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小説⑨~Center of the X~


2153年 12月3日 場所 

「夏休み絵画コンテスト最優秀賞 綺終 雪。」
「はい!」

 雪は、幼い頃から絵を描くのが好きで、賞を取るのがほとんどであった。
「雪!将来は画家さんになる!おっきいキャンバスに思いっきり描くの!」
 そんな夢を抱いていた。あの子に会うまでは。

二年後

「お前の絵最高だな」
 絵がそのように褒められている矛先は雪ではなく、転校してきた男の子の絵であった。彼の絵は超越していた。絵というか、思考が超越していたのだ。彼の絵は紙と描くモノで作られた作品では無く、日常で使われるモノ全てを絵画の中に取り込んでしまうと言う才能を持っていた。コンクールなどではどのように評価されるか分からないが、雪の目には『天才』の二文字が浮かんだ。
(私も真似すれば、なれるかな?天才に。。。。天才に、、、、、)

 この頃、雪よりも絵が上手になっていく子がたくさんいて、絵の才能についいて限界を感じていた。好きと才能は一致しない。小学生の私は気づく。小学生最後の一年、彼女は一回も絵のコンクールに出さなかった。

(天才だったら、人生楽しいのかな~)

 天才には天才なりの苦労がある。漫画で描かれる天才は、すごく苦労している。でも、凡人にも凡人の苦しさがある。この年で突きつけられる現実には、精神を保っているのにとても無理なモノがあり、この先ずっとつきまとう現実のようなきがして、雪には耐えられなかった。