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77 新刊のお知らせ

「ドンッ!!」

あの日、大きな音と共に自分の足元の均衡が崩れるのを感じた。

数秒前に私が立っていた場所には、食器棚があった。

大きく縦に揺れる中、必死になってベッドに潜り込み、アタマから布団をかぶる。

同時に食器棚が大きな音を立てて崩れていくのが見えた。

何が起きているのか、わからない。

でも、この世のものとは思えない、そしてあらがうことのできない絶対的な力に振り回されているのだけは感じることはできた。

布団の中でただひたすら自分の無力感と向き合う。

とにかく怖くて怖くて、仕方がない。

ただひたすらに耐えるしかない。

祈るしかないのだ。

後から知ったことだが、実際に揺れていたのは数分間だったらしい。

しかしあの瞬間は、私には永遠に感じられたのだ。

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以上は、わたしの新刊、『特別支援学級の防災教育:安心・安全な学びの環境づくり』の冒頭部分。

今でも地震が起こると当時のことがフラッシュバックして、わたしを襲う。
何年経っても唐突に、わたしを当時に返すのだ。

リアル被災体験したわたしが今は、教員として子どもの命を預かる立場になった。

改めて考えた防災対策、日頃からできること。
わたしの預かる特別支援学級の支援を必要とする子たちの生命を守るために、自分のトラウマと向かい合った作品です。

良ければ手に取ってもらえると嬉しいです。

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