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【イベントレポート】ブランドの思いや価値をどう届ける?ファッション領域で応援購入してもらう3つの考え方

「ブランドの思いや価値を届け、共感を生み出す考え方」について、応援購入サービス「Makuake」を展開する株式会社マクアケで、キュレーターとしてファッション分野のコンサル実績を多数持つ田中絢子氏にお聞きしました。

ブランドを始める時に知っておきたい、共感を購入につなげるための伝え方・考え方のポイントを、Makuakeプロジェクトの成功事例やトレンド紹介とともに、PR・マーケティングの視点を交えてお伝えします。

※本記事は、イデタチ東京のオンラインセミナー「ブランドの思いや価値をどう届ける?ファッション領域で応援購入してもらう3つの考え方」を元に再構成しています。

◆スピーカー
田中 絢子氏(株式会社マクアケ)
インターネット広告代理店でPRを経験後、マクアケへ入社。
アパレルを中心としたものづくり担当のキュレーター(商品のプロジェクトページの魅力、応援購入金額の最大化をサポート)として、これまでに800件以上のプロジェクトを担当。
2022年4月より、メディア本部を立ち上げ新たなミッションを担当。


「ブランドの思いや価値を届ける方法」

ブランドの思いや価値が言語化されているか

ブランドの思いや価値が言語化されているかが大きな違いを生みます。
デザインが新しい、着眼点が面白い商品であったとしても、なぜ作るのか、なぜ自分がやろうと思ったのかを考え抜くことが必要です。
「共感」を呼び、「応援」したくなる要素がブランドの根幹にあるのかを改めて考え、共感できるポイント、なぜこの商品をこういうデザインにしたのかを語れることが大切です。

様々な経営者が口にする「パーパス」

ファッションブランドにも「パーパス」が求められています。
パーパスとは、なぜ社会に存在するのか、その理由を指します。ブランドをやりたいその理由と、社会との接点を明確にすることで、一緒に実現していく仲間を作り、ブランド大きくしていくことに繋がります。


顧客とともにブランドを大きくする

パーパスを顧客と共有することで、顧客が仲間となりブランドが広がっていきます。
今の時代は、ブランドからの一方通行の発信ではなく、顧客に呼び掛けて、お客様から回答を得るような、コミュニケーションを生む発信が重要です。
顧客自身が共感して発信をしたくなるような、意味のあるメッセージを届けることで、顧客が顧客を呼ぶ好循環に。社会がより良くなる、世の中がもっと楽しくなる、そういうメッセージを、ブランドを通してお客様と共有できているか深く考えましょう。


Makuakeでのケース

・Goyemon (https://www.goyemon.tokyo/)
伝統×テクノロジーをブランドの根幹に掲げ、ファッションにとどまらない製品を展開。
雪駄×スニーカー、切子×ダブルウォールグラスなど、古いもの・伝統的なものを今の視点でリアレンジすることを面白いと思い共感してくれるお客様が多い。

・TigerLilyTokyo  (https://tigerlilytokyo.co.jp/)
「誰もが自分らしく生きるために世界を変えたい」という思いからコンプレックスになりやすい女性の胸にアプローチ。
コンプレックスをポジティブにとらえなおすために、プロダクトとしてランジェリーを展開している。

・メーカーズシャツ鎌倉 (https://www.shirt.co.jp/)
コロナ禍でのビジネスシャツ需要の激減に際し、デニム生地で作った作務衣を開発。
働く人のための「ワークウェア」の会社として、鎌倉の文化に寄与できるものが作れればと企画。鎌倉のお寺とのお付き合いが多く、僧侶からの提案を受けて製作された。
シャツ屋ではなく、働く人たちにとって快適なウェアを提供する会社という方向へ転換。

「マクアケを成功させるコツ」

事前準備が9割!

