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にいがたヘルスケアアカデミー2022開講!!松本晴樹氏の第1回講義レビュー

2022年6月11日、「にいがたヘルスケアアカデミー2022」が開講いたしました!新潟のヘルスケアをより良くしたい、という志を持った県内外の方々が、オンラインで集結しました。

この記事では、「アカデミー第1回講義」の様子を簡単にお伝えしていきます。当アカデミーに興味のある方、新潟のヘルスケアを良くしたいという思いをお持ちの方など、ぜひご覧ください!

(にいがたヘルスケアアカデミーの詳細は、こちら記事から)

ヘルスケアアカデミー2022 全体スケジュール

新潟県内の市町村保健師の方々や医療者、会社員、学生など、多種多様な活動をされている方々がアカデミーに参加されています!

今年度は全9回の講義を予定しており、第1回となる6月11日は、新潟県福祉保健部長の松本晴樹氏を講師にお招きし、「地域医療課題に肉薄するために 〜医療再編時代に本当に解決すべき課題とは〜」というテーマでお話いただきました。

講義の前には、アカデミーを運営している株式会社BSNアイネットの常務取締役 伴内 富士男 氏から、「デジタルやヘルスケアを通して、地域課題を解決するための手法を学び続ける。このコンセプトのもと皆様の活動が新潟県のヘルスケア課題解決の一助となることを祈念しています。」といったアカデミー生へのメッセージをいただき開会しました。

「地域医療課題に肉薄するために
〜医療再編時代に本当に解決すべき課題とは〜」

 松本 晴樹 氏/新潟県福祉保健部長
2006年千葉大学卒業後、宮城県石巻赤十字病院での初期研修修了。湘南鎌倉総合病院救急総合診療科の後期研修(1年)を経て厚生労働省に入省。母子保健、診療報酬などの担当を経て、2016年よりハーバード公衆衛生大学院/医療政策專攻に留学。帰国後、2018年より厚生労働省 医政局 地域医療計画課にて、地域医療構想やCOVID-19対策に従事し、2020年より現職。

■考え抜くとは?

考え抜く方法は様々なものがあります。答えは1つではありません。例えば、トヨタ式のなぜなぜ分析は有名な方法です。なんでできないのか?どうやったらできるか?ということを繰り返し考えることです。

なぜ新潟の僻地には医者が足りないのか?医者が来ないのか?というとそんなことはありません。新潟では昨年研修医に向けて臨床研修をしながらプラスアルファを学べるイノベーター育成臨床研修コースを創設し、PRしたことによって、実は今年25%くらい新潟の研修医は増えました。魅力をうまくPRできていなかったり、例えば新潟の研修医は東京に比べて月給20万円も高いことが知られなかったりなど、様々な原因がありましたが、1個ずつ解決していくことで結果が出てきました。

皆さんも何か医療の課題解決をしたいという時に、表面の課題で止まらないで、「なぜだろう」ということを追求していくことが非常に重要です。

杉村太郎さん著書の「アツイ コトバ」という本を紹介します。

例えば、上司から言われたことや誰かのアイディアなどあると思いますが、ぜひ「自分に問いかける」ということを考えてほしいです。

本当にそれでいいのか?
他にないのか?

また、考えるということは、非常に素早くやらなければいけません。おそらく仕事の中だけでは、それは身に付かないと思います。アカデミーの中でいろんな人たちと取り組む、壁打ちが非常に重要です。ひたすら議論をしていくことで鍛えられていきます。

考えるだけではなく、行動することも大事です。考えることを言い訳に行動から逃げていないでしょうか。人に聞いたり、誰かのところに行ったり、ビジネスコンテストに参加してみたり。動くことで勇気が出てきます。

動けばエネルギーが湧いてくる。補充される。
動くことで世界が変わる。
今はノーアイディアでも、動いたら湧いてくる。見えてくる。必ず。
最初の一歩は、何も考えず、足をだせ。
動くことで勇気を蓄え、そして、動きながら考えるのだ。

杉村太郎『アツイコトバ』(中経出版、2004年)

■ロジカルシンキング

「人に伝える時」と「課題を考える時」は真逆の考えになります。
人に伝える時は、結論から言います。自分で考えた順番で言っていけません。考える時は、問題が何かということ定義をし、分析し、解決策を考える順番です。詳しくは次回のロジカルシンキングの講義で学ぶことができます。

■ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ

例えば、血圧の高さと脳卒中のリスクについてです。血圧が高ければ高いほど、脳卒中のリスクは上がりますが、血圧が200というハイリスクの人は少ないです。救急に運ばれてくる人は中リスクの人が多いです。ハイリスクに目が行きがちですが、患者の大半は中リスクから発生します。
ハイリスクの人たちには、当然働きかけて病院に来てもらいますが、中リスクの人たちに対して、例えば市町村が保健指導することは難しいです。社会全体を血圧を低くする方に動かさないといけません。住民全体に働きかけるということが、知恵の出しどころです。難しいですが、これこそが保健活動の中でやっていくべきことだと思います。

