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飲食店をワンストップで支える企業はどのように誕生したのか。代表が語る創業秘話と、イデア・レコードの未来

イデア・レコードは、2012年の創業以来、「外食企業の成長ドライバーに」をコンセプトに「飲食店」のソリューション開発にこだわり、飲食店特化型のコールセンター、クラウド型予約管理台帳、媒体編集、オウンドメディア構築・運用など様々なサービスを提供してきました。

代表取締役の柏田が起業した背景には、どんな想いがあったのか。そして、これからのイデア・レコードが向かう先とは?

今回は柏田に、創業初期までのエピソードや、イデア・レコードの現在とこれからについて聞きました。

——大学時代から起業を意識されていたそうですが、どんなきっかけがあったのですか?

柏田:大学の入学祝いに父親からノートパソコンを買ってもらったのが大きなきっかけになりました。1999年ごろ、当時の大学生はPCを1人1台持っていない時代でした。
僕の家は、不動産と飲食業を家業としていたんですが、当時は、バブルの影響を引きずって、経営が大変だった時期でした。そんな中で当時は高価だったパソコンを買ってもらったことで「これを使って何か家業の立て直しをできないかな」と思っていました。マーケティングや集客をWebで行ったり、業務効率を上げるためにシステムを作ったりすれば、これまでできなかったことができるようになるはずと考え、学生時代はITの勉強をし、就職先もその方向で考えました。

僕の父に限らず、経営難に陥って苦しんでいる中小企業のオーナーは全国にたくさんいたんです。「ITの力で、そういう人たちを助けられる人になりたい」というのが起業を考えるようになったきっかけでした。

ちょうど同じ時期にライブドアやサイバーエージェントの東証マザーズ上場を見ていて、ITバブル期の華やかな光景にも起業意欲を掻き立てられましたね。

——しかし、いきなり起業はせず、まずは就職して経験を積もうと?

柏田:そうですね。独立をして食べていくためにまずは営業のスキルを持たないと駄目だなと思っていたので、当時からとても勢いのあったWeb制作会社(あとらす二十一)に入社し、営業職として経験を積みました。途中から制作ディレクターへ異動となり、クライアントとの折衝からWEBサイトにおけるコーポレートブランド戦略の策定、またクリエイティブからCMSの要件定義、設計フェーズくらいまでを担当するポジションになりました。この会社での5年間は、とにかくいろいろなチャレンジができて今のキャリアの土台となるスキルが身につきましたね。

——その後、27歳のときに野村総合研究所(NRI)グループ(NRIネットコム)に転職されたそうですが、その時点で起業せず、転職の道を選んだのはどうしてですか?

柏田:正直、その時点で起業しても、自分が食べていけるくらいのスキルはあったと思っています。でも僕が描いていたのは、企業のオーナーの悩みを解決したり、悪化した経営を劇的に改善ができる会社を作ることでしたので、もっと広い視野でコンサルティングができる能力を身につける必要があると思っていました。特に大きな予算をもらいコンサルする経験を積まないとダメだなと思って、起業ではなく、これまでのWEBのキャリアが発揮できるシンクタンクに転職をすることにしたんです。

声をかけていただいたNRIネットコムであれば、WEBシステムコンサル業界をけん引するIT企業ですので、組織のメカニズム、またプロジェクトの在り方から、コンサルティングからアウトプットまでの一気通貫した提案幅や、予算規模に応じた体制構築、またそのマネジメントなど、今まで見れなかった景色を見ることができると思い、「起業まであと5年は働こう」と決めて入社しました。入社後は想像の50〜100倍の予算のもとプロジェクトに取り組めたので、その5年間で培った経験は非常に大きかったです。

——そして2社目で5年働いてから、2012年にイデア・レコードを起業されました。創業初年度はどのような感じだったのでしょうか?

柏田:非常に苦労しました・・・。ちゃんと準備をしたうえで独立して、営業もたくさんかけたんですけど、やっぱり実績もない1年目の会社とは、なかなか契約してくれないんですよ・・・。

「これはちょっとマズいな・・・」という危機的状況でしたが、学生の頃にアルバイト仲間や、お世話になった歌舞伎町の居酒屋を訪れたことが転機となりました。

当時から飲食店は、予約を増やすために当然Web販促をするんですが、グルメ媒体などのページをばんばん更新しないと媒体内の検索で上位表示されないので、店長さんが毎日1時間ごとに複数回、必死にサイトを更新していたんですよ。そこで僕は、グルメ媒体を24時間365日自動更新するシステムを開発し、当時1店舗あたり1万円で売ったんです。そしたらこれが、一気に200店舗分くらい売れて。
また、海外オーナーが経営している飲食店では、電話対応をカタコトの日本語で対応するためにコミュニケーションの壁が生じてしまい、本来なら取れるはずの予約を取りこぼしてしまうというもったいない事象が結構起きていたんです。日本人オーナーのお店でも当時から人手不足から忙しい時間帯は電話をそもそも取らないお店がかなり多かったのです。そこで、専任のオペレーターが代わりに予約電話を取ることで、おもてなしのある対応をして、きちんと予約を取って送客に結びつける(初期費用0でいつでも始められる)完全成果報酬型のコールセンターサービスを始めたところ、これもすごく需要が生まれました。このサービスが、現在、イデア・レコードの主軸になっている「よやくるー」(飲食店特化型のコールセンターサービス)に発展したんです。このようにしてひとつずつ新しいサービスが増えていきました。

