耐性

ある細菌が、特定の抗菌薬が効かない≒「薬剤耐性」と考える場合には、その薬剤耐性機序が「自然耐性」であるのか?それとも「獲得耐性」であるのか?の判断が大変重要です。

薬剤耐性菌について検討・議論する場合には、この2つの薬剤耐性機序のどちらについてなのか?を明確にしましょう。

薬剤耐性機序~2つの薬剤耐性機序

薬剤耐性機序~2つの薬剤耐性機序

薬剤体制(AMR)問題が、公立昭和病院 感染症科・感染管理部ノートの重要テーマの1つです。

薬剤耐性AMR、特に「細菌の薬剤耐性」≒「耐性菌」を考える上で重要なのが、薬剤耐性機序の考え方です。

「自然耐性」と「獲得耐性」~違いが説明できますか?