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親子で楽しむ移動美術館 活動報告(2022/05/22)

2022年5月22日(日)、東京杉並区にある阿佐ヶ谷産業商工会館にて移動美術館を開催しました。今回は6組の未就学児とその保護者の方にご参加頂きました。今回は開催時期に合わせて初夏っぽい涼やかさが感じられる絵画を鑑賞し、その後、掛け軸の創作を楽しみました。

■鑑賞

前回のワークショップでは子どもたちの発言を引き出すのが難しかったため、今回は「鑑賞の手引き」という簡単なチラシを作って、どんなところに着目してほしいかを示しつつ、それを参考にしながら鑑賞してもらいました。

また、子どもたちだけ前に集まって絵を見てもらうのではなく、親子で一緒に前に来て見てもらうというやり方に変更しました。そうすることで、保護者の方からも子どもたちにお声がけして頂けたので、比較的多くの発言が引き出せたかのように思います。

鑑賞用の絵には武部白鳳(1871-1927)「河杭翡翠図」を使用しました。杭上のカワセミが鋭い目つきで魚を狙っている場面を描いたものですが、子どもたちからは、「鳥が魚を食べようとしてる」「鳥が綺麗なお花を見てる」等の声が聞かれました。確かに魚のすぐ脇には黄色い可憐な花も描かれており、カワセミはその花を見て癒されていたのかも知れません。

最後に、この絵には、鳥と魚以外にも生き物が隠れていて、それに気づいた子がいるか聞いてみると、既に気づいていた子もいました。表装の一文字の部分に”あめんぼ”があしらわれていることに。表装にも様々な工夫が凝らされていることを紹介した上で、掛け軸の創作に挑戦しました。

■創作

前回に引き続き、都内の美術教室で子ども向けにアートを教える活動を行っているアーティスト・佐々木環美さんにご協力頂きました。掛け軸の創作は、世田谷美術館の100円ワークショップ「表装の美」を参考にさせていただきました。

細かなパーツがいくつもあり、複雑な作業でしたが、保護者の方の協力も得ながら、素敵な掛け軸に仕上がりました。本来の規格からは外れる点もありますが、なるべく制限は加えず自由な配置や配色を楽しんでもらいました。

最後に皆の前で自分の作品を発表し、環美先生から一言ずつコメントをもらいました。ワークショップを通じて、掛け軸という昔ながらの絵の飾り方を知るとともに、自分の作品を軸装することで、その作品がさらに特別なものとして感じられ、家に帰ってからも飾って長く楽しむことができるため、子供の充足感と自己肯定感を育むことにもつながると期待しています。

■参加者の声

参加者アンケートによると小さな子ども連れの親子が美術館に行く頻度は多くて年に2・3回程度と少なく、美術館へ行く際に障害と感じることとして、「美術館内で静かにしていられない」という回答が最も多かったです。これらの回答は前回とほぼ同様の傾向でした。

移動美術館の活動は、まだまだ改善すべき点がたくさんありますが、小さな子ども連れの親子が周囲の目を気にすることなく気軽にアートが楽しめる場が広がるよう今後も模索を続けていきたいと思います。

■お問い合わせ

移動美術館に関するご意見、ご協力、お問い合わせ等は<ido.museum8@gmail.com>までお願いします。

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