歌舞伎町にて

——飲食業のお客様が主軸なので、コロナ禍はさぞ大変だったと思います。一方で、コロナ禍が何かプラスに働いた出来事はありましたか?

柏田:ええ、コロナ禍は大きなターニングポイントになりました。

当初、外出自粛により飲食店への影響は甚大で、我々にとっても今まで積み上げてきたものが否定されるような状況でした。ですが、やがて必ず事態は収束して、飲食店もまた密になるときがくると考えていたので、それを伝えることで、従業員を鼓舞していました。

ただ、コロナ後のライフスタイルは大きく変わるはずだとも思っていました。そこで我々は、コロナ前から構想していた新サービス「GATE」の開発に先んじて取り掛かることにしました。GATEは予約・注文から会計、そしてPOSへの連携まですべて一括で管理できる一気通貫型のSaaSシステムで、モバイルオーダーやテイクアウト、デリバリーサービスにも対応しています。

コロナがきっかけでテイクアウトやデリバリーが普及したため、このGATEの需要が爆発的に伸びました。今までお付き合いがなかった企業も利用してくれるようになったので、ありがたかったですね。GATEは、飲食店が独自のCRM活用を実現するためのプラットフォームとしても、バージョンアップをしており、直近では音声AIとの連動やRPAなどの分野でも成長し続けています。(2023年12月時点で9,000店舗の導入実績)

——この先、イデア・レコードとしてどんな新しいチャレンジをしていきたいですか?

柏田:今後、積極的に進めていきたいのは、人 + AIの事業化です。ちょうど12月に、我々が10年以上培ってきた「よやくるー」の経験を凝縮し、予約電話をAIが自動で取ってくれる「AI副店長」というサービスをローンチしたところです。

コールセンターには、2つの軸があります。
1つ目の、「ホスピタリティーを求められる人の手によるコールセンター」は、この先も絶対になくならないと考えています。一方で、2つ目の、「予約で席を確保するなど、そういった単純なコールセンター」の業務であればAIに担わせることも可能で、その領域のAI化はこれからどんどん進んでいくと想定しています。我々はその両方に対応することが悲願ということもあり、「AI副店長」をローンチしたことによって、ようやくそのスタートラインに立てたと思います。

コールセンターに限らず、「人手不足」などの業界課題に対してAIを活用していくことはより求められていきます。これからも様々な事業に対しAIの導入を進めていきたいです。

東京オフィス

——イデア・レコードがさらに大きくなったとき、社会にどのようなインパクトを与えている会社でありたいですか?

柏田:イデア・レコードは、店舗ビジネスにとっての「成長ドライバー」でありたいと思っています。例えば飲食店、ホテル、美容院、衣装レンタルやマッサージ屋さんなどは、いずれもなくてはならない業種ですが、どうしても労働集約になりがちで、勝ち残るのが難しいビジネスモデルです。これらの業種を「勝ち組」に変えていくのが、僕たちのミッションです。

——柏田社長自身は、どんな人と一緒に働きたいですか?

柏田:努力に耐えられる人と働きたいですね。どんな仕事であれ、すぐにはうまくいかないものだと思ってます。仕事って難しいことの連続ですし、厳しいです。順調にばかりはいきません。自分たちはうまくやったと感じていたとしても、お客様のコンディションによって「失敗」と評価されることだってあります。そういうとき、日頃から努力していないと自信だけが失われてしまうので、「努力に耐えられる人」というのを僕は過去の経歴以上に重視しています。

福岡天神オフィス①
福岡天神オフィス②

——好きな言葉や、辛いときに支えられた言葉などはありますか?

柏田:僕はトヨタの豊田章男会長が大好きなんです。以前彼が東京モーターショーで、「どんな新しい車に乗ってみたいか?」と報道陣から問われたとき、「ガソリン臭くて、燃費が悪くて、音がいっぱい出て、そんな野性味溢れた車が好きですね」と回答したんです。欧米では、環境への配慮から「ガソリンを吐き続ける車は悪だ」と言われているなかで、強い想いを持つその言葉にハッとさせられました。

イデア・レコードも、事業の方向性に対して、ときに否定的なことを言われることもあるんですね。そういうときに豊田さんの言葉は、自分たちがやっていることを肯定してくれた感じがあって、救われました。

——本日はありがとうございました!