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ミスコンって何が問題なんやろ?【大学生が本気でミスコンに向き合ってみた話。#3】

近年、一部の大学において、ミスコン・ミスターコンを廃止または見直そうという動きがあるのを知っていますか?各学園祭において毎年盛り上がりを見せるミスコンに、一体どのような問題点があるとされるのでしょうか? 今回の記事では、ジェンダーの観点からミスコンが持つ問題点について一緒に見ていきましょう!

ジェンダーの視点から見る「ミスコン」とは?

武蔵野大学非常勤講師の高橋幸氏は、ミスコンを以下のように説明しています。

ミスコンとは、その人の外見やふるまいから読み取れる好感度に基づいて、人間に序列をつけるシステムである。ミスコンは、「純粋な外見美」を競っているというよりも、外見を含めた言動やふるまい、それらによって作られるその人の物語や個性への綜合的評価(=好感度)を人気投票の形で集約して、人をランキングするものである。

ジェンダー研究の先駆者的存在で、現在東京大学名誉教授の上野千鶴子氏は以下のように述べています。

『ミス』は『未婚女性』限定、つまり特定の男に所属しておらず、誰でもアクセス可能なお嫁さん候補に男性目線で順位をつけようというもの

 毎年大きな盛り上がりを見せるミスコンですが、実は身体や見た目の美しさに対する規範を作り上げ、容姿の美しさによって序列化する、といったルッキズムを含む差別的な構造が存在しているという指摘があるんですね。容姿以外にも、障害の有無・配偶者の有無など、一定の基準を満たす女性のみが「美しい」とされる前提があるとされていて、このように女性の画一的な「美しさ」のみを肯定することで、その「基準」を満たさない人の排除へと繋がってしまうという意見もあります。

ミス/ミスターと分けることの問題点

そして多くのミス・ミスターコン全体を通して、部門がミス/ミスターに分けられていることから、ジェンダーに関する多様性が考慮されておらず、男性・女性以外のカテゴリー(*1)を認めない男女二元論を再生産しているという批判があります。この点に関して、「ミス・ミスターコンを考える会」による東大新聞での一文を引用してみます。

コンテストが「ミス」と「ミスター」のみで構成されることにも反対です。この区分は、二つの枠に収まらないマイノリティ属性を否定しています。

よりよい女性像とは?

またミスコンでは、より高い好感度を得るために、出場者はより良い女性像をアピールする傾向が高いと言えます。男性はもちろん、男性の目線を内面化した女性も含んだ「集合的男性」が出場者の女性を評価する構図の中で、容姿のあり方を含めた「女性ならばこうあるべき」という価値観が再生産され、強化されていることが理由だという意見が存在します。例えば、コンテスト開催中はお洒落なカフェへ行く、自身のメイクについてSNSなどで発信するなど、世間で言われる「女子力」を全面的に押し出していく参加者が少なくありません。他にも未婚である参加者が真っ白なウェディングドレスでステージに並べられ、事実上男性にとっての「理想のお嫁さん像」を競っているように見えることから、「幸せとは結婚することだ」という価値観が再生産されているという意見もあります。また現在は多くの大学で廃止されていますが、水着審査を通して「女性」の性的魅力を評価する、セクシズム的な要素を含む部門も存在していました。このコンテストを大学側が容認・奨励・黙認しているとするならば、「女子学生の価値はその容姿の美しさに還元する」という価値観を大学側は肯定しているというメッセージを発信しうることになります。

異性愛が前提?

このコンテストは異性愛が唯一の性的指向とする異性愛規範が前提となったパフォーマンスも存在しており、多様な性のあり方を考慮していないと言えます。例えば、ステージや雑誌の特集で男女でペアが組まれていたり、インタビューなどで「好きな異性のタイプは?」と恋愛対象が異性だという前提で質問されたりすることも多く見受けられます(近年変化したミスコンもあります)。また、「告白タイム」という理想の告白シーンを想定しながら、参加者が演技をするといったパフォーマンスも行われています。さらに運営側による参加者へのセクハラなども問題になっていて、運営側の体質などを問題視する声もあります。

様々な問題点や批判をご紹介しましたが、私たちもしょせん外野です笑。実際にミス/ミスターコンに出場経験のある方々へのインタビューを企画しておりますので、その記事もお楽しみに🔥

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*1 ジェンダーの多様性に関してもっと知りたい方はこちらの記事がおすすめです!


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