■地域医療構想

今後、後期高齢者が増えることで、いかに高齢者の医療・介護の負担をまわりから減らしていけるかということが課題となってきます。
また、病院だけでなく、自治体や地域の役割分担が非常に大事です。みなさんが課題解決を考えるときに、ぜひ地域全体がどうなっているのかを、市町村や地域のケアマネさんにヒアリングしながら、新潟の課題はなんだろうということを考えていくことが重要です。

■今回の講義のテイクホームメッセージ(持ち帰ってほしいメッセージ)

・考え抜くとは?(思考停止しない)
・課題解決のためのツール
・動いて、考えて。動いて、考えて。

アツイこととクールなこと。よく「Warm Heart, Cool Head.(熱い情熱と冷静な思考)」と言いますが、両方大事です。それを忘れずに。というのが私からのメッセージです。

最後に、アカデミー生からの質問に松本氏からご回答いただきました!

Q.「よく考えてから行動する」ようなコメントを上司などからもらうことも多々あります。行動しながらもっと深堀りして考えていくことで、見えてくることがあるのは賛同致しますが、最初の一歩をセンスよくどのように踏み出すのがよいのかヒントをください。

A.「最初の一歩をセンス良く」というのは最初は難しいので、一つ目はへこまない自分を確保しましょう。やってみてダメだった、ということはあります。その場合にアカデミーの友人に相談したり、相談できる・悩みを打ち明けられる相手を得ておくこと、飲みに行ったり走ったりなどストレス解消法をあらかじめ用意しておくことが重要です。
二つ目は、上司に対してホウレンソウをしっかりすることが大事です。考えるより先に動くことを選択すると上司が心配するため、情報共有を密にすることで、多少失敗したとしても上司からの評価を下げないでやっていくことが可能になるのではと思います。
最初から期待値を下げるようなことを言う必要はないので、常に淡々と動きを上司に入れておくことによって、積極的にチャレンジできると思います。

Q.私は企業で保健師をしています。社員の健康づくりの意識は、2割が興味ない、6割がどちらでもない、2割がやる気ある、みたいな割合です。今私がターゲットの中心に考えているのは、どちらでもない層の6割です。とはいえ、興味がない層2割にハイリスク者が多いので、どうするか悩みどころです。

A.10年後を考えると、「どちらでもない」6割の中の結構な方々がハイリスクに移行するということはよくご存じかと思います。その6割に対してアプローチをすることはやめてはいけません。6割の人達が普段何を考えていて、どういうチャネルでアプローチすると例えばメールを開いてくれるのか、情報を手に取ってくれるのかを考えながら行いましょう。6割の人たちに対するアプローチがポピュレーションアプローチであることを忘れないでいただきたいです。
また、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチは二者択一ではありません。残り2割のハイリスク者に対しては、ハイリスクアプローチも行っていただくことも大事です。ポピュレーションアプローチのほうが費用対効果が高いとは限りませんし、ハイリスクアプローチも十分費用対効果の高い設計を行うことは可能です。
6割に対してアプローチしようとするとつい個別アプローチになってしまいがちですが、ポピュレーションアプローチには向いていないので、必ず6割みんなが聞いてくれるような対応を考え、ハイリスクアプローチと組合わせていく必要があります。

これ以外にも多くの質問があがり、熱気に満ちた講義となりました!!


講義後は、今後活動を共にする仲間として、さらにお互いを知ってもらい、交流を深める時間としてワークショップを行いました。

まずは、今回の講義にご参加いただいたアカデミー生36名が、1人30秒ずつで自己紹介を行い、その後グループに分かれてグループディスカッションを行いました。「今、一番行ってみたいところ」または「今、新たに挑戦してみたいこと」をテーマとし、発表を行っていただきました。限られた時間の中でのグループディスカッションでしたが、お互いへの質問も飛び交い、交流を深めることができました。

今後、一緒に新潟のヘルスケアをより良くしていくために、協力し、課題に取り組んでいきましょう!!

第2回講義は、6月25日(土) ハイズ株式会社代表取締役裵 英洙 氏によるロジカルシンキングについての講義です。

第2回以降の講義についてもnote記事を更新していきますので、お楽しみに🌼

主催:新潟県
運営:ヘルスケアアカデミー運営事務局(株式会社BSNアイネット)

Twitter:アカデミーの活動や関連情報、新潟のヘルスケア情報や潜在的な課題などを発信しています。


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