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GIGAスクールが始まって気づくあれこれ(その1)

GIGAスクールがまもなく,全国ほとんどの学校ではじまる。はじまってみると,「そういえば,どうするんだろう」ということに気づく事がかなりあるだろう。(※GIGAスクールって何という方は,文部科学省のページなどを見てください)

タブレットとの出合い(開封の儀とでも言おうか)

 教室に,全員分の端末が届きました。見るからに新品の,手垢も傷も付いていない真っ黒(多分)の端末です。席について黙って待っている子供達に,順番に配っていくのか,あるいは,一人ずつ前に取りに来させるのか。こういう行為一つとっても,「どっちがいいのか」「どうするのがいいのか」「どんな声をかけながらわたそうか」など,おそらく悩むだろう。

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 1年生に教科書を渡すとき,どんな声をかけながらわたすのか,1年生を担任した人なら分かるだろうが,パソコンとなると,何て言えばいいのだろうか。まして,貸与であり贈呈ではないし。
「このパソコンは,国から皆さん一人一人に貸し出されるものです。学校にいる間は,ずっとあなただけが使うことのできるパソコンです。」「このパソコンを用意するために,多くの税金が使われています。」などと,高学年なら,税金との関係の話もできるかも知れない。

 1年生には,それは無理な話なので,「貸してもらってるから、大事にしようね。」というのも,なんだかおかしい気もする。どんな経緯があろうとも,学習の道具として使うのだから,大事に使おうねということを言いたい。ただ,そうすると,「○○してはいけない」という禁止事項の連呼となってしまうことも想定される。
 机の真ん中に置くことや,両手で持つこと,2in1だと,画面のひっくり返し方,セパレートだと,キーボードの装着の仕方など,「このときはこうする」という話が延々続くかー。

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 一通りその話が終わったら,「電源の入れ方」から「電源の切り方」など,今度は電気製品としての説明がはじまる。子供達の身近な電気製品で,電源のオンオフをきちんと説明しないといけないモノは,あまりないだろうから,その説明に時間が必要かなと思う。ただし,そこは,GIGA用の端末。蓋を閉めればスリープ,蓋を開ければ起動。今どきシャットダウンなんて,スマホやタブレット世代には,ナンセンス。windows98世代の教師なら,「いいか,すぐに電源スイッチを切ってはダメだ。シャットダウンを選ぶんだぞ」というまちがいを教えてしまうかも知れない。

 第一,i-PadもChromeBookも,あれは,電源ボタンといっていいのかも疑問だけど。それでなくても,画面上のシャットダウンが見当たらないと騒がれそうだが。

起動した後,そこに映るものは?

 さて,蓋を開けて電源が入れば,次に子供達は画面上のアイコンをタップしたくなる。一体どんなアイコンが並んでいるか。実はここに,今回のGIGA端末の整備に関する,教育者としてのこだわりが見えるはずである。というか,見えないと困る。

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とはいうものの,そこまで考えてGIGA端末を導入しているかどうかが,問われることになる。おそらく,この点がはっきりしていなくて,端末を入れたものの,ここに書いたような,そのあとのことが無計画で無責任だと,何が起こるか想像してほしい。

繰り返される失敗と成功

 でもこのあたりは,何十年前から繰り返されてきた,学校現場へのICT機器導入のノウハウをぜひ活かしてほしい。というか,活かさないとダメだ。手前味噌になってしまうが,私が20数年前に赴任した学校では,毎年のようにコンピュータ予算がたくさんもらえ,そのときから,いわゆるソフトウエアの種類をたくさん導入することに,こだわった。理由は簡単である。ソフトがなければ,パソコンは,ただの箱だからである。
 当時パソコン1台の値段がだいたい30万円位していた時代だから,コンピュータ予算は,ハードウエアでほとんど使い果たしてしまう。だから,ハードの数を減らしてでも,ソフトウエアを充実させるようにしたものである。
 その結果,子供達は毎日のようにPC室へ足を運んでくれ,稼働率は格段に上がった。まあそりゃそうである。パソコンというマシンをさわりに来ているわけではなく,その中で動くソフトを利用するために来ているのである。
 そんなこんなで,それ以後,様々な指定事業を受けた際も,やはり,ハードの部分に目を奪わないように,導入したあとの,ソフトウエアに関する部分を抜け目ないようにしたつもりである。

アプリとツールの区別がついているか

 さて,ここでもうひとつ大事な視点としては,ツールの存在である。そろそろソフトウエアという言い方をアプリという言い方に変えるが,アプリの中でも,特定の用途にしか使えないモノと汎用性が高いツール型のものがある。
 九九の練習用のアプリは,九九の練習にしか使えない。そしてその時期は,だいだい2年生の2学期という時期になる。もちろん,その時期に習得できなかった子供達のために他の学年がそれぞれ使うという事もあるだろうが,こういうアプリは,だいたい時期と期間が決まってくる。
 それに対して,ツールは,どの教科でもどの学年でも,学習の際に利用するものである。鉛筆は,どの教科でもどの学年でも,必ず使うといってよい学習道具である。GIGA端末で利用するアプリは,やはりこのような学習道具として,いつでもすぐに使える状態であることが求められる。というか,これを想定していないのは,GIGA端末を導入する意味がない。これまでの授業スタイルの中に,GIGA端末の隙間を作って,埋め込むのも,取りかかりとしては,いいだろうが,それが全てではない。GIGA端末があるからこそできる授業展開を研究していく必要が生ずるはずだ。

第2回に続く)

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