【社会科】時差の計算を楽しもう”いちばん長い誕生日”
どうも。いかたこです。
中学校で社会科の教員をしています。
noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。
今回は、時差の計算を楽しくするアイデアです。
時差の計算とは
みたいな問題です。
解答はこんな感じです。
単純な四則計算ですが、式を立てるのが難しい問題という印象です。
やっぱり、ただ時差を計算しなさいと言われても、あまりおもしろくないですね・・・(^0^;)
でも、個人的には、時差ってタイムトラベルみたいでおもしろいなと思っています。
そして、このタイムトラベルを使えば、誕生日など特別な1日を24時間より長くすることできます。
では、誕生日をいちばん長くするには、いつ日本を出発してどの国に向かえばいいのでしょうか?
今回は紹介するのは、"いちばん長い誕生日"を求める問いです。
生徒も楽しみながら取り組めると思います。
以下では問いや授業の流れについて説明しています。
よろしければ、最後までご覧ください。
問い
Aさんの誕生日は4/1日です。Aさんは「もし誕生日が24時間より長ければ、もっと楽しめるのになぁ」と思っていました。時差を利用して誕生日をより長くするには、Aさんはいつ日本を出発してどの国に向かえばいいでしょう?
※サマータイムは考えないものとします。
ルール
① 複数の国に行ってよい ex) 日本 → 中国 → アメリカ
② 飛行機に乗っている時間(フライト時間)は含まない
③ 4/1が途切れてもよい ex) 4/1 → 3/31 → 4/1
ルール②・③は、計算を簡単にするために作りました。
詳しくは、付け加えに記載しています。
考え方
例えば、Aさんがロサンゼルス(西経120°)に向かったとします。
日本とロサンゼルスの時差は、16時間です。
ロサンゼルスへのフライト時間は、10時間くらいです。
ですが、この10時間は4/1に含みません。(ルール②)
Aさんは4/1の6時に日本を出発すれば、4/1の0時にロサンゼルスに到着できます。
この場合は、日付変更線を越えてからロサンゼルスに着くまでは、3/31になっています。4/1が1度途切れてしまいますが、良しとします。(ルール③)
したがって、Aさんは、4/1を30時間(日本の6時間 + ロサンゼルスの24時間)にすることができます。
生徒は、地図帳などで経度を確認しながら、時差を計算します。
フライト時間を計算するのは難しいので、タブレットで調べるなどしてもいいかなと思います。
授業の流れ
① 時差の計算の復習
② グループ分け *個人・ペアワークもOK
③ 問いの提示
④ グループで挑戦
⑤ 各グループの考えの共有
⑥ ギネス記録の紹介
このような流れで授業を進めていきました。
やはり日付変更線を越えて、アメリカの方に向かうグループが多かったです。
ちなみに、最も長い誕生日のギネス記録は、2018年にポール・モーガンさんが達成した48時間です。
もちろん、この記録はフライト時間も合わせたものです。というよりも、48時間のほとんどが飛行機の中だったそうです。
ですが、ポール・モーガンさんは、1度も途切れることなく、2/3(誕生日)を48時間過ごされました。
これには、綿密な計画が必要です。
詳しくは、ルール②・③を作った理由とともに付け加えに記載しています。
まとめ
時差を理解し、その計算を身に付けるためには、複数回の演習が必要です。
ですが、何度も同じような演習をしていると、どうしても飽きてしまいます。
今回紹介したような少し変わった問いで、生徒の好奇心を刺激できたらと思います。
授業をより楽しくするためのアイデアとして、取り入れていただければ幸いです。
今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。
付け加え
なぜルール②・③を作ったのか説明します。
1日を最大限延長させるためには、日付変更線を越えることが重要です。
ですが、それによって、1日を途切れさせないことが難しくなります。
日付変更線を西から東へこえるとき(日本からアメリカに行くときなど)、日付は1つ前に戻ります。
例えば、4/1の23:59に日付変更線を越えたとしても、3/31の23:59になってしまい、4/1が途切れてしまいます。
このように、1日を途切れさせないようなルートと時間を考えるのは難しいため、ルール③を作りました。
また、フライト時間を含めるのであれば、何時間が4/1で、何時間が3/31なのかを計算する必要があります。ですが、この計算も非常に困難です。そのため、ルール②を作りました。
では、ポール・モーガンさんはどのようにして、ギネス記録を達成されたのでしょうか?
各地の時間は、UTC(協定世界時)を基準にしたタイムゾーンに分かれています。
日本の標準時はUTCより9時間進んでおり、日本は「UTC+9」というゾーンに収まっています。
もちろん、日付変更線を越えたときは、UTC+12からUTC-12へ移動するため、時間は24時間戻ります。
ですが、UTC+12とUTC-11のタイムゾーンが隣り合っている箇所があります。
ニュージーランドの東側辺りです。
UTC+12からUTC-11へ移動すると、時間が23時間戻ります。
そのため、4/1日の23:00に日付変更線をこえても4/1の0:00になります。
つまり、23:00~23:59の間に日付変更線をこえることができれば、1日を途切れさせることなく、時間を戻すことができます。
実際、ポール・モーガンさんもこの1時間を狙って、オークランド(ニュージーランド)からロサンゼルスに向かう飛行機で日付変更線を越えられました。
ただ、やはり中学生にこれだけのことを理解させ、計算させるのは難しいと思います。
結果、ルール②・③を設けた上記の問いになりました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
それでは、また。
(参考資料)
ギネスワールドレコーズ公式サイト
48時間の誕生日を過ごした男 達成するための『ギリギリの旅程』とは? By Kristen Stephenson(2018年5月23日)
https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2018/5/american-celebrates-longest-birthday-ever-but-was-within-90-seconds-of-his-plan-526749(最終閲覧日2022年8月6日)
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