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「医道の日本」プレイバック! 第3回  キム・ボンハン学説(1961年~)

創刊より80年以上、通巻922号を数える中から、特に読者の議論を呼び起こした企画、時代を映し出した企画を振り返ります。

『キム・ボンハン学説』

鍼灸医学の根幹はいわずと知れた経絡・経穴。これらは眼にみえないが、「確かに実在する」という前提のもとに古来より鍼灸治療が行われてきた。

ところが、1961年、朝鮮民主主義人民共和国・平壌大学教授であるキム・ボンハン(金鳳漢)博士による論文『経絡の実態に関する研究』が業界に大きな波紋を投げかけることとなった。

キム・ボンハン(金鳳漢)博士は論文のなかで「経絡の(解剖学的)実態を確認した」と発表。

博士のこの論文と63年の『経絡系統に関する研究』、65年発表の『経絡体系』、『サンアル学説』などの一連の研究は「キム・ボンハン学説」と総称され、斯界に大論争を巻き起こした。

当時キム・ボンハン学説研究の最前線にあった藤原知氏が『医道の日本』に連載した「キム・ボンハン学説入門」によると、経絡系統とは、血管系・神経系とは別の解剖組織学的な存在であり、生体内で客観的にみられるものだという。

そしてその実態は、「ボンハン小体とそれを連結するボンハン管より構成されている」と説明している。

さらに、この学説をめぐる論争に拍車をかけたのが、朝鮮民主主義人民共和国で作成された「経絡の世界」と題された約50分の科学映画。

この映画は1966年10月に新日本医師協会とキム・ボンハン学説研究会の共催にて日本で初上映され、その後は小社が中心となって上映会が数回開催された。画面にはボンハン小体およびボンハン管(とされる物体)が剖出される様子が映っており、その生々しい様子に多くの業界関係者が大きな衝撃を受けた。

その後、キム・ボンハン学説は目立った成果も現れずしだいに下火となったが、2000年代に入り、韓国のソウル国立大学などで本格的な再検討がなされた。 

※本記事は、医道の日本社のWebサイトで2009年4月20日に公開されたものを元に作成しております。

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