[1-1] 写真 ある冬の週末|Citizine
衣食住。
着る、食べる、住まうという、いわば表舞台ともいえる行為の影には、
縁の下の力持ちが必ず存在している。
洗濯もその一つだ。
服は、着たら汚れる。汚れたからといって、すぐに捨てるわけにもいかない。
綺麗になったのならば、もう一度袖を通したいものもあるだろう。
だから、私たちは洗濯をする。
雨の日も風の日も。晴れの日も嵐の日も。毎日、毎週、毎年。
洗濯は、生活そのもの。
ある冬の週末、街中にある人々の生活を垣間見た。
コインランドリーには、特に何があるわけでもないのに
なぜだか非日常を期待してしまう。
靴を履いて、それから家のドアに鍵を閉めて。
仕事や遊びと同じ儀式をたどるからだろうか。
これから気長に数十分を待つことを考えると、時間のゆとりを味わうことができる。
乾燥のあとに待つ畳みというあの少々厄介な工程も、家でやるときからは信じられないほどの手際になる。
そして畳みが終われば、ひと仕事終えた心地よさで家路がちょっとした散歩道になってしまう。鼻歌のひとつも自然に出たりして。
text / 小野いこ
photo / 小野いこ オチバオチル
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