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【社会科】時差の計算を楽しもう”いちばん長い誕生日”

どうも。いかたこです。

中学校で社会科の教員をしています。

noteでは、授業がより楽しくなるアイデア(授業のタネ)を発信しています。

今回は、時差の計算を楽しくするアイデアです。

時差の計算とは

日本(東経135°)が14時のとき、ニューヨーク(西経75°)は何時でしょうか?※サマータイムは考えないものとする。

みたいな問題です。

日本とニューヨークの経度差 : 135° + 75° = 210°
日本とニューヨークの時差  : 210° ÷ 15°/時間 = 14時間
日本の方がニューヨークよりも14時間進んでいる。
よって、日本が14時のとき、ニューヨークは0時である。

解答はこんな感じです。

単純な四則計算ですが、式を立てるのが難しい問題という印象です。

やっぱり、ただ時差を計算しなさいと言われても、あまりおもしろくないですね・・・(^0^;)

でも、個人的には、時差ってタイムトラベルみたいでおもしろいなと思っています。

そして、このタイムトラベルを使えば、誕生日など特別な1日を24時間より長くすることできます。

では、誕生日をいちばん長くするには、いつ日本を出発してどの国に向かえばいいのでしょうか?

今回は紹介するのは、"いちばん長い誕生日"を求める問いです。

生徒も楽しみながら取り組めると思います。

以下では問いや授業の流れについて説明しています。
よろしければ、最後までご覧ください。


問い

Aさんの誕生日は4/1日です。Aさんは「もし誕生日が24時間より長ければ、もっと楽しめるのになぁ」と思っていました。時差を利用して誕生日をより長くするには、Aさんはいつ日本を出発してどの国に向かえばいいでしょう?
※サマータイムは考えないものとします。

ルール
① 複数の国に行ってよい ex) 日本 → 中国 → アメリカ
② 飛行機に乗っている時間(フライト時間)は含まない
③ 4/1が途切れてもよい ex) 4/1 →  3/31 → 4/1

ルール②・③は、計算を簡単にするために作りました。
詳しくは、付け加えに記載しています。


考え方

例えば、Aさんがロサンゼルス(西経120°)に向かったとします。

日本とロサンゼルスの時差は、16時間です。

ロサンゼルスへのフライト時間は、10時間くらいです。
ですが、この10時間は4/1に含みません。(ルール②)

Aさんは4/1の6時に日本を出発すれば、4/1の0時にロサンゼルスに到着できます。
この場合は、日付変更線を越えてからロサンゼルスに着くまでは、3/31になっています。4/1が1度途切れてしまいますが、良しとします。(ルール③)

したがって、Aさんは、4/1を30時間(日本の6時間 + ロサンゼルスの24時間)にすることができます。

生徒は、地図帳などで経度を確認しながら、時差を計算します。
フライト時間を計算するのは難しいので、タブレットで調べるなどしてもいいかなと思います。


授業の流れ

① 時差の計算の復習

② グループ分け *個人・ペアワークもOK

③ 問いの提示

④ グループで挑戦

⑤ 各グループの考えの共有

⑥ ギネス記録の紹介

このような流れで授業を進めていきました。

やはり日付変更線を越えて、アメリカの方に向かうグループが多かったです。

ちなみに、最も長い誕生日のギネス記録は、2018年にポール・モーガンさんが達成した48時間です。

もちろん、この記録はフライト時間も合わせたものです。というよりも、48時間のほとんどが飛行機の中だったそうです。

ですが、ポール・モーガンさんは、1度も途切れることなく、2/3(誕生日)を48時間過ごされました。

これには、綿密な計画が必要です。
詳しくは、ルール②・③を作った理由とともに付け加えに記載しています。


まとめ

時差を理解し、その計算を身に付けるためには、複数回の演習が必要です。

ですが、何度も同じような演習をしていると、どうしても飽きてしまいます。

今回紹介したような少し変わった問いで、生徒の好奇心を刺激できたらと思います。

授業をより楽しくするためのアイデアとして、取り入れていただければ幸いです。

今後も授業のタネを発信していきます。お楽しみに。


付け加え

なぜルール②・③を作ったのか説明します。

1日を最大限延長させるためには、日付変更線を越えることが重要です。
ですが、それによって、1日を途切れさせないことが難しくなります。

日付変更線を西から東へこえるとき(日本からアメリカに行くときなど)、日付は1つ前に戻ります。

例えば、4/1の23:59に日付変更線を越えたとしても、3/31の23:59になってしまい、4/1が途切れてしまいます。

このように、1日を途切れさせないようなルートと時間を考えるのは難しいため、ルール③を作りました。

また、フライト時間を含めるのであれば、何時間が4/1で、何時間が3/31なのかを計算する必要があります。ですが、この計算も非常に困難です。そのため、ルール②を作りました。


では、ポール・モーガンさんはどのようにして、ギネス記録を達成されたのでしょうか?

各地の時間は、UTC(協定世界時)を基準にしたタイムゾーンに分かれています。

日本の標準時はUTCより9時間進んでおり、日本は「UTC+9」というゾーンに収まっています。

もちろん、日付変更線を越えたときは、UTC+12からUTC-12へ移動するため、時間は24時間戻ります。

ですが、UTC+12とUTC-11のタイムゾーンが隣り合っている箇所があります。
ニュージーランドの東側辺りです。

UTC+12からUTC-11へ移動すると、時間が23時間戻ります。

そのため、4/1日の23:00に日付変更線をこえても4/1の0:00になります。

つまり、23:00~23:59の間に日付変更線をこえることができれば、1日を途切れさせることなく、時間を戻すことができます。

実際、ポール・モーガンさんもこの1時間を狙って、オークランド(ニュージーランド)からロサンゼルスに向かう飛行機で日付変更線を越えられました。

ただ、やはり中学生にこれだけのことを理解させ、計算させるのは難しいと思います。

結果、ルール②・③を設けた上記の問いになりました。

最後までご覧いただきありがとうございました。
それでは、また。


(参考資料)

ギネスワールドレコーズ公式サイト
48時間の誕生日を過ごした男 達成するための『ギリギリの旅程』とは? By Kristen Stephenson(2018年5月23日)
https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2018/5/american-celebrates-longest-birthday-ever-but-was-within-90-seconds-of-his-plan-526749(最終閲覧日2022年8月6日)


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