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「医道の日本」プレイバック! 第8回  柳谷先生の渡仏前(1955年)

創刊より80年以上、通巻922号を数える中から、特に読者の議論を呼び起こした企画、時代を映し出した企画を振り返ります。

柳谷先生の渡仏前(1955年)

柳谷素霊がバーラー・デュポン博士に招かれてフランスに渡ったのは1955年6月。

当時の日本鍼灸界を代表する人物がヨーロッパに滞在して、鍼を教えに行く――。これは日本鍼灸界にとって画期的な出来事だった。

柳谷素霊がフランスに渡る2年前(1953年)、旧西ドイツのシュツットガルト市で内科を開業していたヘルベルト・シュミット医師が来日した(「医道の日本」プレイバック! 第7回参照)。

ついで1954年にはフランスからデュポン博士が来日。この交流をきっかけに、柳谷素霊の渡欧が実現した。

戸部宗七郎は、この感激を次のように記している。

「この度柳谷先生の渡欧については、万感交々到るの感慨に打たれるのであるが、平素筆をとらない私も黙していることが出来ず、玄に一言綴ることを敢えてしました。

(中略)このたびの柳谷先生の渡欧は、これまでの事柄とは違って文字通り日本鍼灸術の世界進出なのである」(医道の日本1995年7月号)

柳谷素霊が日本を旅立つ直前の1955年6月11日、柳谷素霊を囲み、「柳谷先生の渡仏を前にして」と題した座談会が開かれた。

参加者は石野信安、井上恵理、西沢道允、本間祥伯、戸部宗七郎。そこには、柳谷へのリクエスト、鍼を受ける西洋人への興味など、出発直前ならではの高揚感が漂っている。

日本鍼灸が世界にデビューする、まさに夜明け前。

※本記事は、医道の日本社のWebサイトで2010年3月1日に公開されたものを元に作成しております。

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