まいにち無職#11「無職、低気圧にやられる」
無職11日目。
なんだか朝から身体がだるい。
まさか、風邪をひいたか…?なんて思ったが、寒気がしたり喉が痛かったりするわけではない。
昨日と違うことといえば、天気がなんだかスッキリとしないということだ。
窓を開けると、灰色の雲が空を覆い尽くしている。
台所に降りると、味噌汁を作りながら母が、「明日は台風が上陸するみたいだよ〜」と教えてくれた。
ああ、そういうことか、と合点がいった。
私は低気圧の時、体調が悪くなることがある。
毎回ではないのだが、身体がだるかったり、ものすごく眠かったり、頭痛がしたりする。
台風だなんて、9月や10月ならわかるが、まだ8月上旬。
最近地震も多く発生しているし、日本全体になんだか嫌なことばかり起きている気がする。
線状降水帯だとかゲリラ豪雨だとか、数年前まであまり聞かなかった言葉もよく聞くようになった。
日本というか、地球は大丈夫なのかと、ほとほと心配になってくる。
お盆前でスーパーはとても混んでいた。
明日台風が来るらしいということもあり、みんな今日のうちに食料を用意しておこうという考えなのだろう、カゴにこんもりと商品が積み重なっているご家庭ばかりだ。
母と相談し、今日のメインはお刺身にすることにした。
最近外食をしていないこともあり、少し贅沢をしようということになった。
日曜日の調理担当の私が体調がすぐれないということもあり、副菜だけいくつか作って、簡単に済ませることにしたのだ。
とてもありがたいはからいだ。
並べてみると、昼からとんでもなく贅沢なご飯となった。
いつも夜はかなり質素なので、その代わり昼に豪華になることが多い。
それにしても、母に感謝である。
本当なら手の込んだ料理を振る舞いたかったが、身体が重たく、いつものようにシャキシャキと動けなかった。
こんなことは久しぶりなので、少し驚いている。
寝不足でもないし、他に思い当たる節がないので、やはり天候のせいだろう。
メインは鰹のたたき、サバのたたき、あじのお刺身。
副菜は、オクラとブロッコリーのナムルと、これまたオクラときゅうりとわかめの酢の物。
副菜を作るくらいの元気はあったので、系統の違う2品を作った。
オクラはスーパーにて半額になっていた。
無職ラッキーである。(何それ)
しみじみとお刺身を食べながら、薬味の大切さを再認識した。
ネギ、大葉、生姜があると、お刺身の美味しさがグッと底上げされるような気がする。
少々生臭さというか、クセのある魚でも、美味しさを残したまま、臭みだけを消してくれる。
お刺身を食べる時には欠かせない仲間たちだ。
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午後は、友人とブックカフェに行く約束をしていた。
最も仲のいい友人で、心からリラックスして会話ができる。
今月下旬からリゾートバイトへ行くため、しばしお別れである。
寂しいが、またすぐ会える。
お土産とお土産話をたくさん持ち帰ってこようと思う。
友人が帰ってから母と合流し、長居する。
カウンターに座っているお客さんたちの話をBGMに、絵を描く。
母はコーヒーを注文し、読書を始めていた。
ざわざわしている場所でも、意外と集中できるから不思議だ。
最近よくうちの庭に遊びに来る猫を描いた。
庭では、でろ〜んと液体のように横になる姿をよく目にする。
この猫を見ていると、猫を飼いたい気持ちが沸々と湧き上がってくる。
しかし、しっかりとお金を貯めて、ある程度知識をつけてから、責任をもってお迎えしたい。
安くなっていた星野源さんのエッセイを買い、ブックカフェを後にした。
明日台風が来るからか、天気は曇りから小雨に変わっていた。
やはり身体は重たいし、とろとろとずっと眠たい。
しかし、友人と母と話して楽しい時間を過ごせたので、体調はイマイチだったが、心はたっぷりと満たされていた。
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実は明日、パン屋さんに行こうと思っていた。
ここ数日は糖質、脂質控えめの食事に加え、16時間断食を取り入れていたので、ご褒美を…という考えである。
というのも、リゾートバイトに行く前にどうしても行っておきたいパン屋さんがあった。
だから、私は誰よりも台風を恨んでいる。
それこそ今は、どんだけ雨が降ったって風が吹いたって、パン屋さんに行ってやるんだ!という気持ちだが、明日どうなるかはわからない。
ああ、神様。
無事に明日の私が、美味しいパンを頬張っていますように。
ひとまず今日は低気圧にやられてしまった身体を労わって、湯船に浸かり、早めに布団に入ろうと思う。