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94 英単語を「書く」ことの困難さ

英単語を覚えるのって苦労しますよね?
今日は「なぜ覚えにくいのか」というところをお話ししてみようと思います。

皆さんはディスレクシアという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
簡単にいうと、文字を読むことや書くことが難しい状態のことです。頭の中で文字や音がうまく結びつかず、読むスピードが遅かったり、間違えたりします。
中には漢字が線に見える、文字が動いて見えるなどのパターンもあります。

これが日本語と英語とでは異なる出方をします。
しかしわたしの知る限り、日本の教育現場では英語のディスレクシアやその困難さについてあまり知られていないように感じます。

【日本語と英語の読み方の違い】

1. 文字と音の対応

日本語:ひらがなやカタカナは、一つの文字が一つの音を表します。例えば、「あ」は「a」という音だけです。

英語:英語の文字は、いろんな音を表します。例えば、「a」は「エイ」や「ア」など、いろんな発音があります。

2. 文字の種類

日本語:ひらがなやカタカナは各46文字。音の種類は一文字に対して一つと少ない。漢字については、ひらがなだけで読む練習をすることも可能。

英語:英語は26文字のアルファベット。その組み合わせ次第で音の種類も増える。
研究によると、英語を読むのが難しいのは、文字と音の対応が複雑だからです。例えば、「ough」という文字の組み合わせは、「タフ」(tough)、「スルフ」(through)、「ラフ」(rough)、「ドゥ」(dough)のように、全然違う発音になることがあります。これが、ディスレクシアの人にとって特に混乱しやすいポイントです。

一方で、日本語はひらがなやカタカナが簡単なので、読むのが少し楽になることが多いです。でも、漢字は覚えるのが大変なので、日本語のディスレクシアの人も特別なサポートが必要とされています。

ディスレクシアの状態にある人だけでなく、英単語を書くという部分で中1がぶつかる困難さには、このような文字と音の背景があるということが最大の障壁ではないでしょうか?

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データ元:
- Shaywitz, S. E. (1998). Dyslexia. New England Journal of Medicine.
- Olson, R. K., & Gayan, J. (2001). Brains, Genes, and Learning: The Behavioral and Molecular Genetics of Reading Disability.
- Torgesen, J. K. (2002). The Prevention of Reading Difficulties. Journal of School Psychology.

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