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「やりたいこと」と因数分解

 みなさん初めまして、identity academy2期メンバーのK.Sです。identity academy2期では活動内容を週2回程度noteを使って発信していきます。
第19回は、新たなアイデアを生み出すための方法についてです。具体例を挙げながらその実践的な方法を紹介していきます。「やりたいことはあるが、それを形にするアイデアがなかなか浮かばないと悩んでいる方にとって効果的な方法だと思います。最後まで読んでいただけたら幸いです。

(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4554558&title=IDEA%E3%80%80%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2%E3%80%80%E7%99%BA%E6%83%B3%E3%80%80%E4%BC%81%E7%94%BB%E3%80%80%E5%89%B5%E9%80%A0

1.やりたいこと

 この記事を読んでいる方の中で「やりたいこと」がある方はいますか。あると回答された方が実現したいことは、「新しい事業を始めたい」、「自分の業界を盛り上げたい」など様々だと思います。しかし、そのやりたいことを形にするアイデアを0から思いつくことはなかなか容易ではありません。
地動説で有名なコペルニクスも0から地動説を思いついたのではなく、シャーティルなどのイスラムの科学者が考えたモデルに影響された結果、地動説を思いつくことができました。
(出典:
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/70887/1/11kosugi.pdf)
 つまり、地動説は一人の人間の頭の中で0から作り上げられたものではなく、現代の人が誤解しているだけなのです。この記事では、そんな一見「コペルニクス的転回」に見える素敵なアイデアが出るかもしれない方法をご紹介します。この方法を使って「やりたいこと」が実現できるかもしれません。

2.因数分解とは?

 アイデア出しの方法の一つとして因数分解法が挙げられます。この方法はハーバード大学やマサチューセッツ工科大学でも用いられているデザイン思考に基づく発想法です。デザイン思考とは本アカデミーでもよく出てくる言葉ですが、この記事でも説明すると課題に対して相手の立場から必要な考え方と手法で解決策を見出すことです。このデザイン思考に基づいた因数分解法は、数学で習う因数分解に発想は近く、アイデア出しという大きなものを分割して発想しやすい形にする方法です。そうはいってもまだ実際にどのようなことをするのかイメージが湧きにくいと思います。そこで因数分解法の内、三つの手法について例を加えながら具体的に説明していきます。

3.因数分解 ①:物理的に分解する

 最初にご紹介する手法は「物理的に分解する」です。まずはモノを機能ごとに分解して考えます。傘を例にとってみると、持ち手となる「柄」、雨を受ける「生地」、その二つをつなぐ「軸」になります。次に一つの機能のみに着目して、様々なアイデアを出していきます。傘の例でいうと「柄」に着目して「携帯電話を充電できるのもいいな」「のも面白そう」・・・と連想していくことに相当します。すると非常にアイデアを考えやすくなり多くのアイデアが出てきます。もし3機能につき10個アイデアを出すと、その組み合わせは30通りになります。単純計算ですが効果は絶大で、普段のやり方だと全体で数個しか出なかったアイデアが一気に増えます。この手法はモノを作ったり改善案を出したりする際に有効な方法です。また着目するモノを図に表すことで類似したモノが見つかり、意外な掛け合わせが見つかることもあります。例えば十二単は着物を重ね着した構造であり、その様子を同心円状に図示すると玉ねぎという全く異なるモノが見えてきます。こうした意外な組み合わせが、イノベーションを起こすかもしれません。

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(画像出典:https://www.kasaya.com/fs/kasaya/c/red?sort=03

4.因数分解 ②:時間的に分解する

 次は「時間的に分解する」です。この手法は、ストーリーや時系列を分割しその順番を入れ替えたり、別の話を付け加えたり省いたりします。分割方法としては三幕構成や起承転結のそれぞれの部分によって分ける方法があります。つまり三幕構成なら第一幕・第二幕・第三幕、起承転結なら起・承・転・結に分けることになります
 実際に具体例をとって因数分解してみると、「桃から生まれた/桃太郎が鬼退治のために鬼ヶ島に向かうが/途中仲間を見つけ/一緒に鬼を退治する」といった有名なおとぎ話でも順番を変えることで、「鬼退治された後に生まれた桃太郎が、真実の仲間を見つける」という全く別の物語になります。この手法は、音楽や小説などストーリー性を関連してくる場合はもちろん、以下の画像のように使用場面を考慮して作られるUXや建築でも有効になります。またCMやテレビ番組もこの方法を用いて作られることが多くあるようです。

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5.因数分解 ③:事業モデル的に分解する

 最後に「事業モデル的に分解する」について説明します。この手法は、既にある事業モデルを図で表し、その図の構成は変えずに図中に当てはまる人や対象を変えてみるというものです。例えば以下の図のように、マッチングアプリケーションのTinderを非常に簡単なモデルで表します。円の中に書かれている人物を「近所の医者」と「赤ちゃんが熱を出した親御さん」に変換すると、「深夜の緊急小児科医派遣サービス」という分野が全く異なるサービスが見えてきます。この手法の特徴としては、既に紹介した二つの方法では考慮していない対象の関係性を考えることができるところです。つまり事業において大事な部分となってくる、サービスの「誰に」・「何を」をしっかりと考えることができます。

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6. まとめ

・因数分解法は、「やりたいこと」を実現するアイデアを出すためのデザイン的思考法の一つで以下の三つがあります。
・「物理的に分解する」はモノを機能ごとに分解して、一つの機能に着目して別のアイデアがないか探り、これを全機能について繰り返し行います。
・「時間的に分解する」はストーリーや時系列をいくつかに分割し、その順番を並び替えたり話を付け加えたりします。
・「事業モデル的に分解する」は、既にある事業モデルを図で表し、その図の構成はそのままにし、その図の人や対象を変える方法です。

 因数分解法の三つの手法をご紹介しましたが、いかがでしたか。いずれも簡単な方法ですが、素晴らしいアイデアを見つける手がかりになると筆者は実感しております。本記事が皆様の一助となりましたら幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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