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お世話になります

私は、本に救われることがよくあります。

しんどい時、そのしんどさから抜け出す手助けをしてもらったこともあるし、楽しい時、その楽しさを増幅してもらったこともあります。
しかし、スマートフォンの普及とともに、本を読む人は格段に減っているように思います。
何故なら、現実として本屋さんがどんどん閉店していっているから。
紙の本が好きな私にとっては、とても悲しいことです。

今の時代は、小学生でもスマホを持っている子が多いかもしれませんね。
私の小学生時代といえば、外で遊ぶか、本を読むか、絵を描くか、おしゃべりに花を咲かせること、それだけだったのに。
それが、最高に楽しかったし、最高に楽しむことができていたのに。
手のひらサイズの液晶画面をひたすら仏頂面で見続け、時間が溶けていくような、そんな学生時代に、私は賛成できません。

小学生の頃、学校に行くとまず、朝読書の時間がありました。
朝の数十分間、クラスメイトそれぞれが好きな本を読む時間。
友達同士で貸し借りしたり、感想を語り合ったりする時間が、当たり前の日常の中に溶け込んでいました。
学級文庫みたいな、小さな本棚も教室にあったし、図書室ではいつも誰かが本を読んでいたし、本はとても身近な存在でした。

私は、高校生からスマホを持たせてもらいました。
するとどうでしょう。
全く本を読まなくなりました。
高校、専門学校時代の私は、あんなに好きだった本から距離を置き、YouTubeを始めとするSNSに夢中になりました。

本が、読めなくなった。
じっとしていられなくなった。
文字を読むという行為に、集中できなくなった。

悲しき事実です。
それでも社会人になった今、もう一度本に触れて、その良さを再確認することができました。

ケーキ屋さんで働いていた時、心身共に疲労がたまり、どうしようもなくしんどい時期がありました。
その時、何気なく寄った本屋さんで、1冊の本を買いました。
今の自分に良さそう、しんどい気持ちが楽になりそう、そんな本だったから、手に取ったのだと思います。
家に帰りベットに寝そべり、買った本を手に取ってめくっていきます。
読み終えた後、心がゆるんで、なんだか気持ちが楽になっていました。
スマホはとても便利だけど、欲しいと思った情報以外にも、たくさんの情報が入ってきてしまいます。
それと比べて本は、自分のペースで、自分が必要としている情報だけを取り込むことができるので、脳みその容量がキャパオーバーしがちな私に、とても合っています。
この出来事がきっかけとなり、私は、もう一度本と友達になることにしたのです。

今、自分が生きている世界と別な世界に行きたい時は小説を読みます。
主人公の心に入り込めるような感覚が、とても面白いのです。
現実世界で悩んでいても、物語の世界へ逃げ込むことができます。
辛いとき、その辛い出来事のことばかり考えてしまいがちですが、本はいつでも、素敵な物語の世界へと誘ってくれます。

エッセイもとても面白いです。
書いた人の人間性が滲み出ていて、読んでいくうちに、その人のことがみるみる好きになっていきます。
エピソードに共感したり、大切なことにはっと気付かされたり、新たな視点をもたらしてくれたり…これからも、気になったエッセイはどんどん読んでいこうと思います。

専門家が書いた本は、時に人生を変えるきっかけとなってくれることがあります。
私が言う専門家というのは、例えば精神科医、医者、栄養士、心理カウンセラー、物書き、絵描き、など特定のジャンルのプロフェッショナル、というイメージです。
精神科医が書いたメンタルヘルスに関する本は、生きていく上での知恵をいくつも与えてくれました。
栄養士の先生が書いた本は、食べるもの、健康に関する考え方を180度変えてくれました。
そんな風に、正しい知識を持った人が書いた本は、知らなかったことを知ることが出来て面白いのはもちろん、自分自身の生活を変えるきっかけにも繋がります。

最近は小学生の頃のように、本を読むことがまた生活に溶け込むようになってきました。
スマホは今の生活にはなくてはならないものだけど、付き合い方を見直してみるのも大切だと思います。
スマホ漬けになっていた学生時代、本を読んでいたなら…!と少し後悔している気持ちもあります。
でも、これからたくさん読めばいい。
まだ出会わぬたくさんの本に、お世話になりたいと思います。

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