プロジェクトをローンチするまでの準備が成功を左右します。
パーパスをストーリーとして展開し支持を得るには、商品力・クリエイティブ・熱意の3つのポイントを掛け合わせていくことが重要です。
3つのポイントから、自分のブランドや商品を掘り下げていくことで、思いや価値を顧客にしっかりと伝えることができるはずです。

応援購入してもらうための3つの考え方

①    商品力

 
・商品の新規性はあるか?
・ターゲットの需要はあるか?
・消費者のどんな負を解消するのか?
・買いやすい価格設定か?

②    クリエイティブ


・商品力を十分に伝えうる画像、コピーの質か?
・実物を見なくても十分に良さが理解できるか?
・完読しなくても「ほしい」と思わせることができるか?

必要な情報が抜け漏れなく記載されていることも重要です。
写真が命。商品ページは自分で制作するとしても、写真はプロに頼むのがおすすめ。

③    熱意


・友人知人に自信をもっておすすめし、購入してもらえるのか?
・どれだけの情報拡散を事前に行うことができるか?
・広告費を投下するような意思決定ができるのか?

世の中の人みんなに伝えたい!と自分でも思えるほど良い商品になっているのかを改めて確認しましょう。
今まで自分たちをサポートしてきてくれた、友人や家族、周りの人など、リアルなつながりへの情報拡散や、そうした方々の購買も重要です。
商品ページのコメントや、売り上げ実績を、まずはリアルなつながりから作っていくことで、一見のお客様にも目にとめてもらえるようになります。
適切なタイミングで広告費をかけることも必要。商品の価格も、広告宣伝費をふまえて計算しておきましょう。

以上の3つのポイントを掛け合わせた結果が最大値になることが大事です。
1つのポイントで弱い部分があったら、ほかのポイントで補えるように掛け合わせていきます。
客観的にこの3つのポイントで、自分の商品を見直していくことで、打つべき手も見えてくるはずです。

ここからは、参加者からの質問に回答します。
Q:ターゲットに情報が伝わらず苦労している。
 ビジネスを継続させるためのファンとの上手な付き合い方とは?

A:一方的な情報発信、自分たちの伝えたい情報だけを伝えようと考えていないか自問自答してみましょう。ブランドを好きになってもらうためのポイント、仲間や共感を増やすために、どんな情報を発信するか考えることが大切です。
世の中には、社会に対して良いことをしたいと考える人が多いです。自分たちのブランドを買うことで、消費者のどんな欲求を満たせるのか考えてみましょう。

Q:ファンの心をつかむ良質なクリエイティブ、コピーをどうやったら生み出せるか?
A:普段いろんな情報に触れる中で、自分の心がときめいた、動いた瞬間に、なぜ心が動いたのか深堀して考えることが大事です。いきなり机に向かってコピーを考えたり、ひとりで考え込んでいくとドツボにはまってしまいます。自分が気づけない発見や、意見をもらうためにも、周りの仲間などにディスカッションの時間を取ってもらうことも有効です。

Q:小さい規模のブランドを始める場合、商品数(SKU)が1つ2つと少ない場合、SNSでの発信はどうするのがよいか。
A:商品数が少ないと発信が難しいということはありません。選択肢が無数にある中から、商品数を絞ってきているはずです。その絞っている過程や理由はツイッターやインスタでも発信ができます。自分の中で何をしたくてそれを選んだのかという理由を深堀りして発信してみましょう。
“renacnatta”(レナクナッタ https://www.renacnatta.com/)というスカート一種類からスタートしたブランドでは、なぜこの生地なのかという理由、スカートを縫ってくれる縫子さんの紹介、普通に見ただけでは分からない製作過程の話などを多く発信していました。商品数が少ないからこそのこだわりを伝えていきましょう。


最後に。成功のために忘れないでほしいこと

それぞれの会社やブランドは強みが異なります。クラウドファンディングをやるならこれが正解ということはありません。
今持っている思いや、リソースをいかに最大化させるかが肝であり、成功の道筋はそれぞれ違います。

自身のパーパスを明確にし、ご紹介した3つのポイント(商品力・クリエイティブ・熱意)を分析しながら、ブランドの価値や思いの発信を実践してみてください!

以上イベントレポートでした。

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