イコマゴマ

初めましてイコマゴマと申します。10 年におよぶ携帯業界の経験と仕事中に溜め込んでいた…

イコマゴマ

初めましてイコマゴマと申します。10 年におよぶ携帯業界の経験と仕事中に溜め込んでいた妄想を爆発させて描く小説「ケーショガール」の連載を中心に発信しています。挿絵もあるので小説がニガテな方や業界に興味が無い方でも楽しめる内容です。これを読めばあなたも実質ケーショ店員です。

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  • 連載小説ケーショガール

    note連載小説『ケーショガール』をまとめています。 スキマークをどこまで読んだかの栞の代わりにすると読みやすいと思います。

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自己紹介と作品ついて

始めまして この度noteにて連載を始めさせて頂きましたイコマゴマと申します。 最初なので自己紹介と「ケーショガール」について少しだけご説明させて頂こうかと思います。 2022年現在20~49歳スマホの保有率は100%以上。っていう事は1人1台以上保有している状況なんですね。 プライベートと仕事の業務端末でスマホ2台持ちなんていうのも珍しくないですもんね。 そんな今や生活や仕事になくてはならないスマホ。 そしてそれを扱うのが皆さんご存じの携帯ショップです。 私自身、2年前

    • ケーショガール 第15話 ③/3

      社内恋愛のススメ ③/3 「でね、北宮が付き合い出してから2か月後くらいに片桐の元彼女のチーフに新しい彼氏が出来るの。その相手って言うのがさ」 三吉と私が声を合わせて言った。 「まさか」 「そうそのまさか。北宮が捨てた元カレ」 「そこがくっついちゃうんですか」 「まぁ店内って言う狭い世界だけで恋愛しようとしたらそんな事もあるんじゃない?これで北宮もチーフの子も幸せになった。と、思うでしょ?」 「え?めでたしめでたしじゃないんスか?」 「よく考えてよ、ここまでに異

      • ケーショガール 第15話 ②/3

        社内恋愛のススメ ②/3「高橋さん。じゃあもしかして北宮さんと片桐さんも?」 高橋はここからが話のメインディッシュだと言わんばかりのワクワクした顔で言った。 「古寺ちゃん。正解」 「えっ?どういう事っすか?デラコどういう事?」 「いや、今の話聞いてたらその権力のある男って言うのが片桐さんの事で、北宮さんも片桐さんと付き合うまでに競走したのかなって思って」 「確かに‼えっ?どうなんスか?」 2人で高橋を覗き込む。 「古寺ちゃんが今言った通りよ。北宮は三吉と違って勝

        • ケーショガール 第15話 ①/3

          社内恋愛のススメ ①/3私が子供が生まれたばかりの荒ぶるイノシシのように鼻息を荒げながらバックヤードに行くと三吉が受付の合間に一息ついている所だった。 呑みかけのペットボトルを口に付けながら私を見つけると、様子がおかしい事に気が付き楽しそうなおもちゃを見つけた子供のように目をまん丸に開きながら近づいてきた。 「あれーデラコ怒ってるの?馬淵さんに何かされたぁ?」 「違いますよ。馬淵さんじゃないです」 「じゃあなに?なにがあったのよ?」 私は周りを見て三吉手の手を引きバックヤ

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          32本

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          ケーショガール 第14話 ②/2

          副店長会議のススメ ②/2会議が始まると各店が順番に今月の売上進捗を発表していく。 「…以上、こんな感じでうちは上手くやってまーす」 馬淵がひょうひょうと店舗の実績を発表を終える 「馬淵さんあんな軽い感じで良かったんですか?」 「良いの。今集まってる店舗の中で実績が1番良い店舗知ってる?」 「知らないですけど」 「うーち」 近距離でのウィンクはなかなか辛いものがあった 「次、新江古田店」 エリアリーダーの三ツ木が次に発表する店舗を言うと威勢のいい返事で新江古

          ケーショガール 第14話 ②/2

          ケーショガール 第14話 ①/2

          副店長会議のススメ ①/212月の始め、街の中にはせっかちにクリスマスムードが漂い、マフラーに顔をうずめながら歩く事が増えてきた頃の事だった。 その日私は朝礼が終わるとすぐに店舗から出て新江古田店に向かっていた。 今日は新江古田店でエリアの各店舗の副店長が一人ずつ集まり売り上げや店舗の販促活動などの取り組みを話し合う会議が行われる。 なぜそこに私が行くのかと言うと昨晩馬淵とこんなやり取りがあったからだ―― 「デラコーお疲れー。ね、明日暇?」 「お疲れさまです。暇って

          ケーショガール 第14話 ①/2

          ケーショガール 第13話

          嫌味のススメ「古寺さんそろそろ慣れてきた?」 私が受付の後処理をしていると後ろから話かけてきたのは店舗の中でも中堅スタッフの北宮美央だった。 「はい、何とか独り立ちも出来ました。今日は星野さんについて接客について教わっています」 そう返事をすると北宮は一瞬つまらなそうな顔をしたが、すぐに笑顔に切り替わり会話を続ける。 「ふーん独り立ち出来たのね。これで稼働が1人増えて楽になるわね。良かった」 「はい。皆さんの足を引っ張らないようにがんばります」 「えっ?古寺さん何

          ケーショガール 第13話

          ケーショガール 第12話 ②/2

          観察眼のススメ ②/2 私は星野が見せてきた個人獲得表の中身に驚いた。 SDカード64ギガ。これは現在店舗にあるSDカードの在庫の中で最大容量のものだ。記録出来る量が多いがその分、値も張る。 それに加えてスマホに貼り付ける保護フィルムやケース。他にもキャリアが作った動画サービスをはじめいくつものサービスを契約していた 。 例えるならラーメンで言うところのトッピング全部乗せ。 これ以上ないと言っても良いくらいの成果だった。 「すごいですね。あのお客様からこんなに」 「古寺

