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人生100年時代のリスクマネジメント

 未来の展開が完全に予測はできなくても、想定したたくさんのストーリーの中の一つになるなら、将来に対しての不安は大きく減るだろう。

人生100年時代の不安と因数分解


 「人生100年時代」。ここ数年やたら聞く言葉だ。
 本来、長生きできるというハッピーな事のはずだが、なぜか将来への不安のニュアンスが強い気がする。おそらくその不安は以下の2つが主だろう。
 働く期間も伸びることで 終身雇用ではなくセカンドキャリア、サードキャリアという形での社会との関わり方。そしてもう一つは生活する期間が長くなったことでの人生にかかるお金の問題。
 どちらも今までの想定とは違う未来になる事への不安だ。人は想定が変わる事に対して強いストレスを感じる。長い間、終身雇用が前提で定年を迎えたら年金で生きていくという方程式が崩れる事は多くの人にとって不安でしかない。
 

生存力とは


 私は元々米国の投資銀行で新卒から働いていた。新卒当時、従業員の平均勤続年数は5年未満で、3年生き残る事を始めの目標にしていた。運よくその後も長い間、同じ会社で働くのだが多くの仲間や上司はやはり5年以内にはいなくなっていた。
 ここで多くの人は「首になったんでしょ!?」「その後苦労したんでしょ!?」とネガティブなストーリーを期待するが実際は殆どの人が次の会社や組織で活躍している。むしろ2、3回の転職の後に自分で起業する人が多く、金銭的にも働き甲斐としても充実している人が多い。
 これらの人は入社時から5年で会社を出るかもしれないと強く想定しているので、様々なシナリオを描いている。そしてクビになったとしてもよくある人の一人という受け止めで人生の終わりのようなショックはない。むしろ次のキャリアや何を身につけるべきかを考え、結果的に生存力の高い社会人になっている。
 
 リスクマネジメントとはつまりそういうことだ。
 
 不確実な未来に対し、様々なシナリオを想定し、それに対し身をもって実践する事でアジャストしていく。多くの人が思っている不確実な未来をなるべく避けるというのとはむしろ逆である。
 この「実践」というのがなかなか難しいのだ。お金に関してもキャリアに関しても人生はある種ぶっつけ本番なので、行動には勇気がいる。その結果、いざ実行できる人は少数派になる。
 多数派の村は生存競争も厳しく、打席に立つ機会も乏しい。結果、アクションに移すことができた少数派は次のステップに進みやすい。スポーツでも練習して公式戦を迎える前に練習試合があるように、投資やキャリアでも実践形式の学びの場が提供されるのが望ましい。

年齢とチャレンジの関係性


 人生100年時代になると、学びの時間も働く期間も当然長くなる。40代まで学びそのあと一つの世界で働くという意味ではなく、働きながら学び、実践し、また働くという、区切りが人によって変わる時代だ。
 何歳だからもう遅いよ、という考えは全く当てはまらない。50代のチャレンジなんて遅すぎると思っていると、また未来を読み間違う。30年後に人生120年時代という時代がもし来ていれば50代のチャレンジは普通のチャレンジと言われているかもしれない。
 現に先日面白いデータに出会った。2018年のマザーズでIPOした会社の85%は社長の年齢が40代以上だった。60代以上の会社も2割あった。
 ベンチャーやIPOって今どきの20代、30代の話でしょと思っている人も多いと思うが実際のデータはその想像とは全く異なる。つまり経験とチャレンジが融合して、チャレンジの成功確率が上がっているという事への裏付けだ。
 つまり、人生100年時代の不安解消はリスクマネジメントを身につけること、言い換えるなら情報や行動を取捨選択し実践してみる事なのだ。
 
 そのためにはある程度の知識も必要だろう、背中を押してくれる仲間も必要だろう、その行動が普通と思えるようになるまでの経験談も必要だろう。
 

これからのリスクマネジメント教育


 私がIdentity Academyを作った理由はそこにある。 
 
 今までは、学びと社会での実践が離れて存在していたが、すべて実践を意識しながらの学びを体系的に展開する必要がある。本来、学ぶプロセスは、知識から入るのではなく、ケーススタディという事実から入って、その事象を分解して必要な知識を後から知っていくという順序が良い。
 それは教科書的な「べき論」だけでなく、リスクテイクを何らかの形で実践してきた人、あるいは、いまだチャレンジの真っただ中でもがいている人、そんな人たちからの「現実」の話が根底にある。
 また共に学ぶ仲間も、何か変わりたい、チャレンジしたいと思っている。そんな仲間に囲まれていると実践する事のハードルは下がっていく。
 
 人はそんなに強くはない。同じ意識を持ったコミュニティが最後はその人を変える。
 人生100年時代のリスクマネジメントの体得は、変化したいと思う熱量の高いコミュニティで実践に基づく学びをすることのだと思う。
 

Identity Academy Website
https://www.identity-academy.jp/

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