ICTでまとめや報告を作らせるときに陥りやすいこと
こんにちは。ぐうぽんです。
ICTの活用で多いのが、まとめや報告をタブレット等で作成する活動です。
これはパソコンが学校に入ってから現在も続く、いわば普遍的な表現活動と言えます。
ですが、このまとめの仕方がまだまだ正しく行われていないのが現状です。
ICT支援員時代から伝え続けている、まとめの仕方と情報活用能力育成に向けた話をしようと思います。
地域の良さを伝える文書を作って発表したけれど・・
自分も担当している中学年で、総合のまとめ発表をするので見てほしいと管理職の先生に言われたので、立ち会わせていただきました。
内容は「地域の良さを伝える」もの。
ほー、いつの間にまとめていたんだろうか・・
そう思いながら見学していましたが、色々気になる点が見えてきました。
(変わっていない、と言うか、ヤバい…)
あるある、3つのまとめ方
これまでの支援経験から見られる、3つのまとめ方を示します。
(1)ホームページ等からそのまま文章をコピペ
一番楽であり、多く用いられている方法かと思います。
今回の中学年もこの方法でまとめていました。
ページを検索し、書かれていた文章を、そのままドキュメント等に貼り付ける・・
見た目上は形になりますし、それなりに良いかと思います。
しかし、ここには大きな問題があります。
1つは著作権の問題です。
文章を丸々コピーすることは、そのページを作成している人(団体)の著作権を侵害しています。
特に今回のまとめでは、「引用」が用いられていませんので、著作権侵害になります。
小学生がまとめているとはいえ、丸々使うことは問題です。
最低限でも「引用」を使う、自分の意見を加えたり、次に述べる「要約」を用いて文章を参考程度にしたりしないと、児童が全く内容を理解しないまま発表してしまう、学びのない学習になってしまいます。
もう1つが情報活用能力の点です。
情報活用能力は、現行の学習指導要領では学習の基盤となる資質・能力の一つに位置され、その重要度が高まりました。
情報活用能力の育成については『教育の情報化の手引き』で以下のように示されています。
このことから、先のコピペ等を用いる作業は、情報活用能力の育成を阻害する可能性がある、非常に危険な指導になってしまうのです。
(2)ホームページから要約
丸々コピペから少し改善したのが、(2)でしょうか。
検索したホームページの内容を少し自分なりに読み込んで、一部を書き換えるなどの工夫をしたものや、ホームページの情報を引用して、自分の意見を最後に加える等の表現をしているものといえば理解できるかと思います。
しかしこれもちょっと問題があります。
それは「一つのページだけで情報を収集している」こと。
時数の都合等で、先生が指定したページからまとめなさい、という指導もよく見かけますが、そうなると情報が一つに偏るので発表しても(それさっきの子が同じのをしゃべったし・・)となるので、最後のまとめ等で差別化を図らないと独自性が見えなくなってしまいます。
(ここがまさに思考力。なかなか難しい部分です)
情報活用能力の育成に向けた方法としては少しハードルも高く難しいかと思いますが、できる範囲で行ってほしいと思います。
(3)ホームページや本を組み合わせて要約
一番の理想はこの方法でしょうか。
インターネットのみならず書籍等からも情報を得たり、文章を要約したりするので個性が見えるまとめ方が可能になります。
複数の情報を得ることで信憑性を高めることができますし、要約は膨大な情報から必要な部分を読み取りまとめるので読解力や表現力を高めます。
なにより伝えたいことが分かりやすくなるので説得力も上がります。
しかしこの方法は非常に時間を要しますし、特に小学生では至難の業と思います。
とはいえ将来的に児童生徒はリポートや論文を書く機会がありますので、少しでも早い段階で基本の形を知っておくことは無駄にはならないと思います。
こちらも時数や能力を鑑みながらできる範囲での実践を目指しましょう。
専門の力を借りよう
どうしてもこうした分野については、専門の力を借りないと難しいかと思います。
そのためにICT支援員等の専門家が存在します。
文科省は『ICT支援員の配置を』PDFを公開し、積極的な導入を促しています。
配置数も年々増加していますので、勤務校に所属していることも増えていると思います。
ですが未だにICT支援員が何をする人なのか理解が進まず、活用に苦慮されている話も聞きます。
文科省のサイトにもあります通り、ICT支援員は授業でのICT活用に関する情報や校務の効率化など幅広い知識と技術を持っています。
学校の先生だけでは実現が難しい内容も、協力すれば実現は大いに可能です。
まずはお声をかけましょう。
そして困っていることを相談してみてください。
きっと先生のお力になると思います。
正しい指導方法で、未来の人材を育成しよう
ICTを用いたまとめは小学校でも盛んになりました。
しかし間違った指導をすると、そこからのリカバリーが他の先生や上級学校に波及されるので大変な作業になります。
まずは指導方法が合っているかどうかを見直してみてください。
(1)になっているなら(2)や(3)への変更を考えましょう。
一人で難しいのであればICT支援員等の専門家を頼り、一緒に指導してみましょう。
児童生徒は、これからの社会を担う未来の人材です。
その意味からして、情報活用能力の育成は正しい方法で行わなければなりません。
今回示したまとめ方を参考に、思考力判断力表現力を筆頭とした情報活用能力の育成を図りましょう。
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