          ケーショガール 第12話 ②/2

          ケーショガール 第12話 ①/2

          観察眼のススメ ①/2晴れて独り立ちしてから何日か経ったある日の朝礼後、これから1日の営業が始まろうとしていた時の事だった。 「じゃあ今日は1日星野君の後ろについてもらえるかしら」 高橋の口から思いがけない指示が飛び出した。 独り立ちしてからは誰かの後ろについて受付を見せてもらう事なんて無いと思っていた事もあるが、受付が1人で出来るようになった今、何を見るのかがわからずにいた。 そんな私の心情を察したように高橋は顔を覗き込んできた。 「後ろで星野君の話してる内容をし

          ケーショガール 第12話 ①/2

          ケーショガール 第11話

          独り立ちのススメ 約束の3か月がたち私は独り立ちが出来るかどうかを見極める為のロープレをしていた。 「…では本日の受付は以上でございます。またのお越しを心よりお待ちしております。ありがとうございました」 腰を45度に折り最後のお辞儀をするとお客様役の高橋がパンと手を叩いた。 「はい。止めて。」 「どうでしたか?」 私が恐る恐る聞くと高橋はチェックシートを見ながら答える 「そうねぇ、まだ無駄な動きやお客様の質問に答えられてない事もあったけど…」 「そうですよね…」

          ケーショガール 第11話

          ケーショガール 第10話

          更衣室のススメ「お疲れ様でした」 今日も長いようで短い1日の業務が終わった。 制服から私服に着替える為に更衣室へ向かう。 更衣室に入ろうとドアノブに手をかけて私は入るのをためらった。 中にいる三吉と池内の話声が聞こえたからだ。 入社して2か月がたち私も少しずつ暗黙のハウスルールがわかり始めていた。 その1つに更衣室へ入るタイミングがある。 女子更衣室は職場であり職場ではない不思議な空間である。 仕事の愚痴ならまだ問題ないが周りには話さないような内容をコソっと話す場

          ケーショガール 第10話

          ケーショガール 第9話

          ジャンプのススメ次の日出勤した私はある違和感を感じた。 その違和感は例えば近所のコンビニがいつの間にか別のチェーン店のコンビニに代わっていたり、通学路で毎日会っていた犬を散歩しているおじいさんといつの間にか会わなくなっている事に気が付いた時のような、自分の生活に欠かせないかと言われるとそこまで重要ではないのだけれど、いつの間にか毎日の風景の一部にぽっかりと穴が開いている事に気が付いた瞬間の違和感に似ていた。 「今日の教育も古寺さんだけですね」 今日の私の教育担当である花

          ケーショガール 第9話

          ケーショガール 第8話 ③/3

          志望動機のススメ ③/3姉が見せつけてきたものは、つい最近発売されたばかりのスマートフォン。 YPhone4だった。 YPhoneはアメリカに本社を置くテクノロジー企業Pearが開発発売しているスマートフォンである。 一つ前のモデルであるYPhone3Gから日本に参入しており、新しいモデルが発売されるとお祭り騒ぎになっていたので私もその存在は知っていた。 「あっYPhoneじゃん。買ったんだ。それがどうしたの?」 「良い?まきび。仕事を選ぶ時にこれと言ってやりたい事が

          ケーショガール 第8話 ③/3

          ケーショガール 第8話 ②/3

          志望動機のススメ ②/3「まーきーびー」 家にいる時の定位置であるリビングのソファから召使を呼ぶように名前を呼ばれた。 声の主は私の三歳年上の姉、由利だった。 「うるさっ。近くにいるんだからそんな大きな声出さなくても良いから。何?」 「私は喉が渇いた。麦茶を持ってまいれ」 姉は昔から女王様気取りだ。 口調までそれっぽくしてくるところがさらに感情を逆なでする。 「そんなの自分でやってよ」 「おかしいのう。お主はキッチンのテーブルにいるのじゃろう?それなら近いものが

          ケーショガール 第8話 ②/3

          ケーショガール 第8話 ①/3

          志望動機のススメ ①/3アリエルのバージョンが変わる事が知らせれたその夜。 いつもの居酒屋、手羽先が運ばれてくる。 「いやーそれにしてもこの時期の新人は災難だね」 「本当あたしだったら飛んでるわ」 「言えてる言えてる」 池内と三吉が起用に口と手を同時に動かしている。 「他人事じゃないですよぉ。カンペの書き直しの大変さ二人とも知ってますよねぇ」 「あれ?そんな大変だったっけ?忘れちゃったー」 「ちゃったー」 2人で舌を出しながらふざけている。 「まぁでもまた見

          ケーショガール 第8話 ①/3

          ケーショガール 第7話

          登録システムのススメ入店から2週間ほどが経ち、カンペのページも日を追う毎に徐々に増えていた。 少しずつであるが確実にページが増え厚みを増していくカンペに徐々に愛着が湧き始めていたある日の事、事件は起こった。 その衝撃と後に襲い掛かる喪失感は私の1個ずつ丁寧に組み上げたジェンガの土台をルールを知らない子供が横から一気に崩すようなものだった。 「はい。以前から言っていたように本日からアリエルのシステムがバージョンアップされ使用が変更します。慣れない事が多々あるかと思いますが

          ケーショガール 第7話